次回の年金支給日は6月15日です。2026年度基準の金額での支給がいよいよ始まります。2026年度の基礎年金は満額で月額7万608円です。
会社員や公務員は、基礎年金に加えて厚生年金を受給できます。厚生年金は現役時代の収入や厚生年金保険への加入期間によって、受給金額が変わります。また、実際に振り込まれる金額は、税金や社会保険料が差し引かれるため、額面どおりにはなりません。
この記事では、平均年収600万円の人が40年間働いた場合を例に、受給できる年金額と手取り年金額を試算していきます。
1. 「平均年収600万円×40年間」年金受給額はいくら?
平均年収600万円で40年間働いた場合、年金はいくら受け取れるのでしょうか。まずは額面の年金受給額を計算してみましょう。
厚生年金は、現役時代の給与や厚生年金保険への加入期間によって決まる「報酬比例部分」がほとんどを占めます。報酬比例部分の計算は、以下のように行います。
- 報酬比例部分=平均標準報酬額×5.481/1000×厚生年金保険の加入月数
※平均標準報酬額:厚生年金保険加入中の給与・賞与の総額を加入月数で割った金額
※上記は2003年4月以降に厚生年金保険に加入した場合の計算式
上記の計算式は、厚生年金の金額を算出するものです。会社員や公務員が受け取る年金は、この金額に基礎年金(月額7万608円)が加わります。
では、以下の条件で、額面の金額を計算してみましょう。
条件
- 平均標準報酬額:50万円(600万円÷12)
- 厚生年金保険の加入月数:480ヵ月(40年間)
- 老齢基礎年金:月額7万608円(満額)
- 加給年金、年金の繰下げ・繰上げ:考慮しない
まずは、厚生年金の受給額(報酬比例部分)を計算します。平均標準報酬額が50万円、加入月数が480ヵ月のため、金額は以下のとおりです。
- 報酬比例部分:50万円×5.481/1000×480=131万5440円
上記は年間での受給額です。月額換算すると、月あたり10万9620円になります。ここに基礎年金月額7万608円が加わるため、合計受給額は18万228円です。
実際の年金受給額は平均標準報酬額の根拠となる標準報酬月額や標準賞与額、厚生年金保険への加入期間によって変わります。とくに途中で厚生年金保険に加入していない時期がある人は、受給金額が上記の金額より低くなるため、受給見込額を正しく把握することが重要です。
※本シミュレーションは「年収600万円を12か月で均等に受け取る」と仮定し、平均標準報酬額50万円として試算しています。実際の老齢厚生年金額は、標準報酬月額や標準賞与額、再評価率、加入期間などに基づいて計算されるため、結果は異なる場合があります。
次章では、年金から引かれる「税金」や「保険料」をみていきます。
2. 年金から引かれる「税金」や「保険料」を確認
前述の受給額18万228円は、額面の数字です。実際には税金や社会保険料が年金から差し引かれるため、手元に入ってくる金額は18万228円よりも少なくなります。
年金からは、以下のような税金や社会保険料が差し引かれます。差し引かれる条件とあわせて、見てみましょう。
差し引かれる条件1/3

出所:国税庁「高齢者と税(年金と税)」、日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税および森林環境税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」をもとに筆者作成
所得税
- 65歳未満:年間の年金受給額が155万超
- 65歳以上:年間の年金受給額が205万超
住民税
- 以下の条件をすべて満たす場合
・65歳以上
・老齢もしくは退職を理由に年金を受給
・年間の年金受給額が18万円以上
国民健康保険料
- 以下の条件をすべて満たす場合
・後期高齢者医療制度の該当者を除く65歳以上75歳未満
・老齢・退職・障害・死亡を理由に年金を受給
・年間の年金受給額が18万円以上
後期高齢者医療保険料
- 以下の条件をすべて満たす場合
・75歳以上か後期高齢者医療制度の該当者
・老齢・退職・障害・死亡を理由に年金を受給
・年間の年金受給額が18万円以上
介護保険料
- 以下の条件をすべて満たす場合
・65歳以上
・老齢・退職・障害・死亡を理由に年金を受給
・年間の年金受給額が18万円以上
※国民健康保険料および後期高齢者医療保険料は、介護保険料との合計額が特別徴収対象年金額の2分の1を超える場合は、天引きされない。
退職後に月額18万228円の年金を受け取る場合でも、実際の手取り額は額面どおりにはなりません。年金からは所得税や住民税、国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)、介護保険料などが差し引かれるためです。
税金や社会保険料の負担は、年齢や世帯構成、居住地、所得状況などによって異なりますが、一般的には額面の1~2割程度が差し引かれるケースもあります。
仮に15%程度が差し引かれるとすると、月額18万228円の年金の手取り額は約15万3000円となります。
ただし、実際の手取り額は人によって大きく異なるため、あくまでも目安として考えてください。
次章では、年金の平均受給月額を確かめてみましょう。
3. 年金の平均受給月額をチェック
平均年収600万円で40年間働いた人の年金は、額面で18万228円、手取りで約15万円です。この金額は平均と比べてどれくらいの水準なのでしょうか。厚生年金(基礎年金含む)の平均受給月額を見てみましょう。
- 〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
全体の平均額は15万円台です。平均年収600万円で40年間働いた人の年金は額面で約18万円、手取りでも約15万円台となるため、平均的な厚生年金受給者より高い水準といえるでしょう。
なお、総務省の家計調査によると、高齢単身無職世帯の支出は月平均16万1435円となっています。ただし、この金額には税金や社会保険料などの非消費支出も含まれており、個人の所得や居住地によって大きく異なります。
そのため、年金額と支出額を単純に比較することはできませんが、平均年収600万円で40年間働いたケースでは、平均的な厚生年金受給者よりも高い年金収入が見込まれると考えられます。
次章では、年金受給額の確かめ方を解説します。
4. 将来の年金受給額は「ねんきん定期便」をチェック
将来の年金受給額を確かめるには、毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」をチェックしましょう。ねんきん定期便には、これまでの年金加入期間や保険料納付状況などが記載されています。
なお、50歳未満の方が将来の見込額を確認する場合は、「公的年金シミュレーター」や「ねんきんネット」で試算する必要があります。
65歳から受け取れる老齢年金を受給するには、原則120月の受給資格期間が必要です。ねんきん定期便には年金加入期間が記載されているため、受給要件を満たせるかを確かめられます。保険料の未納がないか、将来いくらの年金を受け取れるのかもチェックできるため、ねんきん定期便が届いたら、内容をじっくりと見てみてください。
ねんきん定期便が手元にない場合でも、オンラインの「ねんきんネット」を活用すれば、いつでも見込受給額を確かめられます。ねんきんネットでは年金見込額試算もできるため、老後のライフプランニングにも役立てられるでしょう。
5. まとめ
平均年収600万円で40年間働くと、将来は18万円台と平均以上の年金を受け取れます。税金や社会保険料として約2万5000円が差し引かれるため、手取りは15万円台です。
とはいえ、実際に受け取れる年金額は住む自治体や厚生年金保険への加入状況、給与によって変わります。老後生活のプランを考える際は、ねんきん定期便やねんきんネットを活用して将来の年金受給額を適切に把握することから始めてみましょう。
参考資料
- 日本年金機構「は行 報酬比例部分」
- 国税庁「高齢者と税(年金と税)」、日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税および森林環境税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」
- 新宿区「保険料の計算方法について」
- 新宿区「介護保険料の決まり方」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省「家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2025年(令和7年)平均結果の概要」
- 日本年金機構「令和8年度「ねんきん定期便」50歳未満の方」
- 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」
石上 ユウキ