3. 65歳以上の「無職」夫婦世帯。貯蓄平均は2504万円
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、世帯主が65歳以上の無職世帯の貯蓄額の平均は、2023年時点で2504万円でした。
平均貯蓄額の推移は以下の通りです。
3.1 65歳以上・無職夫婦世帯の平均貯蓄額:2018年から2023年までの推移
- 2018年:2233万円
- 2019年:2218万円
- 2020年:2292万円
- 2021年:2342万円
- 2022年:2359万円
- 2023年:2504万円
65歳以上の無職夫婦世帯における平均貯蓄額は、近年増加傾向にあります。2020年には2200万円台、2021年には2300万円台に達し、2023年には2504万円となりました。
こうした背景には、以下のような要因が考えられるでしょう。
- コロナ禍による消費行動の抑制
- 将来への経済的な不安感の高まり
- 少子高齢化に伴う年金制度への懸念
- 物価上昇への対策としての資産運用(NISA活用など)の普及
ただし、これらの数値はあくまで平均値であり、実際の貯蓄額は各世帯の状況によって大きく異なります。
近年は、定年後も働き続けるシニアが増えていますね。次では65歳以上の「勤労世帯も含めた」全体の貯蓄についても見ていきましょう。
4. 65歳以上の勤労世帯も含めた全体の貯蓄額平均はいくら?
同じく総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、勤労世帯も含めた65歳以上世帯の平均貯蓄額は2462万円です。
4.1 65歳以上世帯の貯蓄額分布
4.2 65歳以上の二人以上世帯の貯蓄額(平均・中央値)
- 平均:2462万円
- 貯蓄保有世帯の中央値:1604万円
ただし平均値は一部の富裕層に引き上げられる傾向があるため、注意が必要です。より実態に近い「貯蓄保有世帯の中央値(※)」は1604万円となっています。
さらに、貯蓄額には大きなばらつきがあり、二極化が進んでいる点が懸念されます。2500万円以上の貯蓄がある世帯が34.1%を占める一方、300万円未満の世帯も15.1%存在するという状況です。
このことから、高齢者世帯の貯蓄状況は決して一様ではなく、十分な老後資金を持つ世帯と、そうでない世帯が混在していることが分かります。
老後の生活資金をどのように確保していくか、早いうちから計画を立て、準備を進めておくことが重要と言えるでしょう。
※ 貯蓄保有世帯の中央値とは、貯蓄「0」世帯を除いた世帯を貯蓄現在高の低い方から順番に並べたときに、ちょ
うど中央に位置する世帯の貯蓄現在高をいう。
5. まとめにかえて
今回は、65歳以上の無職夫婦世帯の生活状況に焦点を当て、どのような生活を送っているのかを確認してきました。
これまで一生懸命貯蓄したところから預金を削りながら生活しているという方も多いのではないでしょうか。
仮に1000万円預金があったとしても、この2年ほどの物価上昇で、2年前に1000万円で変えていたものと、今1000万円で買えるものは違っているでしょう。
貯蓄は素晴らしい蓄財方法ですが、物価に連動する資産の配分を増やしてあげることで、少しでもお金の寿命を延ばしてあげることを考えることが今必要なことなのかもしれません。
参考資料
足立 祐一