財務省「令和7年度の国民負担率」によると、令和6年度の国民負担率は46.2%になる見通しとのことです。

国民負担率とは、租税負担率と社会保障負担率を合計したものです。こうした状況の中で、シニア世代になっても働きつづけることを選択する高齢者は多いです。そういった高齢者と親密な制度が「在職老齢年金制度」です。

本記事では、2025年度における最新の在職老齢年金制度の支給停止調整額について紹介します。在職老齢年金制度の概要についても説明しているので、あわせて参考にしてください。

1. 働きすぎると年金が減額に?「在職老齢年金制度」の基本を知っておこう

在職老齢年金制度は、年金を受け取りながら厚生年金に加入して働いている人が、一定額以上の収入を得た場合に、年金の一部または全額が支給されなくなる仕組みです。

年金の支給が減額されるかどうかは、給与などの労働収入と年金額を合算した金額に基づいて判断され、このときの基準となる金額は「支給停止調整額」と呼ばれています。

減額される年金額は、次のような計算式で求められます。

在職老齢年金の支給月額(調整後)= 基本月額 −(基本月額 + 総報酬月額相当額 − 支給停止調整額)÷ 2

ここでいう「基本月額」とは、加給年金を除いた厚生年金の月額を指し、「総報酬月額相当額」は、過去1年間に受け取った賞与などの報酬を月平均にしたものです。

なお、2025年1月下旬に、厚生労働省から2025年度における在職老齢年金制度の支給停止調整額が公表されています。

1.1 【2025年度】支給停止調整額は「51万円」に引き上げ

厚生労働省の「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」によると、2025年度における支給停止調整額は「51万円」となりました。

上記から分かるように、2025年度の支給停止調整額は、前年に比べて1万円引き上げられました。

在職老齢年金制度では、働いて得る収入が増えるほど、その分だけ年金の支給額が減る仕組みになっています。

では、どの程度の年収から年金が実際にカットされるのか、具体的な目安を見ていきましょう。