3. 試算の注意点

ここまで、平均貯蓄額と、標準的な年金受給額や生活費で検討をしましたが、自身の生活設計をする際に注意をしなければいけないことがあります。実際に自身の老後生活を計画する際には、以下の点を考慮してください。

3.1 貯蓄額について

今回は「平均貯蓄額」で検討をしましたが、平均額とは65歳以上の世帯の全ての貯蓄額を足して世帯数で除すことで算出した数字です。

そのため、一定数の貯蓄が大幅に多い世帯がいる場合には、平均値も大きく上昇します。

例えば、貯蓄額の数値を小さい順に並べた時にちょうど真ん中になる「中央値」で見ると、60歳代では530万円という統計結果となっており、平均値とは大きな差があることがわかります。60歳代の半数以上の貯蓄額が530万円以下であるということになります。

このように、貯蓄額については平均額をスタンダードであると考えずに、自分の現状を整理することが大切です。

50歳代~70歳代(総世帯)の貯蓄額平均と中央値

50歳代~70歳代(総世帯)の貯蓄額平均と中央値

出所:金融広報中央委員会「(参考)家計の金融行動に関する世論調査[総世帯](令和5年)」をもとに筆者作成