通常、年金は65歳から受け取りを開始します。

ただし、中には65歳まで年金をもらうのを待てない人もいるでしょう。そのような人は、年金の繰上げ受給を検討してもいいかもしれません。

繰上げ受給をすると、年金の受給開始時期を最短60歳まで早めることが可能です。一方で、受給開始時期を早めるほど月にもらえる年金額は減ってしまいます。

そこで本記事では、「月額15万円」の年金を受給予定の人が、繰上げ受給をするといくらもらえる年金が減るのかシミュレーションします。

逆に繰下げ受給をした場合にいくら年金が増えるのかもシミュレーションするので、ぜひ参考にしてみてください。

1. 年金を月額15万円受け取る人はどれくらいいるのか

まずは、今回シミュレーションの前提とする「月15万円」の年金を受け取る人がどれくらいいるのかを確認しましょう。

厚生労働省年金局「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金受給者の年金受給額の分布は下表のとおりです。

【写真全3枚中1枚目】厚生年金の月額階級別老齢年金受給権者数、2枚目以降で、繰上げ・繰下げ受給した場合、月額15万円がどのくらい増減するかを確認!

厚生年金の月額階級別老齢年金受給権者数

出所:厚生労働省年金局「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」

1.1 厚生年金受給者の年金受給額(額面)

年金受給額 割合

  • 月額1万円未満 0.28%
  • 月額1万円以上2万円未満 0.09%
  • 月額2万円以上3万円未満 0.31%
  • 月額3万円以上4万円未満 0.58%
  • 月額4万円以上5万円未満 0.61%
  • 月額5万円以上6万円未満 0.85%
  • 月額6万円以上7万円未満 2.34%
  • 月額7万円以上8万円未満 3.97%
  • 月額8万円以上9万円未満 5.44%
  • 月額9万円以上10万円未満 6.73%
  • 月額10万円以上11万円未満 7.01%
  • 月額11万円以上12万円未満 6.57%
  • 月額12万円以上13万円未満 5.97%
  • 月額13万円以上14万円未満 5.75%
  • 月額14万円以上15万円未満 5.89%
  • 月額15万円以上16万円未満 6.14%
  • 月額16万円以上17万円未満 6.39%
  • 月額17万円以上18万円未満 6.56%
  • 月額18万円以上19万円未満 6.37%
  • 月額19万円以上20万円未満 5.84%
  • 月額20万円以上21万円未満 4.99%
  • 月額21万円以上22万円未満 3.90%
  • 月額22万円以上23万円未満 2.72%
  • 月額23万円以上24万円未満 1.78%
  • 月額24万円以上25万円未満 1.18%
  • 月額25万円以上26万円未満 0.75%
  • 月額26万円以上27万円未満 0.45%
  • 月額27万円以上28万円未満 0.25%
  • 月額28万円以上29万円未満 0.13%
  • 月額29万円以上30万円未満 0.06%
  • 月額30万円以上 0.09%

平均年金月額 14万6429円
*厚生年金保険受給権者には、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢の引上げにより、定額部分のない報酬比例部分のみの 65 歳未満の受給権者が含まれている

月額1万円未満~30万円以上、と広範囲に分布していますが、ボリュームゾーンは約7%を占める「月額10万円以上11万円未満」です。

会社員や公務員として勤務経験がある厚生年金受給者で月15万円以上の年金を受け取る人の割合は、47.6%です。約半数が月15万円以上の年金を受け取ることがわかります。