高年齢者雇用安定法が改正され、2025年4月には65歳までの雇用が完全義務化されます。また70歳までの就業機会の確保は努力義務となっています。
2024年12月20日に厚生労働省が発表した「令和6年「高年齢者雇用状況等報告」(6月1日現在)の集計結果」によると、70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業は31.9%。シニア層が働き続けられる環境が整いつつあります。
しかし、働けないリスクも考慮して、ある程度の資産を蓄えておくと安心です。現シニア世代の人たちは、どのくらいの貯蓄を保有し、月いくらの年金収入を得ているのでしょうか。
各種統計資料をもとに、シニア世代のお金事情を確認していきます。
1. 【シニアの貯蓄事情】70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額
老後の主な収入源として公的年金がありますが、「老後2000万円問題」が近年話題となったことから、年金だけで十分な生活を維持することは難しいと考えられています。
安心して老後を迎えるためには、「老後資金の備え」が必要です。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると、70歳代の二人以上世帯の平均貯蓄額は1757万円となっています。
しかし、実態により近いとされる中央値は700万円となっており、平均値と中央値の金額差が大きいことから、貯蓄格差が顕著であることがうかがえます。
※「金融資産を保有していない世帯」を含めたデータです。
※上記、金融資産には預貯金以外の株式や投資信託、債券などの金融商品残高が含まれます。
1.1 【70歳代・二人以上世帯】貯蓄平均と中央値をチェック
- 平均:1757万円
- 中央値:700万円
1.2 【70歳代・二人以上世帯】貯蓄額ごとの世帯割合をチェック
- 金融資産非保有:19.2%
- 100万円未満:5.6%
- 100~200万円未満:5.1%
- 200~300万円未満:4.3%
- 300~400万円未満:4.7%
- 400~500万円未満:2.5%
- 500~700万円未満:6.2%
- 700~1000万円未満:5.8%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:7.4%
- 3000万円以上:19.7%
金融資産を保有していない世帯、いわゆる「貯蓄がない世帯」は全体の約2割を占めています。
このような世帯においては、毎月の生活費を支えるために安定した収入が必要不可欠です。
次章では、シニア世代が受け取る公的年金(厚生年金・国民年金)の具体的な受給額について詳しく見ていきます。