かつて信用金庫で勤務していた筆者は、偶数月の15日に年金を受け取りに来られる多くのお客様で、ATMや窓口に列ができていた光景を思い出します。
公的年金は2カ月に一度、前月までの2カ月分がまとめて支給されます。次の支給日は4月15日(火曜日)ですね。
今回は、厚生労働省の一次資料をもとに、シニア世代の年金事情に迫ります。
1. 【2025年度】厚生年金と国民年金は1.9%の引き上げへ
2025年度の年金額は、前年度より1.9%の引き上げが決まっています。
- 国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(1人分※1)
- 厚生年金:23万2784円(夫婦2人分※)
※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万9108円(対前年度比+1300円)です。
※2 男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
年金不安がささやかれる中、公的年金額は3年連続で引き上げられています。ただし、物価上昇率を考慮した改定ではありますが、「マクロ経済スライド(※)」の発動により、実質的には目減りしている点には留意が必要です。
※マクロ経済スライドとは、公的年金被保険者の変動と平均余命の伸びに基づいて、スライド調整率を設定し、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除するもの