少子高齢化が進む中で、将来自分が実際受け取ることのできる公的年金がいくらくらいなのか、物価高が続く中でもし年金額が減ってしまうと困ってしまうのではないかー老後の生活費について、漠然とした不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
2025年7月14日、日本銀行は「生活意識に関するアンケート調査」(第102回査)の結果を公表しました。この調査の中でも、「物価に対する実感」は75.3%の人が物価がかなり上がったと感じ、「暮らし向き」についても約6割の人がゆとりがなくなってきたという回答をしています。
実際少しでも老後の生活を楽にするために、65歳以降も働き続ける人も増えています。
一方で、年金受給をしている高齢者世帯でも3000万以上の貯蓄ができている世帯もあり、世帯の家計状況によっても老後の生活についての感じ方は様々でしょう。
本記事では、今どきの70歳代の夫婦世帯の貯蓄がどれくらいあるのかを具体的に見ていきながら、老後の収入の柱となる公的年金の受給額についても改めて確認していきたいと思います。
老後に対する漠然とした不安を解消するためにも、高齢者世帯のリアルな家計状況を確認して、ご自身の老後資金準備の参考にしてみてください。
1. うらやましい!「70歳代で貯蓄3000万円以上ある」世帯はどのくらい?
J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」の「70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)」をグラフを交えて確認していきます。
※金融資産保有額には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。また、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
「70歳代・二人以上世帯」の平均貯蓄額は1923万円ですが、この数字は一部の富裕層によって押し上げられており、実際の生活水準とは乖離している可能性があります。
より実態に近いとされる中央値は800万円であり、多くの世帯の貯蓄額がこの水準に集中していることがうかがえます。
世帯ごとの貯蓄額分布は以下のとおりです。
- 金融資産非保有:20.8%
- 100万円未満:5.4%
- 100~200万円未満:4.9%
- 200~300万円未満:3.4%
- 300~400万円未満:3.7%
- 400~500万円未満:2.3%
- 500~700万円未満:4.9%
- 700~1000万円未満:6.4%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:8.9%
- 3000万円以上:19.0%
- 無回答:3.5%
70歳代・二人以上世帯の中で最も多いのは、金融資産を保有していない「貯蓄0円」の世帯で、全体の20.8%を占めています。
一方で、3000万円以上の貯蓄を持つ世帯も19.0%存在しており、世帯間の資産状況には大きな差があることがわかります。