3. 《60歳・65歳・70歳・75歳》で受け取り始める年金額をシミュレーション
では最後に、「60歳・65歳・70歳・75歳」で年金を受け取り始めた場合のシミュレーションを行いましょう。
厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均月額は14万3973円であるため、本章では年金月額を「14万円」と仮定して試算していきます。
70〜90歳までの間に「繰上げ受給・本来の受給・繰下げ受給」の選択で受け取れるトータルの年金額は、下表のようになります。
70歳時点では、「繰上げ受給」が最も多くの年金を受け取っており、この時点では繰上げ受給が最もお得だと言えます。
しかし、75〜80歳時点では、本来の受給開始年齢である「65歳から受給」が最も年金額が多くなり、85歳以降になると「繰下げ受給」が最もお得になります。
なお、同じ繰下げ受給でも「70歳から受給」のほうが、90歳時点での年金額が多くなり、「75歳から受給」がお得になるのは「92歳以降」です。
仮に90歳まで生きた場合、繰上げ受給・繰下げ受給を選ぶかで、約1000万円の差が生じます。
上記をふまえ、自分にとって最もお得な受給開始のタイミングを考えておくことが重要です。
4. 自分の受け取れる年金見込額を確認しておこう
本記事では、60歳・65歳・70歳・75歳のどのタイミングで年金受給を開始するのがお得か、シミュレーション結果を交えて紹介していきました。
今回のシミュレーションは、厚生年金の平均月額である「14万円」で試算しましたが、将来受け取れる年金額は人によって大きく異なります。
年金額によって繰上げ受給・繰下げ受給をした際の損益分岐点も変わってくるため、何歳から年金を受給するべきかを検討する際は、ご自身の年金見込額でシミュレーションすることが大切です。
ご自身の将来の年金見込み額は、「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」から確認できるため、シミュレーション前にチェックしてみましょう。
参考資料
和田 直子