老後に受け取る老齢年金の額は、納付した国民年金保険料と厚生年金保険料などによって決定します。

しかし、厚生年金に加入しない働き方をしていた場合、国民年金のみを受給することになるため、老齢年金の額は一般的に低額となります。

厚生労働省の調査によると、2023年の年度末時点において、国民年金の第1号・3号被保険者は合計で2000万人を超えています。

国民年金は満額でも2024年度で月額6万8000円となっており、これだけで生活するのは難しい水準でしょう。

【写真全6枚】1枚目/公的年金被保険者数の推移(年度末時点)。写真後半では「年金生活者支援給付金」の平均給付月額を一覧で紹介1/6

公的年金被保険者数の推移(年度末時点)

出所:厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

「年金生活者支援給付金」は、年金受給者の中でも低所得な人に対する経済的な支援策として創設されました。

今回は、この給付金の対象者と給付額を詳しく説明し、受給している人に対する「平均給付額」を解説していきます。

もし年金額が低額になる可能性がある人は、ぜひ参考にしてください。

1. 年金生活者支援給付金とは

年金生活者支援給付金は、2019年の消費税率引き上げの際に、消費税増税分を財源として開始された制度です。

この給付金は、老齢・障害・遺族それぞれの基礎年金を受給している人が、年金等の収入や所得の合計額が一定以下である場合に、経済的支援を図るために支給されるものです。

給付金の種類は、基礎年金の種類ごとに3種類が存在します。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

※老齢年金のみ、給付金を受け取っている人が受け取っていない人の年金額を上回ることがないよう、「補足的老齢年金生活者支援給付金」という制度により調整が行われます。

年金生活者支援給付金の概要2/6

年金生活者支援給付金の概要

出所:厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」

2. 給付額と受給要件

給付金の対象者となるための受給要件は、給付金の種類によって異なります。

それぞれの給付金の対象要件と給付額を簡単に解説をしていきます。

年金生活者支援給付金の給付額と受給要件3/6

年金生活者支援給付金の給付額と受給要件

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」を元に筆者作成

2.1 老齢年金生活者支援給付金

【対象者】

下記の全てを満たす者

  • 65歳以上の老齢基礎年金受給者であること
  • 前年の公的年金等収入とその他所得の合計が下記の基準額以下であること

※基準額は生年月日により以下の通り
昭和31年4月2日以後生まれ:88万9300円
昭和31年4月1日以前生まれ:88万7700円

  • 世帯全員が市町村民税非課税であること

※老齢年金の繰下げ支給の申請をしている場合は、繰下げ中は給付金を受け取ることはできません。

【支給額】

基準となる支給額は月額5310円(年間6万3720円)です。

ただし、国民年金の未納期間や免除期間がある場合は、その期間に応じて支給額が減額されます。

2.2 補足的老齢年金生活者支援給付金とは

3種類の給付金のうち、老齢年金には、原則の給付の他に「補足的給付」が存在します。

上記の所得要件を満たさない場合であっても、下記の基準額以内の人に対して、老齢年金生活者支援給付金を受給する者と所得総額が逆転しないよう支給される給付金です。

これを、補足的老齢年金生活者支援給付金と呼びます。

※基準額
昭和31年4月2日以後生まれ:78万9300円を超え88万9300円以下
昭和31年4月1日以前生まれ:78万7700円を超え88万7700円以下

【支給額】

補足的老齢年金生活者支援給付金の金額は、受給者の所得金額に応じて年金生活者支援給付金の受給者と逆転が生じないように算定されます。

前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額と給付金上乗せ後の額(年額)グラフ4/6

前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額と給付金上乗せ後の額(年額)グラフ

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金の概要①」

2.3 障害年金生活者支援給付金

【対象者】

下記の全てを満たす者

  • 障害基礎年金を受給していること
  • 前年の所得が472万1000円以下(扶養親族等の数により増額)

【支給額】

年金受給の元となっている障害等級により支給額が異なります。

  • 1級:月額6638円(年間7万9656円)
  • 2級:月額5310円(年間6万3720円)

2.4 遺族年金生活者支援給付金

【対象者】

下記の全てを満たす者

  • 遺族基礎年金を受給していること
  • 前年の所得が472万1000円以下(扶養親族等の数により増額)

【支給額】

月額5310円(年間6万3720円)が基本ですが、遺族となっている子が複数いる場合は、人数で割った金額がそれぞれに支給されます。

2.5 所得金額の算定について

給付金の受給要件を確認する際の所得要件の注意点を説明します。

給付対象者の要件である所得要件では、公的年金のうち遺族年金・障害年金は、非課税収入という扱いのため含まれません。

つまり、遺族年金や障害年金の受給金額が高額であったとしても、その他の所得や老齢年金の受給額が基準金額以下であれば、給付金を受け取ることができます。

3. 年金生活者支援給付金の給付額

それでは、実際にどの程度の人が、いくらほどの支援を受けているのでしょうか。給付金の支給状況を確認していきます。

3.1 給付金の支給件数と平均給付額

2024年8月の速報値では、各給付金の支給件数と平均給付額は以下の通りとなっています。

年金生活者支援給付金の件数と給付金総額5/6

年金生活者支援給付金の件数と給付金総額

出所:厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

【支給件数】

  • 老齢年金生活者支援給付金:451万7693件
  • 補足的老齢年金生活者支援給付金:104万7786件
  • 障害年金生活者支援給付金:215万4650件
  • 遺族年金生活者支援給付金:7万2202件

年金生活者支援給付金の平均給付金額(月額)6/6

年金生活者支援給付金の平均給付金額(月額)

出所:厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

【平均給付額】

  • 老齢年金生活者支援給付金   :月額4147円
  • 補足的老齢年金生活者支援給付金:月額2183円
  • 障害年金生活者支援給付金   :月額5734円
  • 遺族年金生活者支援給付金   :月額5230円

決して大きな金額ではありませんが、日々の生活費を支える上で、少なからず助けとなるでしょう。

4. まとめにかえて

年金生活者支援給付金は、経済的に苦しい状況にある年金受給者を経済的に支援するための重要な制度です。受給対象者に該当する方には、年金機構から請求のための通知が送られてくるため、請求漏れのないように注意しましょう。

該当であるはずなのに年金機構からの通知が届かない場合には、お近くの年金事務所に問い合わせをしてみてください。

政府の生活支援制度を有効に活用することにより、生活の安定に繋げることができるはずです。

※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。

参考資料