筆者は元信用金庫職員ですが、偶数月の15日になると、多くのお客様が窓口やATMに年金を引き出しに訪れていた光景を今でも思い出します。
老後の生活を支える公的年金ですが、日本経済の現状を考えると、「このまま年金制度は維持できるのか?」と疑問を抱く声も少なくありません。さらに、日本人の平均寿命が延び続けるなか、医療費や介護費用など生涯を通じて必要となる資金は年々増加しています。
政府は年金が少ない人を対象として「年金生活者支援給付金」を支給しています。そこで本記事では給付金の支給要件や給付額について詳しく解説します。ぜひ、本記事を参考にしながら、安心して老後を迎えるための解決策を考えてみてください。
1. 年金生活者支援給付金の支給要件とは?
「年金生活者支援給付金」とは、その名のとおり、生活が厳しくなった年金受給者を支援するためのお金です。年金に上乗せして支給されます。
つまり、公的年金だけでは生活が厳しいという世帯に対し、国が生活をサポートするための制度です。
受け取ることができるのは、「老齢年金(国民年金)」「障害年金」「遺族年金」を受給している人のうち、要件を満たした人です。
1.1 年金生活者支援給付金制度は3種類
年金生活者支援給付金制度には3つの種類があります。それぞれの要件を確認していきましょう。
老齢年金:年金生活者支援給付金の支給要件
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が1956年4月2日以後生まれの人は88万9300円以下、1956年4月1日以前生まれの人は88万7700円以下(※2)である。
(※1)障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まない
(※2)1956年4月2日以後生まれの人で78万9300円を超え88万9300円以下である人、1956年4月1日以前生まれの人で78万7700円を超え88万7700円以下である人には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
障害年金:年金生活者支援給付金の支給要件
- 障害基礎年金の受給者
- 前年の所得(※1)が472万1000円(※2)以下
(※1) 障害年金等の非課税収入は、給付金の判定に用いる所得には含まない
(※2) 扶養親族等の数に応じて増額
遺族年金:年金生活者支援給付金の支給要件
- 遺族基礎年金の受給者
- 前年の所得(※1)が472万1000円(※2)以下
(※1)遺族年金等の非課税収入は、給付金の判定に用いる所得には含まない
(※2)扶養親族等の数に応じて増額
1.2 年金生活者支援給付金が支給されない場合も
なお、次の1〜3のいずれかに該当した場合は、給付金は支給されません。
- 日本国内に住所がないとき
- 年金が全額支給停止のとき
- 刑事施設等に拘禁されているとき
※1または3の場合は必ず届出が必要となります。
続いては、年金生活者支援給付金はいくら給付されるのか、次章で整理していきましょう。