帝国データバンクが実施した「食品主要195社」価格改定動向調査-2025年3月によると、2025年3月の値上げ商品は2343品目となり、前年比で3倍超の多さとなりました。

実際に、筆者はファイナンシャルアドバイザーとして勤務する中で「物価上昇が続いていて現金価値の目減りが気になる」といった相談をよく受けます。

特にシニア世代は収入が年金のみという人も多いので、より物価上昇の影響を感じているのではないでしょうか。

本記事では、65歳以上のシニア世帯の生活実態について解説していきます。

1. 【年金世帯】「65歳以上の無職二人以上世帯」の平均貯蓄額は2504万円

総務省統計局のデータによれば、65歳以上の無職世帯(二人以上)の平均貯蓄額は「2504万円」となっています。

【写真1枚目/全7枚】65歳以上・無職夫婦世帯の平均貯蓄額。勤労世帯も含む貯蓄額は2枚目で紹介

65歳以上・無職夫婦世帯の平均貯蓄額

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」

65歳以上の無職の二人以上世帯における、過去5年間の「平均貯蓄額の変動」は次の通りです。

  • 2018年:2233万円
  • 2019年:2218万円
  • 2020年:2292万円
  • 2021年:2342万円
  • 2022年:2359万円
  • 2023年:2504万円

2018年から2020年にかけて、貯蓄額は2200万円台にとどまっていましたが、2021年以降は2300万円台に増加し、2023年には2500万円台に達しました。

この増加には、主に以下の三つの要因が影響していると考えられます。

  • 年金不安
  • 長寿化
  • 金融市場の影響

少子高齢化の進展により、年金制度に対する不安が広まり、それに伴い将来に備えるための貯蓄が増加しているのでしょう。

また、長寿化が進行する中で、老後の生活資金が長期にわたって必要となることから、老後資金の重要性が一層認識されるようになっています。

さらに、資産運用や投資に積極的な世帯では、金融市場の動向により資産価値が増加し、その影響で貯蓄額も増加している可能性があります。

これまで無職世帯の貯蓄状況について触れましたが、次章では65歳以上の「勤労世帯を含む」シニア全体の貯蓄額についても見ていきます。