4. 高額受給者は12月15日の年金支給日に「約60万円」支給されることも
厚生年金を月額30万円以上受給する人は、年金支給日に「約60万円」が支給されます。
これは、年金は毎月ではなく年に6回、偶数月の15日(※)に支給が行われるためです。
次回の年金支給日である12月15日には、2ヵ月分である「60万円」が一度に支給されることになります。
60万円もの資金が支給されるとなると生活にも余裕ができそうなところですが、あくまでこの金額は2ヵ月分という点に注意してください。
また、年金からは所得税や住民税、健康保険料、介護保険料が天引きされます。その結果、手元に残るお金はもっと少なくなる点にも注意が必要です。
5. 将来に向けた資産形成、どうすれば?
老後に30万円以上の年金収入を望むのは、残念ながら難しいことがわかりました。ここからは、老後資産を作る仕組みを3つご紹介します。
5.1 個人年金保険
1つ目は保険会社が販売している「個人年金保険」です。昔から販売されているため、馴染みがあるかもしれません。
個人年金保険では大きなリターンを得ることは難しいですが、安定的にお金を積立てることができるため根強い人気を持っています。
貯蓄習慣がつけられず、つい使ってしまうという方は選択肢のひとつになるでしょう。年末調整や確定申告を行うことで節税効果が期待できるのもポイントです。
大きく増やすことは難しいですが、安定的に積立を行い方には相性が良い仕組みです。
5.2 iDeCo
iDeCoであれば、個人年金よりも大きなリターンを狙うことが可能です。安定的な商品への投資も可能ですし、株式中心の投資信託で積極的な運用をすることもできます。
また、積み立てる金額は全額所得控除として利用できます。
大きなリターンを狙うとその分リスクも上がること、また原則として老後まで引き出すことが出来ない点には注意が必要ですが、老後のお金を積極的に作りたい方に適している仕組みです。
5.3 NISA制度
最後はNISA制度です。株式にも投資ができるため、大きなリターンを狙うことが可能です。
利益や配当が課税されず、加入してから引き出すまでの期間も自由なところも人気が高いポイントです。
ただし、元本保証が無い点はしっかりと押さえておく必要があります。大切な老後資金だからこそ、安定的な仕組みと組み合わせて利用することをおすすめします。
メリットとデメリットを把握した上で、自分にあった方法を取り入れて将来の準備を始めましょう。
6. まとめにかえて
今回は厚生年金と国民年金の平均受給額や、高額受給者の存在について解説してきました。受給額が大きい方は現役時代の年収が高い方です。受給額が多いと安心に思えますが、対象者は一握りの人です。
また、高額受給者であっても現役時代から収入は下がるため、誰もが等しく老後計画を立てることが重要です。
現役時代に収入が高かった方は生活水準も高いことが多く、退職後もその水準を下げることができずに急速に資産が減っていくケースがあります。
受給額が高くても低くても、年金だけで生活していくことは厳しいでしょう。人生100年時代といわれるようになり、銀行預金だけでは老後を安心して過ごすことは難しくなりました。
この記事をきっかけに、将来の資産状況を考えるきっかけにしていただければ幸いです。
参考資料
橋本 高志