高齢化が進む日本において、年金制度は多くの高齢者の生活基盤となっています。

しかし、年金の受給額だけでは十分な生活を送ることが難しい方も少なくありません。そこで政府は、年金生活者を支援として「年金生活者支援給付金」制度を設けています。

2023年3月時点で、この給付金の支給総数は780万4320件に達しており、多くの年金受給者の生活を支えています。

【写真全6枚】1枚目/年金生活者支援給付金の件数と給付金総額。年金生活者支援給付金の支給要件と給付額を紹介1/6

年金生活者支援給付金の件数と給付金総額

出所:厚生労働省「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業年報」

今回は、給付金の概要と申請方法を説明した上で、受給する際の注意点を解説していきます。ぜひ参考にしてください。

※金額等は執筆時点での情報にもとづいています。

1. 年金生活者支援給付金とは

この給付金は、2019年10月の消費税率引き上げに伴って開始された、低所得の年金受給者に対する支援制度です。所得が低い高齢者や障害者などの年金受給者を支援するために、年金が支給される際に年金額に上乗せして支給されます。

給付金には、受給している元の年金ごとに、以下の3種類があります。

  1. 老齢年金生活者支援給付金
  2. 障害年金生活者支援給付金
  3. 遺族年金生活者支援給付金

年金生活者支援給付金とは2/6

年金生活者支援給付金とは

出所:厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」

1.1 老齢年金生活者支援給付金の詳細

老齢年金生活者支援給付金の支給要件と給付額3/6

老齢年金生活者支援給付金の支給要件と給付額

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

【対象となる条件】

支給対象となるためには、下記の全てを満たす必要があります。

  • 65歳以上の老齢基礎年金受給者であること
  • 前年の年金収入とその他所得の合計が基準額以下であること
    ※基準額は生年月日により以下の通り
    昭和31年4月2日以後生まれ:88万9300円
    昭和31年4月1日以前生まれ:88万7700円
  • 世帯全員が市町村民税非課税であること

※老齢年金の繰下げ支給の申請をしている場合は、繰下げ中は給付金を受け取ることはできません。

【支給額】

基準となる支給額は月額5310円(年間6万3720円)です。

ただし、国民年金の未納期間や免除期間がある場合は、その期間に応じて支給額が減額されます。

1.2 障害年金生活者支援給付金の詳細

障害年金生活者支援給付金の支給要件と給付額4/6

障害年金生活者支援給付金の支給要件と給付額

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

【対象となる条件】

支給対象となるためには、下記の全てを満たす必要があります。

  • 障害基礎年金を受給していること
  • 前年の所得が472万1000円以下(扶養親族等の数により増額)

【支給額】

年金受給の元となっている障害等級により支給額が異なります。

  • 1級:月額6638円(年間7万9656円)
  • 2級:月額5310円(年間6万3720円)

1.3 遺族年金生活者支援給付金の詳細

遺族年金生活者支援給付金の支給要件と給付額5/6

遺族年金生活者支援給付金の支給要件と給付額

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

【対象となる条件】

支給対象となるためには、下記の全てを満たす必要があります。

  • 遺族基礎年金を受給していること
  • 前年の所得が472万1000円以下(扶養親族等の数により増額)

【支給額】

月額5310円(年間6万3720円)が基本ですが、遺族となっている子が複数いる場合は、人数で割った金額がそれぞれに支給されます。

なお、それぞれの給付金について、基準額はあるものの、個人差が大きい点に留意してください。

2. 年金生活者支援給付金の申請方法

次に、給付金を受給するための手続きの流れを説明します。

  1. 受給対象となる人に対して、日本年金機構から、給付金請求のための書類が送られてきます。
    ※すでに老齢年金を受給していて新たに給付金の対象となる場合には、9月頃に書類が郵送されます。
  2. 送られてきた請求書に必要事項を記載して郵送等により年金事務所に提出
  3. 日本年金機構から審査結果が到着
  4. 年金の支払い月上旬に、日本年金機構から振込み通知書が到着
  5. 年金受給の際に給付金が上乗せして振込み

年金生活者支援給付金の請求手続き6/6

年金生活者支援給付金の請求手続き

出所:日本年金機構「年金生活者支援給付金請求手続きのご案内」

3. 支援給付金の受給に関する注意点

最後に、給付金を受給する際の注意点や疑問点についていくつか解説をしていきます。

3.1 申請忘れに注意

上記で説明をしたように、給付金を受け取るためには自分で必要事項を記載した書類を提出して申請をする必要があります。

年金機構からのお知らせが届けば受給ができるわけではないので、請求書の提出を忘れないように注意してください。

また、その後の審査結果や振り込み通知でも、給付金の上乗せがされるかどうかを確認して自分の年金の状況を確認しましょう。

※該当であるはずなのに年金機構からの通知が届かない場合には、お近くの年金事務所に問い合わせをしてみてください。

3.2 基準所得額の判定について

所得額が給付対象であるかどうかは、市区町村が持つ各世帯の所得額データを元に算出されるため、自分自身で何かを提出したり計算をする必要はありません。

ただし、自分が該当するかどうかを検討する場合には、下記の点に気をつけなければいけません。

  • 基準となる所得額の計算は年金収入については所得控除前の金額を、その他の収入については所得控除後の金額を使用します
  • 障害年金と遺族年金は、非課税収入のため判断基準となる所得には含まれません
  • 所得の判断は前年の金額で考えられます。当年の所得が低くても、その年から給付金の受給ができるわけではありません。

3.3 申請は一度だけ

給付金の申請を行うのは、原則として給付開始をする年の1回だけです。翌年からは受給の権利が自動的に継続されます。

もしも請求が年金の支給に間に合わなかった場合でも、受給をすることはできるため、早めに申請を行ってください。

上乗せ額が変更となる場合は年金額の改定通知書が届くので、年金機構からの通知が届いた際は確認をしましょう。

4. まとめにかえて

年金生活者支援給付金は、低所得の年金受給者である高齢者、障害者、遺族の生活を支援する重要な制度です。

受給の対象となるかどうかは日本年金機構により確認が行われますが、届いた通知で申請をすることを忘れないようにしましょう。また、該当するはずなのに通知が届かない場合には年金事務所へ確認をしてみてください。

申請することで受給できる可能性のある給付金を見逃さないよう、政府などが行う給付制度について適宜確認をしていきましょう。

※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。

参考資料