新しいNISA(新NISA)は2年目の春を迎えました。
「日本人は預貯金を好む」と言われ、投資への関心が低めと思われていますが、この新NISAスタートをきっかけに資産運用を始めたという人もいるのではないでしょうか。
一方、新NISAが話題になっているとはいえ、詳しい制度の内容や運用のポイントが分からず、二の足を踏んでいるという人もいるかもしれませんね。
今回は、いまさら聞けない新NISA制度の仕組みについて詳しく解説します。
1. 【今さら聞けないNISAのしくみ】新NISAのキホンを徹底整理
NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)は、2014年に始まった税制優遇制度です。2024年には制度が大幅に拡充した「新しいNISA(新NISA)」となりました。
NISA最大の強みは投資で得た利益(譲渡益や配当金等)(※1)に税金がかからない点です。通常の証券口座(特定口座や一般口座)で得た利益には約20%(※2)の税金がかかりますが、NISA口座ではこれが非課税となります。
NISA口座は一人一口座しか開設できませんが、金融機関の変更は年単位で可能です。最低購入金額や取扱商品のラインナップは金融機関により異なります。ご自身の投資スタイルに合った証券会社や銀行を選びましょう。
※1:売却益、配当/分配金
※2:所得税15.315%+住民税5%=20.315%
2. 新NISAでは「つみたて投資枠+成長投資枠」両方使える!
新NISAでは、制度(口座開設期間)は恒久化し、非課税保有期間は無期限です。また、一つの口座で「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の両方を使うことができます。
非課税の投資総枠は1800万円(うち成長投資枠は1200万円)。商品を売却した場合、その取得金額分の非課税投資枠が翌年以降に復活し、再利用が可能となります。
新NISA「成長投資枠」
- 投資対象商品:上場株式・投資信託など
-
年間投資上限額:240万円
新NISA「つみたて投資枠」
- 投資対象商品:金融庁の基準を満たした「長期の積立・分散投資」に適した一定の投資信託
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年間投資上限額:120万円
次では、新NISAのつみたて投資枠を活用した「50歳から始める積立投資」のシミュレーション結果を、毎月の積立金額別・想定利回り別で見ていきます。
3. 50歳から始める《新NISAで積立投資》65歳で2000万円が目標!
まずは「50歳から65歳までの15年間」で、2000万円の老後資金を準備することを考えてみましょう。
金融庁の「つみたてシミュレータ」を使い、想定利回り3%の投資信託で積立投資を続けた結果を、毎月の積立金額別に見てみます。
3.1 【積立金額別】15年間×3%の積立投資をシミュレーション
毎月の積立金額:資産評価額
- 1万円:227万円
- 3万円:680万9000円
- 6万円:1361万8000円
- 9万円:2042万8000円
- 12万円:2723万7000円
※想定利回り:年3%
シミュレーション結果では、想定利回り3%で15年間(50歳~65歳)、毎月9万円を積み立て続けた場合、資産が2000万円を超える見込みです。
ただし利回りは事前に約束されているものではありません。家計の事情で積立をストップ、もしくはスキップせざるを得ないこともあるでしょう。こうしたリスクも考慮しておく必要があります。
4. 50歳から始める《新NISAで積立投資》ゴールは65歳!想定利回り1~5%でシミュレーション
次は「毎月5万円を15年間積み立て続けた場合」の運用結果を、想定利回り別(1~5%)でシミュレーションしてみましょう。
4.1 【シミュレーション】
- 50歳から65歳までの15年間で、老後資金を準備したい
- 積立額は毎月5万円
- 投資信託は「安定的な運用」を重視した1~5%の商品
シミュレーションの結果は次のとおりです。
4.2 【新NISA】想定利回り別「月5万円」積立投資シミュレーション結果
4.3 【シミュレーション結果】積立投資「毎月5万円」×15年×「年1~5%」
想定利回り:資産評価額(元本部分は900万円)
- 年1%:970万6000円
- 年2%:1048万6000円
- 年3%:1134万9000円
- 年4%:1230万5000円
- 年5%:1336万4000円
上記のように、15年間で合計900万円を積み立てていく場合、想定利回りによっては70万~436万円ほど資産を増やせる可能性があります。
しかし、投資には様々なリスクが伴います。運用状況によっては元本を割り込む可能性も想定しておく必要があります。
また、高いリターンを追求する際には、相応のリスクも伴うことも心得ておきましょう。たとえば5%のリターンを期待しているなら、逆に5%の損失を被る可能性もあるということです。
次では、老後に向けた資産形成をおこなううえで知っておきたい「年金」の最新情報についても触れておきます。
5. 4月分から「年金1.9%増額」は実質目減り《老後資金をどう増やす?》
2025年度(令和7年度)の年金額は、4月分(6月支給分)から、前年度より1.9%増額となりました。
3年続けてのプラス改定にはなったものの、「マクロ経済スライド(※)」により物価上昇率を下回る改定率に。よって、実質的には年金額は目減りしています。物価上昇に年金額が追い付けていないのです。
「人生100年時代」と呼ばれる老後に向けた資産づくりは、長寿リスクとインフレリスクを意識していく必要がありそうです。預貯金と並行して、資産運用でお金を育てる視点も求められていると言えるでしょう。
老後資金を資産運用で作る場合、スタートする年齢により、目標額に到達するための毎月の積立額も変わります。
毎月の負担を抑えながら効率よくお金を育てていきたい場合は、できるだけ早い時期から始めることが大切となってくるでしょう。
※マクロ調整スライドとは:「公的年金被保険者(年金保険料を払う現役世代の数)の変動」と「平均余命の伸び」に基づいて設定される「スライド調整率」を用いて、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除するしくみ
6. 老後に向けて計画的な資金形成を
今回は、新NISAのしくみや、資産運用のシミュレーション結果についてお話をしてきました。
資産形成は、「金利」と「時間」を味方に付けることで効率が上がる可能性があることが分かりました。
老後資金づくりに活用できる税制優遇制度は、新NISAのほかにiDeCo(個人型確定拠出年金)もあります。
iDecoは拠出額が所得控除の対象になるなど、税制面の優遇がいくつかあります。NISAとの違いを踏まえ、ご自身に合う資産形成のスタイルを探してみましょう。
また、資産形成を考えるときには「万が一のリスク」も念頭に置いておく必要があります。
例えば、大きな病気をして治療費が必要になり、毎月の積立ができなくなることもあるでしょう。また、一家の大黒柱に万が一のことが起こり、残された家族が経済的に困窮してしまい老後資金の準備どころではない、という事態となる可能性もゼロではありません。
資産を守り、育てる視点を持つと同時に、こうしたリスクに備える保障について検討しておけると、より安心でしょう。




