2025年1月24日、厚生労働省より最新の年金額が公表されました。公的年金の受給額は、物価高による生活の負担を考慮し、1.9%の増額となります。

筆者がファイナンシャルプランナーとして日々お金に関する相談を受ける中で、「老後資金はどのくらい必要なのか?」という質問が増えていると感じます。  

実際にシミュレーションを行い必要資金を算出すると、老後に2000万円以上必要になるケースが珍しくなくなってきました。かつて話題となった「老後2000万円問題」ですが、昨今の物価上昇を考慮すると、必要資金額はさらに増えている可能性があります。  

そこで本記事では、70歳代の世帯の貯蓄額に焦点を当て、実際に老後生活を送る人々がどの程度の準備をしているのかを詳しく掘り下げていきます。

1. 「貯蓄が3000万円以上ある」70歳代世帯は19.7%

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」では、「二人以上世帯」と「単身世帯」のお金に関する調査を「インターネットモニター調査」により実施しています。

毎年発表される資料をもとに、70歳代・二人以上世帯の貯蓄事情を確認していきましょう。

※金額等は執筆時点での情報にもとづいています。
※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。

1枚目/70歳代・二人以上世帯の貯蓄額円グラフ。2枚目では2025年度の年金額例を紹介

【貯蓄額の円グラフ】70歳代・二人以上世帯

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」をもとにLIMO編集部作成

1.1 【70歳代・夫婦世帯(二人以上世帯)の平均貯蓄額】

  • 平均値:1757万円
  • 中央値:700万円

1.2 【貯蓄額一覧表】70歳代・夫婦世帯の貯蓄割合

  • 金融資産非保有:19.2%
  • 100万円未満:5.6%
  • 100~200万円未満:5.1%
  • 200~300万円未満:4.3%
  • 300~400万円未満:4.7%
  • 400~500万円未満:2.5%
  • 500~700万円未満:6.2%
  • 700~1000万円未満:5.8%
  • 1000~1500万円未満:10.2%
  • 1500~2000万円未満:6.6%
  • 2000~3000万円未満:7.4%
  • 3000万円以上:19.7%

平均貯蓄額は1757万円ですが、中央値は700万円と実態に近い数値です。70歳代の二人以上世帯の貯蓄状況は二極化しています。

貯蓄が全くない世帯が19.2%、貯蓄500万円未満の世帯が22.2%存在していることからも、生活が厳しい世帯が少なくないことがわかりますね。

退職金や年金だけでは十分な老後資金を確保できない世帯も、増えているのでしょう。

次章では、2025年度の年金額や、国民年金と厚生年金の受給額について詳しく見ていきます。