4. 老齢年金の受給者層は「住民税非課税世帯」に該当しやすい
住民税課税世帯の年代別割合
出所:厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」をもとにLIMO編集部作成
厚生労働省の「令和5年国民生活基礎調査」では、住民税課税状況を年代別に見ることができます。
調査結果によると、住民税が「課税されている世帯」の割合は30~50歳代では90%前後ですが、60歳代で78.3%、70歳代で64.1%、80歳代では47.5%と下がっていきます。
年金生活に入り収入が減り、住民税非課税となる所得基準を下回る世帯が増えるためと考えられます。遺族年金が非課税であることも、高齢者に住民税非課税世帯が多い要因の一つと言えるでしょう。
4.1 60歳代・70歳代「年金だけじゃ日常生活費もまかなえない」が約3割
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査 2024」では、二人以上世帯のうち60歳代の32.6%、70歳代の30.6%が「(年金では)日常生活費程度もまかなうのが難しい」と回答しています。
また、年金に不安を感じる理由として、物価上昇や医療費・介護費負担の増加などが上位に挙がりました。
今回のような公的な給付金が、すぐに劇的な家計の改善に繋がらない世帯もあるかもしれませんが、支給対象となった場合はしっかり受け取り、活用することが大切です。
※ただし、住民税非課税の判定の基準はあくまでも「収入」です。預貯金などの資産をたくさん持っていても、年金収入が基準以下であれば給付金の支給対象となり得ます。
4.2 給付金の詐欺には要注意!
なお、給付金手続きをうたった「振り込め詐欺」や「個人情報の詐取」などへの注意喚起が多くの自治体などから発信されています。
市区町村(の職員)などから、「銀行口座の暗証番号を教えてください」「これからATMに行って指示通りに操作をしてください」「給付金の振込手数料を支払ってください」といった内容で、メール・電話・訪問が来ることは絶対にありません。
少しでも不審に感じたら、市区町村、最寄りの警察署、または警察相談専用電話(#9110)に連絡しましょう。シニアの親御さんがいらっしゃる人は、ぜひ気にかけてあげてくださいね。
5. まとめにかえて
今回は、住民税非課税世帯への支援策を詳しく振り返ってきました。
現役世代の低所得者層だけでなく、年金生活世帯も多く住民税非課税世帯に分類されていることが分かりました。
老後、公的年金に頼った生活は厳しいのが現状です。
まずは、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で、自分が将来受け取れる年金の額を確認することから始めましょう。
不足する老後資金は、現役時代のうちから計画的に準備しておくことが大切です。
銀行預金だけではなかなかお金が増えない今の状況では、物価の高騰に追いつくことができず資産の目減りにつながる可能性があります。
必要に応じて資産運用を取り入れるのも方法のひとつです。
NISAやiDecoなどの税制優遇がある制度を使ってみるのも良いかもしれません。
ただし、資産運用には元本保証が無いなどのリスクもあります。
自分に適した資産形成の方法を知りたい人は、一度専門家に相談してみるのもおすすめです。