2025年3月11日に厚生労働省が公表した「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上無職夫婦世帯のひと月の家計収支は毎月3万4058円の赤字となっています。
不足分は貯蓄の取り崩しなどで補う必要がありますが、現代シニアはどれほど貯蓄で備えられているでしょうか。
今回はシニア世代の貯蓄事情について深掘りするとともに、シニアの収入の柱となる2025年度最新の年金額例を解説します。
1. 「貯蓄3000万円以上」の70歳代世帯は19.7%
70歳代の二人以上世帯の貯蓄状況について見てみましょう。
金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」の結果を参考にしながら、詳しく解説します。
※なお、これから確認する金融資産保有額には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。また、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
1.1 70歳代・夫婦世帯(二人以上世帯)の平均貯蓄額
- 平均値:1757万円
- 中央値:700万円
1.2 【貯蓄額一覧表】70歳代・夫婦世帯の貯蓄割合
- 金融資産非保有:19.2%
- 100万円未満:5.6%
- 100~200万円未満:5.1%
- 200~300万円未満:4.3%
- 300~400万円未満:4.7%
- 400~500万円未満:2.5%
- 500~700万円未満:6.2%
- 700~1000万円未満:5.8%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:7.4%
- 3000万円以上:19.7%
70歳代の二人以上世帯において、貯蓄額の平均は1757万円という結果でした。また、貯蓄が3000万円以上ある世帯は全体の19.7%となっています。
これを見ると、「70歳代は退職金を受け取り、また十分な年金で豊かな老後を過ごしているのでは?」と考えてしまいそうです。
しかし、より実態に近いとされる「貯蓄の中央値」は700万円。「貯蓄が全くない世帯」は19.2%、「貯蓄500万円未満の世帯」も22.2%存在しています。
ここデータからは、生活が苦しい世帯は少なくなく、貯蓄状況は二極化している実情が浮かび上がってきました。
では次章で、貯蓄と共に老後の生活に欠かせない「年金」について、年金額や受給額を見ていきましょう。