筆者はお金の相談を受けることが多いのですが、物価が上がっているので、資産運用を考えたほうがいい?という声が増えてきています。

確かに、食費も光熱費もジワジワ上がっていて、家計のやりくりが大変ですよね。

こうした物価高騰への対策として、政府もいくつか支援策を打ち出しています。

その一つが「住民税非課税世帯」への給付金制度。でも、そもそも「住民税非課税世帯」ってどんな人が該当するのでしょうか?

そこで今回は、住民税非課税世帯の基礎知識をおさらいしつつ、年代別のデータも交えながら、「どんな人が対象になるのか?」をわかりやすく解説していきます!

1. 住民税非課税世帯への【3万円給付が進行中】子育て世帯には加算も

【子育て世帯には加算あり】住民税非課税世帯への3万円給付1/11

住民税非課税世帯の給付の内容とは?

出所:内閣府特命担当大臣(経済財政政策)「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」

2024年12月に成立した「2024年度補正予算」には、物価高の影響を受ける住民税非課税世帯を対象とする給付金の支給が盛り込まれました。

1世帯あたり3万円を基本の給付額とし(※1)、そのうち子育て世帯には、子ども1人あたり2万円が加算されます(※2)。

※1:給付額の考え方

2人以上の低所得世帯の消費支出の増加幅(食料品、エネルギー価格高騰によるもの)のうち、賃上げや年金物価スライド等で賄いきれない金額として、3万円を支援。子育て世帯については、1人あたりの給付額1.5万円(3万円÷2人)をカバーする水準として、子供1人あたり2万円を加算。

引用:内閣府特命担当大臣「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」~全ての世代の現在・将来の賃金・所得を増やす~政策ファイル(2024年11月)

※2:こども加算分の対象となる児童とは

  • 18歳以下(平成18年4月2日以降生まれ)の児童
  • 基準日時点で別世帯であるが、生計を同一にしている18歳以下(平成18年4月2日以降生まれ)の児童
  • 基準日の翌日以降に生まれた新生児

引用:東京都大田区「令和6年度大田区物価高騰重点支援給付金のご案内

自治体によって、支給タイミングや申請方法などが異なります。お住まいの自治体の広報誌やホームページなどで、最新情報を確認してください。

「住民税非課税世帯」は、公的支援の対象としてしばしば取り上げられる区分です。今回の給付金をはじめ、さまざまな支援策で出てきますね。次ではその内容を詳しく確認していきましょう。

2. 「住民税非課税世帯」とはどんな世帯?要件を確認

住民税非課税世帯に該当するには、以下の3つの要件のいずれかを満たす必要があります。

  1. 生活保護を受けている
  2. 障害者、未成年者、寡婦、ひとり親で、前年の所得が135万円以下である
  3. 前年の所得が市区町村などの基準より少ない

最初の2つの要件はいずれの自治体でも共通ですが、3つ目の「前年の所得が市区町村などの基準より少ない」という条件は、自治体ごとに基準が異なります。

例として東京都23区内の基準について確認してみましょう。

2.1 「住民税非課税世帯」に該当する所得の目安(東京都23区内の場合)

「住民税非課税世帯」に該当する所得の目安(東京都23区内の場合)2/11

「住民税非課税世帯」に該当する所得の目安(東京都23区内の場合)

出所:東京都主税局「個人住民税

東京都23区内の場合、前年中の合計所得金額が下記の方は、住民税非課税世帯に該当します。

  • 同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合:35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
  • 同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合:45万円以下

同一生計配偶者や扶養家族がいない場合、所得が45万円以下であれば住民税は非課税となります。

ここで注意したいのは、「所得」とは年収から各種控除を差し引いた後の金額を指す点です。

一方、「年収」は税金や社会保険料が差し引かれる前の総額です。このため、所得と年収の違いを正しく理解しておくことが大切です。

次に、住民税非課税世帯に該当する「年収の目安」について詳しく見ていきます。

3. 「住民税非課税世帯」に該当するための年収目安はいくら?

住民税が非課税となる年収目安はどれくらいか、東京都港区と大阪市を例に見てみましょう。

3.1 住民税非課税世帯に該当する年収目安(東京都港区の場合)

東京都港区では、住民税非課税世帯に該当する年収目安として以下のように提示しています。

東京都港区における住民税非課税世帯の年収条件3/11

【写真1枚目/全4枚】港区における住民税非課税世帯の年収条件。写真後半では「年代別の住民税非課税世帯の割合」を一覧表で比較

出所:港区「住民税(特別区民税・都民税)はどういう場合に非課税になりますか。」

  • アルバイトやパートの給与収入が100万円以下
  • 65歳以上で年金受給のみの人は、年金収入が155万円以下
  • 65歳未満で年金受給のみの人は、年金収入が105万円以下
  • 不動産収入等所得がある人は、収入から必要経費を引き、合計所得が45万円以下(令和2年度まで35万円以下)

3.2 住民税非課税世帯に該当する年収目安(大阪府大阪市の場合)

次に、大阪市での年収目安についても確認していきます。

大阪市における住民税非課税世帯に該当する年収目安4/11

大阪市における住民税非課税世帯に該当する年収目安

出所:大阪市「個人市・府民税・森林環境税が課税されない方」

大阪市における住民税非課税世帯に該当する年収目安5/11

大阪市における住民税非課税世帯に該当する年収目安

出所:大阪市「個人市・府民税が課税されない方」

  • 給与収入で扶養親族なしの場合は100万円以下
  • 65歳以上の年金受給者で扶養親族なしの場合は155万円以下
  • 65歳未満の年金受給者で扶養親族なしの場合は105万円以下

給与収入の場合、住民税非課税となる年収の目安は100万円以下。一方、年金収入では、65歳以上が155万円以下、65歳未満が105万円以下となっています。

こうした基準からも、年金生活者は住民税非課税世帯に該当しやすいと考えることができそうです。

次では厚生労働省の調査結果から、年代別の住民税課税状況を見ていきます。

4. 【年代別一覧】住民税が「課税される」世帯の割合

住民税課税世帯の年代別割合6/11

【一覧表】住民税課税世帯の年代別割合

出所:厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」をもとにLIMO編集部作成


厚生労働省が公表した「令和5年国民生活基礎調査」から、年代別の住民税が「課税」されている世帯の割合を確認してみましょう。

このデータには「課税・非課税が不明な世帯」も含まれているため、「非課税世帯」の割合は直接示されていません。ただし「課税世帯」の割合をヒントにして、非課税世帯の傾向をつかむことはできるでしょう。

年代別の住民税「課税世帯」の割合は以下の通りです。

  • 30歳代:88.0%
  • 40歳代:90.0%
  • 50歳代:86.4%
  • 60歳代:78.3%
  • 70歳代:64.1%
  • 80歳代:47.5%
  • 65歳以上:61.9%
  • 75歳以上:50.9%

注1:全世帯数には、非課税世帯及び課税の有無不詳の世帯が含まれます。
注2:総数には、年齢不詳の世帯が含まれます。
注3:住民税課税世帯には、住民税額不詳の世帯を含む。

40歳代を境に、年齢が上がるにつれて住民税を支払う世帯の割合は下がっていきます。このことから、高齢になるほど住民税が非課税になる世帯が増えると考えることができるでしょう。

多くの高齢者世帯では、公的年金が主な収入源です。

年金収入だけの場合は低収入となりやすく、その結果、住民税非課税になることが多いと言えそうです。また、公的年金には大きな控除があり、遺族年金や障害年金は非課税です。これらが高齢者世帯で非課税世帯が多くなる理由のひとつです。

ただし、住民税非課税の判定に「資産要件」はありません。預貯金などの資産が多くても年金収入が少なければ、住民税非課税世帯となるケースがある点にも留意が必要となるでしょう。

5. 万が一に備えて、情報収集を入念に

今回の記事では、3万円の給付金の対象となる「住民税非課税世帯」について詳しく解説してきました。

物価がどんどん上がる今、該当する人はこうした支援制度をしっかり活用したいですね。

特に、2025年の給付金申請は市区町村ごとに時期や手続きが違うので、「気づいたら申請期限が過ぎてた…!」ということにならないよう、こまめにチェックしておくのが大事です。

また、今は対象外でも、将来的に要件に当てはまる可能性もゼロではありません。

いざというときに慌てないためにも、「どんな人が対象になるのか?」「どんな手続きが必要なのか?」といった情報は、今のうちから押さえておくと安心ですね!

※金額や要件などは自治体等によって異なるので、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。

6. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説

年金Q&Aまとめ8/11

年金Q&A

出所:日本年金機構などをもとにLIMO編集部作成

「年金って難しそう…」と感じている人は、多いのではないでしょうか。でも、基本のポイントを押さえると、意外とシンプルなのです。ここでは、年金についてよくある疑問について、わかりやすくお答えしていきます。

6.1 年金の仕組みってどうなってるの?

公的年金の仕組みとは?9/11

画像:公的年金の仕組みとは?

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」

まず、日本の公的年金は「2階建て」構造です。下の階が「国民年金」、その上に「厚生年金」があるイメージです。

国民年金

国民年金は、20歳から60歳未満の全員が加入対象。特に自営業やフリーランスの方がメインです。

毎月決まった金額を支払います。いわば、年金の基礎部分です。

厚生年金

厚生年金は、会社員や公務員の方が加入対象です。こちらは収入に応じて保険料が変わるので、もらえる年金額も収入の影響が大きくなってきます。

そのため、個人差が出やすくなっています。

6.2 「繰下げ受給」って実際どうなの?

通常、年金は65歳からもらうものですが、「まだ働けるし、今すぐ必要じゃない」という方には「繰下げ受給」という選択肢があります。簡単に言うと、年金の受け取りを後回しにして、もらう額を増やす方法です。

繰下げ受給でもらえる増額率の一覧表10/11

ああ

出所:日本年金機構「年金の繰下げ受給」

たとえば、65歳で受け取る予定を75歳まで繰り下げると、年金額が84%も増えるんです。

もし健康で他にも収入源があるなら、繰下げ受給を検討してみる価値は十分にあるでしょう。

6.3 年金や老後資金をもっと増やすには?

繰下げ受給以外にも、年金や老後資金を増やす手段はいくつかあります。

国民年金の付加保険料を払う

自営業やフリーランスの方は、少し追加で保険料を払うことで、将来もらえる年金額をアップできます。

厚生年金に加入する

もし可能なら、厚生年金に加入するのも手です。もし国民年金だけに加入していた場合、会社員になったり、厚生年金が適用されるような働き方を選ぶと、年金額が増えます。

資産運用に挑戦

iDeCo(個人型確定拠出年金)や投資信託での資産運用も有効です。

iDeCoってどんな制度?11/11

画像:iDeCoってどんな制度?

出所:厚生労働省「iDeCoの概要」

ただし、これは場合によっては元本割れのリスクもあるので、まずはしっかり調べてからスタートするのが大事。お金の増やし方も「焦らずじっくり」がポイントです。

これで、年金の仕組みが少しクリアになったでしょうか?

ちょっとずつでも理解を深めていくと、老後への不安が少しずつ減っていきますよ。将来に向けて、一緒に準備を始めていきましょう。

参考資料