今年は5年に1度におこなわれる年金改革の年です。国会では、年金に関するさまざまな案が審議されており、どのような改正がなされるのか注目が集まっています。

たとえば、働くシニアの方にとって、老齢在職年金の改正案などは関心の高い論点のひとつかもしれません。

なかには結論が先送りされた議題もありますが、現在年金を受け取っている方だけでなく、将来年金を受け取る方にとって安心できる制度となるように、よりよい議論がなされることを期待したいですね。

そこで今回は、いま、まさに年金を受け取っている60歳から80歳の方の年金額について見ていきます。現在のシニアが受けとる年金額を参考にして、老後の生活をシミュレーションしてみてください。

1. 2025年度はどう変わる?厚生年金と国民年金の支給額

物価の上昇を踏まえ、2025年度の年金額は2024年度より1.9%引き上げられます。

そのため、2025年度は国民年金(老齢基礎年金)が月額6万9308円(※1)、厚生年金と国民年金(2人分)を受給する夫婦の場合なら、月額23万2784円(※2)になります。

※1 満額(1人分)の場合。また、昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は月額6万9108円
※2 男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準

年金額は物価の上昇を反映し、毎年改定されていますが、世代間の公平性や給付水準を確保するため、「マクロ経済スライド」が導入されています。

この仕組みにより、物価変動率や名目手取り賃金変動率からスライド調整率が引かれるため、物価上昇分ほど年金は増額せず、実際のインフレ率には追い付いていないのが現状です。

経済がうまく回っているなかでのインフレは、ある程度、想定されることとはいえ、生活費である年金額の上昇が抑制されれば、生活が厳しいと感じるシニアの方も多いかもしれません。

では、現代のシニアが受け取っている年金額は実際にいくらなのでしょうか。次章では、厚生労働省が発表している「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、年金額を確認してみましょう。