はじめに
社会人として、ビジネスマナーは身に付いていて当たり前のこととされています。正しい言葉遣い、清潔な身だしなみ、お客様への対応の仕方など、ビジネスマナーの良し悪しは、相手に与える印象や信用に深くかかわってきます。一流のビジネスパーソンを目指す人はもちろん、これから新社会人になるという人も、今一度、正しいビジネスマナーについて、ポイントを押さえておきましょう。
目次
1. ビジネスマナーはなぜ必要?
2. ビジネスマナーの基礎1:身だしなみを整えよう
3. ビジネスマナーの基礎2:正しい敬語の使い方
4. ビジネスマナーの基礎3:正しい電話応対の仕方
5. ビジネスマナーの基礎4:正しいメール対応の仕方
6. ビジネスマナーの基礎5:来客応対・お茶出しの仕方
7. ビジネスマナーの基礎6:正しい「報連相(ほうれんそう)」について
1. ビジネスマナーはなぜ必要?
ビジネスマナーとは
ビジネスマナーとは、仕事の場で必要とされる礼儀作法のことを指します。ビジネスマナーは非常に幅広く、身だしなみから話し方、上司や先輩とのコミュニケーション、取引先やお客様への応対の仕方など、仕事をする上で必要とされること全般が含まれています。このため、礼儀を欠いた態度や報告義務を果たさない行動など、正しいビジネスマナーが身に付いていないと、自分だけでなく会社の印象を悪くしかねないという面を持っています。
立場は関係なく評価を受ける
ビジネスの場においては、電話応対や来客への対応など、ひとりひとりが会社の顔として行動することになります。このため、営業職のようにお客様に直接対応する職務に就いているかどうかや、新入社員か否かということは全く関係なく、誰もが等しく「〇〇会社の社員」として評価されることになります。このため、ビジネスマナーはきちんと身に付けていたほうがよいといえます。
顧客満足度にも影響する
前述したとおり、お客様にとって、対応をしたのが誰であろうと、それらはすべて「〇〇会社の対応」ということになります。正しい受け答えや清潔な身だしなみなどはお客様に好印象を与えますし、逆にぞんざいな対応や不快感を与える身だしなみは、お客様に悪い印象を与え、クレームにつながることもあります。このように、ビジネスマナーが守られているかいないかで、顧客満足度も左右されるということがいえるのです。
2. ビジネスマナーの基礎1:身だしなみを整えよう
ビジネスマナーにおいて身だしなみとは、初対面の相手に与える「第一印象」に深く関わってきます。このため、相手には好印象を与えるためにも、まず身だしなみをしっかり整えましょう。以下、今回は男性編と女性編に分けてポイントをご紹介していきます。
男性編
- スーツは体にフィットしたサイズを選びましょう。着用前の、しわ、汚れのチェックも大切です。
- ネクタイは派手なデザインを避け、靴下はビジネスに合った黒か紺か灰色のものを選びましょう。
- ヒゲのそり残しがないか、また髪は清潔かつ乱れがないかチェックしましょう。
女性編
- 服装は、職場が指定したものを着用します(スーツ、オフィスカジュアル、ビジネスカジュアルなど)。スーツの場合は、定番の色を選び、靴はスーツに合わせた色にしましょう。
- スカートの場合はストッキングを必ず着用します(基本は肌色)。
- アクセサリーやメイクは派手なものを避け、控えめにしましょう。
ビジネスにおける基本の身だしなみは、男女ともに「上品かつ清潔感があり、控えめなもの」が基本です。相手の許容範囲にもよりますが、派手な印象を与える服装や髪型は、多くの場合、悪い印象につながりますので、注意が必要です。
3. ビジネスマナーの基礎2:正しい敬語の使い方
間違った敬語を使用すると、ビジネスマナーや社会人としての常識がないと思われてしまうので、しっかり身に付けていきましょう。
敬語の種類
まずは、敬語の種類について理解しましょう。
- 尊敬語
相手を立てたい時に使う話し方です。お客様や上司など敬うべき相手が主語となるときに使います。 - 謙譲語
自分を下げて相手を立てたい時に使う話し方です。お客様や上司など敬うべき相手に対して、自分を主語として話す時に使います。 - 丁寧語
ものごとを丁寧に伝えたい時に使う話し方(です・ます など)です。立場などは関係なく、丁寧に表現したい時に使います。
例えば、「いう」は尊敬語だと「おっしゃる」、謙譲語だと「申し上げる」になります。また、「聞く」は尊敬語だと「お聞きになる」、謙譲語だと「拝聴する、うかがう」となります。
ビジネスの場で間違えやすいフレーズ
ビジネスの場での一人称は、男女ともに「わたし」「わたくし」を使うこととされています。日常会話で使うようなオレやボク、自分といったいい方は避けるようにしましょう。
また、ビジネスの場でよく使うねぎらいの言葉ですが、「ご苦労さまです」は目上の人にはNGとされています。目上の人へは「お疲れさまです」を使いましょう。
4. ビジネスマナーの基礎3:正しい電話応対の仕方
次はビジネスマナーにおける基本的な電話応対についてみてみましょう。
3コール以内に電話を取る
電話を取るときは、3コール以内に取るよう心がけましょう。3コール以内で取れなかった場合は、「お待たせいたしました」や「大変お待たせいたしました」などおわびの言葉を始めに付け加えることがビジネスマナーです。
メモを取って復唱する
電話をかけなおす場合や、今後もやり取りがある場合は、必ず相手の連絡先(会社名、部署名、名前、電話番号など)と用件をヒアリングしメモを取りましょう。また、相手の連絡先は間違えがないよう復唱して確認します。
明るい声と丁寧な話し方を心がける
電話では、声や話し方が相手の受ける印象に深く関わってきます。電話に出るときは、できるだけ明るい声で丁寧な話し方を心がけましょう。また、相手が聞き取りやすいように声の大きさや話すスピードに気を付けることもポイントです。
相手を待たせる場合は折り返し連絡にする
相手を長く待たせると、その分相手の時間を奪ってしまいます。取次先がわからない、確認に時間がかかる場合は、相手に断ってから一度電話を切り、折り返し連絡をしたほうがよいでしょう。
取り次ぐ担当者が社内にいる場合、いない場合
社内に取り次ぐ相手がいる場合は、いったん保留にしてから、相手先の情報を担当者へ伝えたのち電話をつなぎます。また、担当者が外出している場合や席を外している場合は、相手の連絡先と用件をヒアリングし、折り返し連絡する旨を伝えます。
担当者が会議中や電話中の場合
担当者が会議中や電話中の場合、相手の緊急度によって対応を変えましょう。まずは担当者が会議中(電話中)であることを相手へ伝え、「お急ぎのご用件でしょうか」と緊急度を確認します。急ぎの場合は、担当者が所属する部署へ対応を相談し、急ぎでない場合は、相手の連絡先と用件をヒアリングし、折り返し連絡する旨を伝えましょう。
5. ビジネスマナーの基礎4:正しいメール対応の仕方
次は無事ネスマナーにおける基本的なメール対応について説明します。メールは、社内メールと社外メールで書き方が変わってきますので、例を確認しながらポイントをおさえましょう。
件名の書き方
件名は、一目で「何についてのメールなのか」わかるよう、明確かつ簡潔に書きましょう。ポイントは、緊急性・具体的な内容・日付や時間・メールの目的を組み込むことです。また、件名の中でも強調したいことなどはカッコ書き(【】など)にしておくと、相手の目に入りやすいです。
社内の場合例)【至急】○○の件について確認依頼
社外の場合例)〇月〇日○○についてのご案内
宛名の書き方
宛名の書き方は、社内であれば、部署名・役職名・名前・敬称の順で、社外であれば、会社名・部署名・役職名・名前・「様」の順で書きます。
社内の場合
例)営業部○○部長※部署宛てに送る場合は、「○○部各位」などと書きます。
社外の場合
例)○○株式会社
○○部部長○○様
TO、CC、BCCの使い方
- TO=宛先のことです。メール内容の作業や処理をお願いしたい人を入れます。返信が必要な要件の場合、宛先として指定された人が返信するのが基本ルールです。
- CC=メインの宛先ではなく、メールの内容を知っておいてほしいという人を指定します。基本的には、メールの内容を確認するだけになります。
- BCC=他の受信者に、アドレスや送信したということを知らせないようにして、メールの内容を共有したい場合に使います。
本文の構成について
メール本文は、相手に内容を「正確」かつ「わかりやすく」伝わるように書く必要があります。そのため、用件(結果)を先に述べましょう。説明や補足が必要な場合は、用件を述べた後になるべく簡潔に書いていきましょう。
署名の書き方
署名はメールにつける名刺のようなもので、以下の項目を入れていきましょう。
- 会社名、部署名
- 名前
- 住所
- 電話番号
- FAX番号
- メールアドレス
- ウェブサイトのURL
6. ビジネスマナーの基礎5:来客応対・お茶出しの仕方
ビジネスマナーにおける、来客対応も大切です。スマートな応対はお客様に好印象を与えるため、しっかり身につけましょう。
応対
来客に気が付いたら、速やかに立ち上がり、「いらっしゃいませ」と笑顔であいさつをし、お辞儀をします。そして、相手の会社名、氏名を失礼がないように尋ね、アポイントがあるかを確認し担当者へ引き継ぎます。
部屋へのご案内
応接室や会議室などにご案内する場合は、お客様の2、3歩前をお客様の歩幅やスピードに合わせて歩きます。部屋の前についたら、ドアが外開きの場合は、部屋の外でドアをおさえながら先にお客様を通し、ドアが内開きの場合は、お客様より先に入室し、中でドアをおさえながらお客様を通します。お客様が入室されたら、上座にご案内し、「担当者が参りますので、少々お待ちください」とお伝えします。退室の際は、「失礼いたします」と一礼し、ドアを静かに開閉します。
お茶出しについて
お茶は、運ぶ時にこぼれないよう7分目を目安にいれ、お盆の上に乗せて運びます。部屋に入る前には必ずノックをし、「失礼いたします」といってから入室します。お茶を出す際は、上座のお客様から順に、「どうぞ」と声をかけながらお客様の右側からお出しします。出し終えたら、再度「失礼いたします」と一礼し、ドアを静かに開閉して退出します。
7. ビジネスマナーの基礎6:正しい「報連相(ほうれんそう)」について
次にご説明するビジネスマナーはビジネスの場でよく聞く「報連相(ほうれんそう)」についてです。
ほうれんそうとは、報告・連絡・相談を略したもので、特に社会人になりたての時は、上司や先輩と信頼関係を築くための特に重要なポイントとなります。
報告
報告は、自分が取り組んでいる事柄の経過や結果を、指示を受けた上司や先輩に伝えることです。例えば、上司から仕事を頼まれ、その仕事が終わった時「完了しました」と上司に知らせますが、これが報告となります。報告は、上司に経過を聞かれる前に、自分からするのが基本的なルールです。また、進捗が遅れているときは、「遅れている。」という事実だけではなく、その理由も付け加えて報告するようにしましょう。
連絡
連絡は、事柄の関係者全員に必要な情報を伝えることです。遅刻や欠勤の連絡、打ち合わせや会議開催の連絡などが、これにあたります。連絡は、多くの人に同時に知らせなくてはいけない場合が多いので、情報を正確かつ簡潔にわかりやすく伝えることがポイントです。
相談
相談は、自分で判断できないことや、解決に時間がかかることを、上司や先輩に相談することです。まずは、自分で考えたり調べたりすることが必要ですが、なかなか解決せずに時間がかかってしまうのであれば、自分の考察や調べた結果を述べた上で、上司や先輩に相談したほうがよいでしょう。また、相談の際には、上司や先輩の都合を聞いてから話すなど相手への配慮も必要です。
おわりに
いかがでしたでしょうか。「ビジネスマナーは覚えることが多い!」と思われた人もいるかもしれませんが、ひとつひとつはどれも難しいものではなく、根底にあるのは「相手への気遣いや思いやりをもった行動」です。最初は意識をしてしないと難しいかもしれませんが、仕事と同様、ビジネスマナーも何度も繰り返し行うことで身に付きます。まずは実践あるのみ。どんどん実践していきましょう。
LIMO編集部