2. 国民健康保険料が高いと感じる理由
国民健康保険料が高いと感じる理由として、以下の3つが考えられます。
- 保険料を会社と折半できない
- 加入者一人ひとりが保険料を負担しなければならない
- 加入者が減少しているにもかかわらず給付額が増えている
いずれも国民健康保険の制度上の特徴が要因です。それぞれおさえておきましょう。
2.1 保険料を会社と折半できない
国民健康保険は、保険料を会社と折半できません。会社の社会保険に加入した場合、健康保険料や厚生年金保険料は、勤め先の事業主と折半して納めます。
本来負担すべき保険料の半分だけを支払えばよいため、負担を感じにくいのです。
会社員の加入する健康保険料も、給与や賞与の金額によって決まります。
そのため、どちらが得かは所得金額次第です。とはいえ、国民健康保険料は全額自分で負担する必要があるため、どうしても損しているように感じてしまうのです。
2.2 加入者一人ひとりが保険料を負担しなければならない
国民健康保険料には、扶養の概念がありません。加入者一人ひとりが保険料を納める必要があります。そのため、世帯に複数の加入者がいる場合、それぞれが保険料を支払わなければなりません。
配偶者や親族が会社員であれば、自身が扶養に入れば今までと同じ保険料で家族も社会保障を受けられます。
しかし、国民健康保険ではそうしたことができないため、結果的に世帯での保険料支出が増えてしまい、手元に残る金額が少なくなってしまうのです。
2.3 加入者が減少しているにもかかわらず給付額が増えている
国民健康保険は加入者が少なくなっているにもかかわらず、医療給付が増えています。今後も保険料増加が見込まれるため、実質的な負担は毎年のように増えているのです。
厚生労働省によれば、国民健康保険の加入者数は減少傾向です。2021年度は2537万人でしたが、2022年度は2413万人に減っています。また、10年前と比べると1000万人以上減少しているのです。
しかし、令和4年度の歳出では、医療給付などの保険給付費用が8兆7582億円で、前年度の8兆6244億円から1338億円増加しています。
要因としては、加入者の高齢化が考えられるでしょう。厚生労働省の「国民健康保険調査」によれば、保険者数2377万6772人のうち、65〜69歳の人が400万7426人で全体の16.9%、70〜74歳の人が646万4760人で全体の27.2%を占めています。
加入者の半数近くが高齢者世帯であることから病気や入院となるリスクが高く、必然的に給付が増えるのです。国民健康保険の加入状況も、保険料が高いと感じる要因のひとつといえるでしょう。
では、次章では収入がない場合の国民健康保険料の納付対策を解説します。