2025年1月27日に日本銀行から公表された「生活意識に関するアンケート調査」(第100回<2024年12月調査>の結果によると、暮らし向きとして「ゆとりがなくなってきた」の回答が57.1%にのぼりました。

推移をみても「ゆとりが出てきた」の回答が減少しており、国民の暮らし向きは悪化していることがわかります。

そんな中、2025年度の年金額が公表されました。厚生年金と国民年金の受給額は前年比で1.9%引き上げとなるようですが、果たしてこれで暮らし向きは良好になると期待できるのでしょうか。

改めて日本の年金制度、年代別の平均受給額について確認していき、年金だけでの生活が可能なのか考えていきます。

1. 【最新】厚生年金と国民年金「2025年度の受給額」1.9%の引き上げへ

2025年1月24日、厚生労働省より2025年度の年金額が公表されました。以下のとおり、1.9%の引き上げです。

  • 国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(1人分※1)
  • 厚生年金:23万2784円(夫婦2人分※)

※1昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万9108円(対前年度比+1300円)です。

※2男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。

「年金が引き上げられるなら、シニアの暮らしは楽になるのでは?」と感じた方もいるでしょう。しかし、これは3年連続の増額改定なのです。

つまり、年金は増額されているにも関わらず、国民の暮らし向きは減少しているという現状にあるのです。

その理由のひとつは、「マクロ経済スライド」にあると考えられます。「マクロ経済スライド」によって物価上昇率よりも年金上昇率が下回る構造にあるため、実質的には減額されているといえるのです。

では、今のシニアは実際にどれほどの年金を受け取っているのでしょうか。2024年12月に公表されたデータより、2023年度末時点での受給額を見ていきましょう。