8. 老齢年金の「繰上げ」「繰下げ」について知っておこう
老齢年金の受給は原則として65歳ですが、「繰上げ」「繰下げ」も可能なことをご存じでしょうか。
ここでは、若い世代が知っておきたい「年金」の基本について、説明します。
8.1 Q 老齢年金は「繰上げ」「繰下げ」で受給可能って本当?
→A はい、ご自身の状況に合わせて、繰上げまたは繰下げて受給開始時期を選べます!
老齢年金の受給は、原則として65歳からです。
しかし、受給開始時期は「繰上げ」または「繰下げ」を選ぶこともできるのです。
繰上げ受給とは?
65歳よりも早く年金を受け取り始める制度。年金額は繰上げ時期に応じて減額されます。
繰下げ受給とは?
66歳以降に受給を遅らせることで、年金額を増額させる制度です。
「繰上げ」「繰下げ」のどちらにもメリットとデメリットがあります。
8.2 繰上げ受給について
メリット
生活費の足しにしたい、早期リタイア後の収入源にしたいなど、早くから年金を受け取りたいというニーズに応えられます。
デメリット
繰り上げ請求をした時点に応じて、年金額が減額されます。この減額率は一生涯変わらないため、長期的に見ると受け取る年金の総額が少なくなる可能性があります。
8.3 繰下げ受給について
メリット
長生きする可能性が高い、老後の生活費をできるだけ増やしたい、などの理由で、将来の年金額を増やしたい方に向いています。
デメリット
受給開始年齢を遅らせる分、年金を受け取れない期間が発生します。その間の生活費をどのように確保するか、貯蓄や他の収入源など、しっかりとした計画を立てる必要があります。
年金受給開始時期の決定は、ご自身の健康状態や家計などを総合的に考えて、慎重に行うことが大切です。
9. まとめにかえて
ここまで、現代シニアが受給している公的年金の平均額を一覧でみてきました。今後も日本の社会・経済の変化に伴い、様々な公的制度も定期的に改定される可能性が高いことが予想されます。
あわせてコロナ禍以降本格的な物価高が続いており、日々の生活費の負担感が増し続けています。
将来的な生活費の負担増に対応するためにも、しっかりと計画的に貯蓄・資産形成を進めていくことや、少なくとも物価の上昇に負けない資産運用を取り入れていくことが求められる時代になってきたと言えます。
また、医療費への対策としては、民間の保険会社で加入することができる「保険」を活用することも一つです。特に預貯金が少ないうちは、どうしても突発的な医療費の支出の影響は大きいため、保険を持つことで経済的なリスクや負担を減らすことが可能となります。
ただし、人によって状況は異なりますので、杓子定規に考えるのではなく、自分にとってどのような選択肢や組み合わせが合っているのか、そのバランスを意識して考えてみることをおすすめします。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
小沼 大助