2025年3月11日に総務省が公表した「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の無職夫婦世帯における毎月の生活費は3万4058円の赤字となっています。

ファイナンシャルアドバイザーである筆者が普段から資産運用の相談をしている中で、老後に向けた資産形成の手段として新NISAを検討される方が増えています。

2024年から改良された新NISA制度ですが、制度はどのように変わったのでしょうか。

また、積立投資を続けた場合、将来的にどれくらいの資産増が見込めるのでしょうか。

本記事では、新NISA制度の概要や積立投資をおこなった際のシュミレーションをみていきますので、ぜひ最後までご覧ください。

1. あらためて確認しておきたい「新NISA」

2014年に資産形成を促進するために導入されたNISA(ニーサ)は、2024年に改良されて「新NISA」として新たにスタートしました。

NISAの主な特徴は、運用によって得た利益が非課税になることです。

新NISA「非課税」のしくみ1/5

新NISA「非課税」のしくみ

出所:金融庁「NISAを知る」

通常、資産運用で得た利益や配当金には、約20%の税金が課せられます。

しかし、NISA枠を利用すると、この税金が免除され、利益をそのまま受け取ることができるという利点があります。

次章では、NISAの特徴についてさらに詳しく見ていきましょう。

1.1 新NISAの特徴は?「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を比較!

【新NISA】「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の特徴2/5

【新NISA】「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の特徴

出所:金融庁「NISAを知る」

新NISAの主な特徴を一覧でまとめると、以下の6つとなります。

  • 非課税保有期間は無期限
  • 「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用OK
  • 年間投資枠は、つみたて投資枠「年間120万円」・成長投資枠「年間240万円」
  • 非課税保有限度額は1800万円(内、成長投資枠1200万円)※枠の再利用可能
  • つみたて投資枠の投資対象商品は「長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託」
  • 成長投資枠の対象商品は「上場株式・投資信託等」

また、500円や1000円といった少額から投資できる商品が提供されている点もNISAの特徴であり、初心者でも手軽に投資を始めやすくなっています。

これまで「投資にはある程度のまとまった金額が必要だ」という印象がありましたが、NISAの導入によりその壁が少し低くなったと言えるでしょう。

では、毎月積立投資を行った場合、どれほどの資産を築けるのでしょうか。

2. シミュレーション1:15年間「毎月5万円」を利回り1~5%で運用した場合は?

新NISAを利用して積立投資を行った場合、どれほどの資産を築けるのか気になる方も多いでしょう。

積み立てる金額と利回りによって結果は異なりますが、ここでは以下の前提条件を基に、利回り1~5%を想定してシミュレーションを行ってみます。

  • 積立期間:50歳から65歳までの15年間
  • 積立額:毎月5万円
  • 投資信託商品:「安定的な運用」を重視した想定利回り1~5%の商品

2.1 【利回り別】積立投資のシミュレーション結果

【新NISA】想定利回り別「月5万円」積立投資シミュレーション結果3/5

【新NISA】運用利回り別「月5万円」積立投資シミュレーション結果

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとにLIMO編集部作成

想定利回り:資産評価額(元本部分は900万円)

  • 年1%:970万6000円
  • 年2%:1048万6000円
  • 年3%:1134万9000円
  • 年4%:1230万5000円
  • 年5%:1336万4000円

15年間、毎月5万円を積み立てた場合、想定利回り2%以上で1000万円以上の資産を築ける可能性があります。

元本は900万円なので、運用によって70万円から436万円の増加が見込まれると考えられます。

銀行預金では利息をほとんど期待できない現在、資産運用を検討する方も以前より増えているのではないでしょうか。

ただし、このシミュレーションは利回りが安定していることを前提につくられたシミュレーションです。

投資にはリスクが伴うことを理解しておく必要があります。

3. シミュレーション2:「15年間で2000万円を準備」月いくら積み立てればいい?

次に、老後までに2000万円を準備するために必要な積立金額をシミュレーションしてみましょう。

ここでは、50歳から65歳までの15年間、想定利回り3%の投資信託に投資する場合を前提とします。

【新NISA】積立金額別「想定利回り3%」積立投資シミュレーション結果4/5

【新NISA】積立金額別「運用利回り3%」積立投資シミュレーション結果

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」をもとにLIMO編集部作成

3.1 【積立金額別】積立投資のシミュレーション結果

毎月の積立金額:資産評価額

  • 1万円:227万円
  • 3万円:680万9000円
  • 6万円:1361万8000円
  • 9万円:2042万8000円
  • 12万円:2723万7000円

※想定利回り:年3%

もし3%の利回りで15年間運用できた場合、毎月9万円を積み立てることで2000万円以上を達成できる見込みとなりました。

15年という短期間では、預金だけで老後資産を十分に貯めるのは難しいですが、投資によってその目標に近づける可能性が広がります。

ただし、月々9万円という積立額は決して少なくなく、利回りも固定されているわけではないため、計画通りに資産を築けないリスクもあります。

老後資金を積立投資で準備するためには、早期に始めることが鍵となります。

例えば、30歳から65歳の35年間で2000万円を目指す場合、3%の利回りで運用すれば毎月の積立額は2万6971円で済む計算です。 

上記から、長期で運用することで、月々の積立額を抑えながら目標に近づけることができると言えるでしょう。

4. 将来に向けた資産管理を

ここまで、新NISA制度から積立投資シュミレーションについて詳しく見てきました。

NISAは税制優遇制度のひとつで、老後に向けた資産形成を考える現役世代には有効な選択肢のひとつです

一方で、こういった資産運用にはリスクが伴います。銀行預金とは違い、元本が保証されているわけではありません。

資産運用は余裕資金の範囲内でおこない、短期的な乱高下に一喜一憂することなく長期的な目線で続けていくことが大事です。

また、リスク分散のためには「長期・積立・分散投資」がカギになります。いざ老後を迎えたときに「生活するのもままならない」ということにならないように、将来に向けた資産管理を考えておきましょう。

5. 【参考】老後にはいくらお金がかかる?65歳以上無職夫婦世帯の家計収支(2024年)

2025年3月11日に総務省が公表した「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」から、65歳以上無職夫婦世帯のひと月の家計収支を見てみましょう。

65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支(2024年)5/5

65歳以上の生活費

出所:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要

毎月の実収入:25万2818円

■うち社会保障給付(主に年金)22万5182円

毎月の支出:28万6877円

■うち消費支出:25万6521円

  • 食料:7万6352円
  • 住居:1万6432円
  • 光熱・水道:2万1919円
  • 家具・家事用品:1万2265円
  • 被服及び履物:5590円
  • 保健医療:1万8383円
  • 交通・通信:2万7768円
  • 教育:0円
  • 教養娯楽:2万5377円
  • その他の消費支出:5万2433円
  • 諸雑費:2万2125円
  • 交際費:2万3888円
  • 仕送り金:1040円

■うち非消費支出:3万356円

  • 直接税:1万1162円
  • 社会保険料:1万9171円

毎月の家計収支

  • 3万4058円の赤字

この世帯の場合ひと月の収入は25万2818円、その約9割(22万5182円)を公的年金などの社会保障給付が占めます。

一方で支出の合計は28万6877円。そのうち社会保険料や税などの「非消費支出」が3万356円、いわゆる「生活費」にあたる消費支出が25万6521円でした。

この夫婦世帯の場合、毎月3万4058円の赤字となり、不足分を貯蓄の取り崩しなどでカバーしていく必要があります。

参考資料