近年、物価上昇などにより生活に大きな打撃を与えています。
現役世代の方たちは賃金が上がらないなどの理由も相まって、厳しさを増しています。
しかし、年金受給世帯はさらに生活が困窮していると言えるでしょう。
収入は年金が中心です。各世帯によって受け取れている金額に差はあるかと思いますが、決して十分とは言えません。
そんな中、年金等が少ない高齢者に対して支給される「年金生活者支援金」があります。
年金だけでは生活が困窮してしまう世帯が対象となる給付金で、対象の世帯にとってはありがたいものでしょう。
ご自身が受け取れる対象なのか確認しておくといいかもしれません。
しかし、この給付金は生活の助けではあるものの根本的な解決にはなりません。
老後の生活を豊かにとまではいかなくても困らない生活をしたいと考える場合は、現役世代のうちに準備が必要です。
本記事では、制度について確認していき、老後に向けて何をしたらいいのかなど考察していきます。
1. 年金生活者支援給付金「受け取れるのはどんな人?」
年金生活者支援給付金の支給対象となるのは、老齢年金、障害年金、遺族年金を受給中で、一定の要件を満たす人です。
障害年金生活者支援給付金、遺族年金生活者支援給付金の支給要件は「前年の所得が472万1000円以下」の人。障害年金や遺族年金等の非課税収入は、判定に用いる所得には含まれません。また給付額は扶養親族の数に応じて増額されます。
老齢年金生活者支援給付金の支給要件は少しだけ複雑です。以下で整理しましょう。
1.1 老齢年金生活者支援給付金の支給要件《もらえる人はどんな人?》
老齢年金年金生活者支援給付金の支給対象となるのは、下記の1~3をすべて満たす人です。なお、所得要件をわずかに超えて給付対象外となる人は「補足的老齢年金生活者支援給付金(※)」の支給対象となります。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まない)とその他の所得との合計額が以下のとおり
昭和31年4月2日以後生まれの方
- 老齢年金生活者支援給付金…78万9300円以下
- 補足的老齢年金生活者支援給付金…78万9300円超88万9300円以下
昭和31年4月1日以前生まれの方
- 老齢年金生活者支援給付金…78万7700円以下
- 補足的老齢年金生活者支援給付金…78万7700円超88万7700円以下
※補足的老齢年金生活者支援給付金とは?
「年金生活者支援給付金」は所得要件を少しでも超えると支給されないため、基準額ぎりぎりで給付対象となる人よりも、基準額をわずかに超えて給付対象外となる人の方が、かえって総所得が低くなる可能性がありました。この不公平感を解消するために設けられているのが「補足的老齢年金生活者支援給付金」です。
2025年1月25日、厚生労働省は2025年度の公的年金額とともに、年金生活者支援給付金の引き上げを公表しています。次で詳しく見ていきましょう。