老後の主な収入源となる年金ですが、現在の生活費や将来想定される支出と比べ、どのくらいの年金が受給できるのかを把握することは、とても重要なポイントです。

年金が少ない方を対象に、一定の条件を満たした方が受け取れる「年金生活者支援給付金」という制度があります。  

今回は、この「年金生活者支援給付金」の対象者や給付額について、分かりやすく解説していきます。  

さらに、現在の60歳代~90歳以上までのシニアが実際にどのくらい年金を受給しているのかもご紹介します。  

ご自身の将来の暮らしをイメージしながら、理想の老後に向けた準備を考えてみましょう。

1. 低年金なら対象かも?「年金生活者支援給付金」を知っていますか

年金生活者支援給付金は「老齢年金(国民年金)」「障害年金」「遺族年金」を受給している人のうち、年金収入とその他の所得を合わせても一定のラインに満たない世帯を対象としています。

2カ月に一度の年金支給日に、年金に上乗せして支給される給付金で、支給要件を満たす限り継続的に受け取ることができるお金です。

障害年金生活者支援給付金、遺族年金生活者支援給付金の支給要件は「前年の所得が472万1000円以下」の人です。判定に用いる所得には障害年金や遺族年金等の非課税収入は含まれません。また、給付額は扶養親族の数に応じて増額されます。

老齢年金生活者支援給付金の支給要件はやや複雑です。次で整理しましょう。

1.1 老齢年金生活者支援給付金《対象となるのはどんな人?》

老齢年金生活者支援給付金《対象となるのはどんな人?》

老齢年金生活者支援給付金《対象となるのはどんな人?》

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が87万8900円以下(※2)

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以に生まれで78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前生まれで78万7700円を超え88万7700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金(※)」が支給されます。

このすべての条件に該当する人が給付金の対象になります。続いて、具体的な支給額を早見表を見ながら、確認してみましょう。

【豆知識】補足的老齢年金生活者支援給付金とは?

老齢年金生活者支援給付金は、所得要件をわずかに超えると給付を受けられず、基準額ぎりぎりで受給対象となる人よりも総所得が低くなるという問題がありました。

この点を解決するために「補足的老齢年金生活者支援給付金」が設けられており、所得が基準額を超えても一定範囲内であれば受給できます。所得が増えるにつれて給付額が減っていくしくみです。

なお、年金生活者支援給付金の給付額は、物価変動を考慮して年度ごとに改定されます。次では2025年度の月額を見ていきましょう。