12月12日に、国家公務員試験の合格発表が行われました。国家公務員試験は春と秋の2回行われています。次年度の採用試験からは一般職の試験でも「教養区分」が新設され、より多くの人が申し込みやすくなります。

もうすぐ就職活動を始める学生や転職を検討している社会人のなかには、国家公務員を目指す選択肢を考えている人もいるでしょう。しかし、国家公務員の試験は倍率が高く、職種によっては難関です。

この記事では、国家公務員試験の倍率や主な出身大学などを紹介します。就職・転職時の参考に役立ててください。

1. 国家公務員の役割

公務員は、憲法で「全体の奉仕者」と定義される職業です。国や人々の生活を支え、経済・福祉・医療・インフラといったさまざまな公的サービスを提供します。

国家公務員は、そのなかでも国の業務に従事する職業です。各省庁で働く職員に加え、内閣総理大臣や国務大臣、最高裁長官といった人々も国家公務員に該当します。

国家公務員の仕事は、以下の3点が根幹です。

【写真全4枚中1枚目】国家公務員の仕事とは? 2枚目では、国家公務員《申込倍率・受験倍率》を見る!1/4

国家公務員の仕事とは?

出所:人事院「国家公務員の紹介」

〈生活を守り豊かにするニーズの探索〉

  • 地域から世界、地球から宇宙、未来を見据えたシーズの発掘
  • さまざまな声に耳を傾け、必要な政策を模索

〈粘り強く着実な政策の形成・実現〉

  • 政策・法令の立案、政策実現のための調整
  • 国内にとどまらない世界規模の課題への挑戦

〈公正・確実な政策の実施〉

  • 国民への行政サービスを提供するための予算、施設、人員の確保
  • 政策の実行、指導、監視、フィードバック

広い視野で政策や法令をつくり、実現に向けてさまざまな調整を行います。政策の実行や監視、フィードバックといった政策実施も国家公務員の仕事です。

では、次章では採用試験の申込倍率を見てみましょう。

2. 国家公務員の申込倍率

2024年度の国家公務員の申込倍率と受験倍率は、以下のとおりです。

2.1 2024年度春

申込倍率

〈総合職〉

  • 7.0倍

〈一般職〉

  • 3.2倍

受験倍率

〈総合職〉

  • 5.7倍

〈一般職〉

  • 2.3倍

2.2 2024年度秋

申込倍率

〈教養区分〉

  • 10.1倍

受験倍率

〈教養区分〉

  • 6.6倍

国家公務員には総合職と一般職があり、総合職は本省庁で働く「官僚」と呼ばれる人たちです。

一般職は本省庁だけでなく、地方機関で勤務する可能性もあります。このほかに、国税専門官や労働基準監督官などの専門職の採用や経験者採用もあります。

総合職は申込倍率が7.0倍と一般職の2倍以上高くなっています。一般職も3.2倍と、決して申込者数は少なくありません。

秋の試験では教養区分という枠が設けられています。専門試験の代わりに企画立案の能力などを見る試験を行っているのが特徴です。

19歳から1994年4月2日以降に生まれた30歳までが受けられるため、申込倍率は10.1倍と春よりも高くなっています。国家公務員は依然として人気の高い職種であることが伺えるでしょう。

しかし、近年国家公務員の申込者数は減少しているようです。このことについて、次章で解説します。

3. 国家公務員の申込者数は減少?

2024年度春の国家公務員一般職試験の申込者数は2万4240人で、前年から2079人(7.9%)減少しています。また、総合職は1万3599人で、前年から773人(5.4%)減少しています。

過去の申込者数についても、2016年ごろから減少傾向です。

国家公務員の申込者数変遷(2012~2023年)3/4

国家公務員の申込者数変遷(2012~2023年)

出所:自由民主党「[国家公務員給与法]公務員全体の処遇改善が必要」

理由としては、業務内容に対する給与額の低さや、長時間労働などの労働環境の厳しさなどが挙げられます。

特に国会対応への不満が大きいようです。人事院の調査によると、2021年度時点で31の府省が「国会対応への超過勤務の状況は前年度と全く変わっていない」と回答しています。

また、9府省が「悪化した」と回答しており、国家公務員の超過勤務改善は喫緊の課題となっています。こうした過酷な労働環境の早急な改善が求められるでしょう。

次章では国家公務員の主な出身大学について解説します。

4. 国家公務員の主な出身大学

国家公務員の総合職では、試験の合格発表時に合格者の出身大学を公表しています。2024年度秋試験終了後に公表された結果を見てみましょう。

  • 東京大学:345人
  • 京都大学:179人
  • 早稲田大学:119人
  • 東北大学:90人
  • 慶應義塾大学:88人
  • 立命館大学:86人
  • 大阪大学:72人
  • 北海道大学:70人
  • 千葉大学:68人
  • 中央大学:62人
  • 広島大学:58人
  • 岡山大学:55人
  • 一橋大学:53人
  • 九州大学:52人
  • 東京科学大学:49人
  • 明治大学:45人
  • 筑波大学:43人
  • 名古屋大学:40人
  • 東京理科大学:39人
  • 神戸大学:35人
  • 新潟大学:34人
  • 日本大学:28人
  • 東京農工大学:26人
  • 大阪公立大学:26人
  • 信州大学:25人
  • 同志社大学:22人
  • 東京海洋大学:21人
  • 東京都立大学:19人
  • 専修大学:18人
  • 横浜国立大学:18人
  • 東京農業大学:16人
  • 岩手大学:13人
  • 上智大学:13人
  • 東京外国語大学:13人
  • 弘前大学:12人
  • 長崎大学:12人
  • 愛媛大学:12人
  • 鹿児島大学:12人
  • 関西大学:12人
  • 立教大学:12人
  • 山口大学:11人
  • 中京大学:11人
  • お茶の水女子大学:11人

東京大学や京都大学といった名門校からの合格者が多くなっています。一方で、地方の国公立大学からも合格者が出ており、北海道から九州までさまざまな地域から国家公務員を輩出しているといえます。

とはいえ、国家公務員試験は条件を満たしていればさまざまな人が受験可能です。国家公務員への就職・転職を志望するなら、ぜひ申し込んで試験対策に臨みましょう。

5. まとめ

国家公務員申込倍率は最大で10倍と、狭き門です。出身大学も名門揃いで「エリート街道を歩む人」のイメージが強く残る結果となっています。

しかし、最近では財務省や厚生労働省のSNSに批判や意見が相次ぐなど、風当たりが強いのも事実です。

国家公務員は国の政策を作り実現する重要な役割を持ちます。公的サービスに従事する立場を権力だと勘違いせず、国民に目を向けた政策が実現されることを祈りたいところです。

参考資料

石上 ユウキ