2025年4月1日に公表された日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」によると、2025年度の年金額は2024度から原則1.9%の引き上げとなります。

老後生活に必要な金額は把握していますか。2019年には「老後2000万円問題」が話題になりましたが、老後必要な資金は世帯によって異なります。そんな私たちの将来資金の柱となるのが、「公的年金」です。

今回は70歳代の平均貯蓄額と厚生年金、国民年金の平均受給額を解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

1. <70歳代・二人以上世帯>貯蓄3000万円以上保有世帯の割合は?

さっそく、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額(金融資産を保有していない世帯を含む)を見ていきましょう。

J-FLEC 金融経済教育推進機構が公表している「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」をもとに確認します。

※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。

※なお、これから確認する金融資産保有額には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。また、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。

【写真全6枚中1枚目】70歳代・二人以上世帯の貯蓄額円グラフ。2枚目では2024年度の年金額例を紹介

【貯蓄額の円グラフ】70歳代・二人以上世帯

出所:J-FLEC 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」をもとにLIMO編集部作成

1.1 70歳代二人以上世帯の貯蓄額

  • 平均値:1923万円
  • 中央値:800万円

1.2 貯蓄額一覧表

  • 金融資産非保有:20.8%
  • 100万円未満:5.4%
  • 100~200万円未満:4.9%
  • 200~300万円未満:3.4%
  • 300~400万円未満:3.7%
  • 400~500万円未満:2.3%
  • 500~700万円未満:4.9%
  • 700~1000万円未満:6.4%
  • 1000~1500万円未満:10.2%
  • 1500~2000万円未満:6.6%
  • 2000~3000万円未満:8.9%
  • 3000万円以上:19.0%
  • 無回答:3.5%

19.0%の世帯が3000万円以上の貯蓄を持つ一方で、20.8%の世帯は貯蓄がまったくないと回答しています。

また、貯蓄はあるものの「貯蓄100万円未満の世帯」も5.4%存在します。

このように貯蓄額に関しては二極化が進んでおり、生活が苦しい世帯がそれなりに存在していることがうかがえます。

また、平均貯蓄額は1923万円ですが、これは一部の富裕層が平均値を引き上げているためです。一方で中央値は800万円と大きく下がります。この場合、実態をより反映する中央値にも注目することが大切です。

「老後2000万円問題」と言われますが、2000万円という貯蓄額はかなり高いハードルだとわかります。

貯蓄事情は世帯ごとに大きく異なり、健康状態や家族構成などにも左右されるため、老後の資金計画を立てる際には、個々の状況に応じたアプローチが必要です。

例えば、貯蓄が少ない世帯は公的年金だけでなく、勤労収入や不労所得などの追加の収入源を検討するのもおすすめです。

続いては、厚生労働省の最新データをもとに、公的年金(厚生年金・国民年金)の受給額を確認しましょう。