年が明け、確定申告の時期が迫ってきました。2025年の確定申告期間は2月17日から3月17日までです。個人事業主やフリーランスの人、医療費控除などを受けたい人はできる限り早い段階から準備を進めておきたいところです。

確定申告の対象となるのは、上記のように事業収入がある人や特定の控除を受けたい人だけではありません。年金収入がある人も確定申告の対象です。

ただし、多くの年金受給者は「確定申告不要制度」により、所得税の確定申告をせずに済みます。この記事では、確定申告不要制度の概要や確定申告が必要になるケース、不要なケースなどを解説します。

1. 確定申告不要制度の概要

確定申告不要制度は、以下の条件に当てはまる年金受給者が対象です。

【写真全5枚中1枚目】確定申告不要制度フローチャート。2枚目では、確定申告不要制度の対象になっても確定申告が必要となるケースをご紹介

確定申告不要制度

出所:政府広報オンライン「ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度」

以下の条件2つを満たすこと

  • 公的年金等の収入額(2箇所以上ある場合は合計額)が400万円以下
  • 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下

年金収入が400万円以下で、年金以外に所得が20万円以下であれば確定申告は不要です。

たとえば、公的年金と企業年金で月に30万円の年金を受け取っており、他に収入がない人は、年間収入が360万円のため確定申告は必要ありません。

一方、公的年金等を月に40万円受け取っている人は年間の年金収入が400万円を超えるため確定申告が必要です。

また、年金収入が400万円以下でも、フリマアプリを活用して不用品を売却した利益が20万円を超えた人などは、確定申告の対象となります。

なお、外国の公的年金は源泉徴収の対象ではありません。外国の公的年金を受給している人は、確定申告不要制度が利用できないため、必ず確定申告をする必要があります。

1.1 制度の対象でも確定申告が必要なケース

確定申告不要制度の対象であっても、確定申告が必要なケースも存在します。主なケースは以下のとおりです。

確定申告が必要なケース

確定申告が必要なケース

出所:政府広報オンライン「ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度」をもとに筆者作成

〈所得税の還付を受ける場合〉

  • 以下の控除を適用して所得税の還付を受ける場合

・医療費控除:医療費を支払ったとき
・住宅ローン控除:住宅ローンでマイホームを取得したとき(初年度のみ)
・雑損控除:災害や盗難被害に遭ったとき

〈住民税申告が必要な場合〉

  • 公的年金などの雑所得のみがある人で「公的年金などの源泉徴収票」に記載されていない控除の適用を受ける場合

・生命保険料控除
・損害保険料控除
・医療費控除

  • 公的年金などに係る雑所得以外の所得がある場合

医療費控除や住宅ローン控除の初年度、雑損控除を適用して所得税の還付を受ける場合は、確定申告が必要です。上記の控除は年末調整などと同様、別途自分で確定申告をしなければなりません。

また、所得税の確定申告が不要でも、住民税申告が必要なケースもあります。生命保険料控除や医療費控除などを適用する際や、公的年金以外に雑所得がある場合は、住民税申告をしましょう。

所得税と住民税は課税基準が異なります。もし所得税の確定申告が不要でも、住民税申告をする必要はないか、確かめておきましょう。

次章では、確定申告が必要かどうか確かめる方法を解説します。