5. 70歳代世帯の貯蓄事情はどうなっている?
最後に、J-FLEC(金融経済教育推進機構)が実施した「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」のデータを基に、70歳代の単身世帯および二人以上世帯における金融資産の保有状況を確認していきましょう。
※ここでいう「金融資産」には、預貯金、金銭信託、積立型保険商品、個人年金保険、債券、株式、投資信託、財形貯蓄などの金融商品が含まれます。また、預貯金については「日常的な出し入れ・引落しに備えている部分」は含まれません。
5.1 70歳代・単身世帯の「貯蓄事情(平均と中央値)」
平均:1634万円
中央値:475万円
5.2 70歳代・二人以上世帯の「貯蓄事情(平均と中央値)」
平均:1923万円
中央値:800万円
70歳代の単身世帯における金融資産の平均額は1634万円ですが、中央値は475万円と大きな差があります。
一方、二人以上の世帯では、金融資産の平均額は1923万円となり単身世帯を上回りますが、中央値は800万円と低くなっています。
この「平均と中央値の差」は、各世帯の貯蓄状況が非常に多様であることを示唆しています。
経済的に余裕のあるシニア世帯も一定数存在する一方で、貯金が少なく生活に不安を抱える世帯も多いのが現状です。
特に、住民税非課税世帯に該当する場合、さまざまな支援制度や助成金を受けられる可能性が高いため、対象となる場合はこれらを積極的に利用することが大切です。
6. まとめにかえて
本記事では「住民税非課税世帯」の条件について確認しました。
現在、この住民税非課税世帯を対象に1世帯あたり3万円(子ども1人につき2万円加算)の現金給付手続きが進められていますが、物価上昇が続いているいま、こうした支援を受けられることは大変ありがたいものです。
夫婦と小学生の子どもが3人いれば、3万円×(2万円×子3人)=合計9万円 を受給できるので、食費や光熱水費、ガソリン代などの値上がり分を多少相殺できるでしょう。
ただし、この給付金は継続して行われるものではありません。給付金を受け取りながら、家計収支のバランスを整えていく必要があります。
なお、今回ご紹介した給付金以外にも、国や自治体で住民税非課税世帯を対象とした優遇措置がさまざま講じられています。補助金や助成金などを活用しながら、家計を見直していけると良いでしょう。
参考資料
奥野 友貴