老後の生活資金不足に備える「自分年金」
「人生100年時代」と言われています。老後の生活費が心配なところですが、公的年金だけでは不足すると言われています。不足分を補うためには自分年金づくりが必要です。
自分年金の一つの方法として、個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」があります。加入者が毎月一定の金額を積み立て(掛金の拠出)、定期預金・保険・投資信託などの金融商品で自ら運用し、60歳以降に年金または一時金で受け取ります。原則、60歳になるまで引き出すことはできません。
「iDeCo(イデコ)」は、積立金額がすべて「所得控除」の対象です。また、運用で得た定期預金利息や投資信託運用益が「非課税」で、受け取るときは「公的年金等控除」「退職所得控除」の対象となるといった税制優遇メリットがあります。
一方、自分年金の方法として、個人年金保険を考える人もいるかもしれません。個人年金保険とは保険会社が販売する生命保険の一種です。大きな特徴は、その仕組みです。個人年金保険は、契約者が支払う保険料を原資にして保険会社が運用を行い、契約時に定めた年数経過後、一定期間にわたり年金が受け取れるというものです。
個人年金保険選択のポイントは?
多くの保険会社から、さまざまな個人年金保険が販売されています。その区別に迷うところですが、いつかのポイントで整理すれば理解しやすくなります。
まず、年金を受け取る期間です。大きく「有期年金」「確定年金」と「終身年金」の3つに分けることができます。
「有期年金」は、年金を受け取る期間が5年、10年など一定期間に決められています。被保険者が死亡すると年金の支払いは終了します。
「確定年金」も有期年金と同様に、年金を受け取る期間が5年、10年など一定期間に決められていますが、年金受取期間中に死亡すると、残りの期間分の年金または一時金を遺族が受け取ることができます。つまり年金の受け取りが「確定」しているわけです。
これらに対して「終身年金」は、生きている限りずっと年金を受け取ることができるものです。ただし、死亡すると年金の支払いが終了します。
「有期年金」「終身年金」は、年金受け取り期間中に非契約者が死亡すると年金の支払いが終了します。そこで、保証期間中に被保険者が死亡した場合でも残りの保証期間分の年金または一時金が受け取ることができるようになっている「保証期間付有期年金」「保証期間付終身年金」などもあります。
個人年金保険の区別のポイントの2つ目は保険料の支払い方法です。保険料の支払い方法には「月払い」「半年払い」「年払い」などのほか、保険料を契約時に一括ですべて支払ってしまう「一時払い」、保険期間分の保険料をすべて保険会社に預け支払期日が来たら支払う「全期前納払い」などがあります。
個人年金保険の区別のポイントの3つめは運用の方法です。「定額年金」は、将来の年金受け取り額があらかじめ決まっています。それに対して「変額年金」は、株式や投資信託などの資産で運用し、運用成績次第で年金の受取額が増減します。このほか、運用する通貨についても、「円建て」「外貨建て」などの違いがあります。
働き盛り世代であれば、個人年金保険以外の方法も検討を
個人年金保険の種類などについて紹介しました。保険会社では「貯蓄と保険を兼ね備えた」と訴求することがありますが、実は個人年金保険はなかなか使いづらいところです。
というのも、途中で解約すると元本を割り込むため長期間にわたって契約を続けなければなりません。まだ子どもが小さいような人がそのために、毎月の保険料に苦労するとすれば本末転倒です。
それだけのリスクを負いながら、長い間保険料を支払い続けても、現状は決して返戻率が高くありません。逆に、変額年金ではリーマンショック後、元本割れとなっている保険も多いようです。
すでに引退し、まとまった資金がある人なら、一時払いなどで利用するのもいいかもしれませんが、働き盛りの人であれば、つみたてNISAなども含め、他の方法なども検討した上で、利用するといいでしょう。
上山 光一