3.2 加給年金

加給年金は、厚生年金保険の加入期間が20年以上ある人が65歳になった際に、その人に生計を維持されている配偶者や子どもがいる場合に支給されます。支給額は以下のとおりです。

  • 配偶者(65歳未満):23万4800円
  • 1人目・2人目の子ども(18歳到達年度末または20歳未満で1級・2級の障害の状態にある子):各23万4800円
  • 3人目以降の子ども(18歳到達年度末または20歳未満で1級・2級の障害の状態にある子):7万8300円

加給年金を受け取るには、以下の書類を年金事務所に提出する必要があります。

  • 老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届
  • 受給権者の戸籍抄本または戸籍謄本(記載事項証明書)
  • 世帯全員の住民票の写し(続柄・筆頭者が記載されているもの)
  • 加給年金額の対象者(配偶者や子)の所得証明書または非課税証明書(直近のもの)

戸籍謄本や住民票の請求は有料のため、料金をあらかじめ自治体の担当窓口に問い合わせておくとよいでしょう。

4. その他の給付金

そのほか、自治体で独自に支給している給付金も存在します。例として、以下の2つを紹介しましょう。

  • スマホ購入への助成金
  • 運転免許自主返納への補助金
  • 補聴器購入への補助制度

4.1 スマホ購入への助成金

自治体によっては、スマホの購入に対して助成金を受けられます。たとえば、千葉県市川市では75歳以上の市民で初めてスマホを購入する人を対象に、購入費用の2分の1(上限2万5000円)を助成してくれます。スマホデビューを支援してくれるため、楽に機種変更が可能です。

住んでいる自治体で同様の助成がないか、確かめてみましょう。

4.2 運転免許自主返納への特典

給付金とは異なりますが、免許の返納でさまざまな優待特典が受けられる場合があります。
たとえば、北海道では「北海道高齢者運転免許自主返納サポート制度」を実施しています。65歳以上で運転免許を自主返納した人であれば、道内の協賛店で「料金割引」「ドリンクサービス」「クーポンプレゼント」などさまざまなサービスを受けられます。

サービスを受けるには、免許返納時に受け取れる「運転経歴証明書」を協賛店で提示しましょう。

4.3 補聴器購入への補助制度

国が認めた補聴器を購入した際に、補助金が支給される場合があります。たとえば、東京都品川区では、以下の要件で補助を出しています。

補聴器購入等への補助制度(例:東京都品川区)

補聴器購入等への補助制度(例:東京都品川区)

出所:品川区「高齢者補聴器購入費助成事業(令和6年4月より対象者を拡大しました)」をもとに筆者作成

対象者

  • 区内に住所を有する満65歳以上の方
  • 聴覚障害による身体障害者手帳の対象とならない方
  • 耳鼻咽喉科の医師から本事業の基準を満たす証明を受けた方
    〈基準〉
    ・両耳が40デシベル以上70デシベル未満(中等度難聴)と診断された方
    ・その他、医師から補聴器装用の必要性が認められた方

要件

  • 以下の補聴器を購入した場合
    ・両耳または左右いずれかの耳に装用する補聴器1台の本体費用(補聴器に付属する電池、充電器およびイヤモールド含む)
    ・管理医療機器として認定された製品で、言語聴覚士または認定補聴器技能者が調整し適合状態が確認された補聴器

助成額

  • 最大3万5000円
    ※購入費が上記に満たない場合は、購入費分(千円未満切り捨て)

もし住んでいる自治体で同様の補助制度がある場合は、要件などをよく確かめて活用してみましょう。

5. シニア世代の給付金を上手に活用しよう

シニア世代は年金生活に入る人もいるため、現役のころに比べて収入が下がってしまいます。健康にも気を遣う年齢となるため、医療費支出などが嵩むと生活に影響をおよぼす場合もあるでしょう。給付金を活用して、少しでも実費の支出を抑えたいところです。

まだまだ社会で活躍したい人は、労働や雇用に関する給付金を利用して、引き続き社会貢献に努めていきましょう。

参考資料

石上 ユウキ