確定申告期間が2月17日からスタートしています。確定申告というと、個人事業主や副業をしている人のものというイメージが強いですが、実は老齢年金を受給している方でも必要な場合があるんです。

確定申告が必要であるかどうかは、年金事務所や税務署から個別に連絡があるわけではありません。「もしかして自分も申告が必要?」と気になる方も多いのではないでしょうか。

年金受給者の確定申告の知識をつけることで、思わぬ納税漏れや還付金の受け取り漏れを防ぐことができます。

今回は、年金受給者の確定申告が必要な場合、不要な場合について分かりやすく解説していきます。年金受給者の方はぜひ参考にしてください。

1. 確定申告とは

確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の所得金額を申告して、納めるべき所得税額を確定させる手続きです。

会社員の多くは年末調整で所得税の精算が完了しますが、年金受給者は年末調整が行われないため、一部の例外を除いて、原則として確定申告が必要になります。

確定申告が必要であるかどうかについて通知が来るわけではないため、受給者自身が判断する必要があります。

2. 年金受給者の確定申告不要制度とは

年金受給者は原則として確定申告を行う必要がありますが、高齢の方も多い年金受給者の負担を減らすために、一定の条件を満たす場合には確定申告を不要とする制度が設けられています。これが「年金受給者の確定申告不要制度」です。

具体的に対象となるのは、下記の条件をどちらも満たす方です。

  • 年間公的年金等の収入金額が400万円以下
  • その他の所得が年間20万円以下
  • 還付を受けるべき所得控除等がない

該当する年金受給者は、この制度によって確定申告の手間が省けるようになります。

3. 確定申告が必要な年金受給者とは

それでは、確定申告不要制度が適用されずに申告が必要になるのは、具体的にどのような年金受給者なのでしょうか。
不要制度の対象外となるケースについて、1つずつ解説をしていきます。

3.1 年金収入が400万円を超える場合

公的年金等の収入金額400万円を超える場合は、確定申告不要制度の対象外となるため、必ず確定申告が必要です。これは、高額の年金収入がある場合、源泉徴収された税額と実際に納めるべき税額に差が生じる可能性が高くなるためです。

「公的年金等」とは国民年金や厚生年金、共済組合から支給を受ける老齢年金、恩給や過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金、確定給付企業年金契約に基づいて支給を受ける年金などが含まれます。

3.2 年金以外の所得が20万円を超える場合

公的年金等以外の所得が20万円を超える場合も、確定申告不要制度の対象外となるため確定申告が必要です。これは、複数の収入源がある場合、総所得に応じた適切な課税を行う必要があるためです。

「公的年金等以外の所得」とは、給与所得や個人年金、生命保険の満期返戻金などを指します。例えば、パート収入がある場合や、株主の売却益があった場合などが該当します。

※所得は収入とは異なり、額面の収入金額から各所得に応じた控除をした上での「所得金額」で20万円を超えているかどうかの確認が必要です。

確定申告が必要な年金受給者とは2/3

確定申告が必要な年金受給者とは

出所:国税局「公的年金等を受給されている方へ」

3.3 所得税の還付を受ける場合

年金を受給する際に控除された所得税について、所得控除があるために還付を受ける手続きをする場合にも確定申告が必要です。

確定申告が必要な控除の一例は、下記の通りです。

  • 医療費控除がある場合

1年間で支払った医療費が10万円(年間所得が200万円未満の場合は所得の5%)を超える場合に適用されます。

  • ふるさと納税等の寄附金控除がある

ふるさと納税をしてワンストップ制度などの適用をしていない場合、確定申告をすることで税金の還付や住民税の減税が行われます。

その他、生命保険料控除、地震保険料控除や住宅ローン控除がある場合など、公的年金の源泉徴収票には記載されていない控除を受ける場合には、税金の還付を受けるために確定申告をする必要があります。

4. 確定申告の期限

確定申告は、その年の収入について翌年の3月15日(土日の場合は翌月曜日)までに行う必要があります。本年であれば、2024年分の収入については、2025年3月17日が申告期限となります。

期限までに申告を行わない場合、もし納税額があれば延滞金などがプラスで掛かる可能性があるため、注意が必要です。

ただし、申告の結果が所得税の還付であった場合には、3月15日の期限を過ぎても問題がありません。還付申請は5年間はすることができるので、焦らず自分のタイミングで行いましょう。

ただし、申告をしてみないと納税か還付かわからない場合には、できる限り早めに申告準備を進めることをお勧めします。申告を始めると書類の準備や作成に思わず時間が掛かることもあるため、期限直前に始めずに余裕を持って申告の準備を進めましょう。

5. 確定申告の方法

確定申告の方法は、以下の3パターンがあります。

1. e-Tax(オンライン)での申告
e-taxというシステムを使用することで、自宅からインターネットで申告をすることが可能です。混雑を避けることができ、交通費や郵送代も掛からないため、一番手間やお金のかからない申請方法です。

2. 税務署での窓口申告
確定申告期間に窓口に行くと、確定申告の方法を補助してくれる人がいるため、不明点がある場合などに有用です。

ただし、混雑緩和のため、事前予約が必要な場合がありますので、窓口に行かれる際は最寄りの税務署の情報を確認しましょう。

3. 確定申告書の郵送による提出
書類を提出する場合には、申告期限までの消印が押されたものである必要があります。

税務署には行きたくないけれどインターネット環境がない場合などに活用することができます。

6. まとめにかえて

年金収入は、毎回の振込から所得税が徴収されていますが、あくまでもそれは概算の金額です。一定の条件に当てはまる場合には、年間の収入に対して確定申告を行い、納める所得税を決定させる必要があります。

仕組みを知らずに納税漏れとなり、追加の税金を支払わなくて済むように、自分の収入を確認して確定申告が必要であるかどうかを必ず確認するようにしましょう。

参考資料

斎藤 彩菜