2024年11月22日の閣議決定を受けて、政府は「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」を発表しました。この経済対策の一環として、物価高の克服に向け「誰一人取り残されない成長型経済への移行」を目指す方針が示されています。

その具体策として、物価高騰の影響を大きく受ける住民税非課税世帯への支援や、物価高対策としての電気・ガス代支援が決定されました。

【写真全6枚/1枚目】国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策の概要。写真後半ではシニア世帯の貯蓄状況を棒グラフで紹介1/6

国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策

出所:内閣府「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」資料

今回は、支援の概要や電気・ガス代支援の内容を説明し、対象者や現在のシニア世代の貯蓄状況について解説します。ぜひ参考にしてください。

1. 低所得者世帯への給付金支援について

2024年11月22日に発表された経済対策として、住民税非課税世帯に対しては3万円の給付金を支給することが決定されました。これは、物価高騰による影響を最も受ける低所得者の生活を支援するための給付です。

1.1 給付金の対象となる世帯

給付の対象となるのは、住民税非課税世帯です。

住民税には、前年所得に応じて納付額が決定する「所得割」と、原則として全居住者に一律で納付が課される「均等割」の2種類があります。

住民税非課税世帯とは、同一世帯の全員が、所得割と均等割のどちらとも納付を免除された世帯のことを指します。

1.2 住民税の非課税要件

それでは、住民税の所得割と均等割が非課税とされる要件はどのようなものなのでしょうか。
住民税の課税は市区町村単位で行われるため、自治体によって若干の計算方法や基準額の違いがありますが、基本的な流れは同様です。ここでは東京23区を例に説明します。

東京都23区内では、次のいずれかの要件に当てはまった場合に住民税が非課税となります。

(1) 生活保護法による生活扶助を受けている
(2) 障害者・未成年者・寡婦又は寡夫で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)
(3) 前年中の合計所得金額が下記の金額以下
・同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合:35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+10万円+21万円
・同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合:45万円

住民税の非課税要件(東京23区の場合)2/6

住民税の非課税要件(東京23区の場合)

出所:東京都主税局「個人住民税」

例えば単身者(同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合)であれば、前年の所得が45万円であれば住民税が非課税となります。

1.3 住民税の非課税判定の注意点

住民税が非課税かどうかの確認に際して注意が必要なのは、判定基準となるのが「前年所得」であることです。たとえ現在の所得が少ない場合でも、住民税が非課税になるのは翌年からであり、今年の住民税が非課税になるわけではありません。

給付の対象となる「非課税世帯」とは、いつ時点の非課税を指すのかの確認が必要です。

2. 電気・ガス代支援について

さらに、政府は物価高対策の推進の1つとして電気・ガス代支援を行うことを発表しています。これは、家庭において最も電気・ガス代の使用が多い1月から3月の光熱費の補助を行うことで、家計の負担を減らすことを目的としたものです。

2.1 電気・ガス代支援の概要

電気・ガス代支援の仕組みは、政府が電気やガスを供給する小売業者に補助金を支払い、それを消費者に対する請求額から差し引くことで家計の負担を軽減するものです。

この仕組みを利用するためには、契約している電気・ガスの小売業者が政府に対する申請を行っている必要があります。

家庭で契約している電力会社やガス会社がこの補助の対象であるかを確認しましょう。

2.2 電気・ガス代の軽減額

それでは、この支援により具体的にどのくらいの負担が軽減されるのでしょうか。

値引き額は、電気代はkWhごと、ガス代はm3ごとに決定されています。

【1月・2月値引き額】

  • 電気代
    低圧:2.5円/kWh
    高圧:1.3円/kWh
  • ガス代
    10.0円/m3

【3月値引き額】

  • 電気代
    低圧:1.3円/kWh
    高圧:0.7円/kWh
  • ガス代
    5.0円/m3

具体的に軽減される金額は、家庭の使用量を掛けることで確認をすることができます。

3. シニア世帯の貯蓄状況は?50歳代~70歳代までの貯蓄額を確認

次に、低所得者世帯の割合が多いシニア世帯の貯蓄状況を見ていきます。

【50歳代以降の貯蓄額】

  • 50歳代の平均貯蓄額:1212万円/中央値:200万円
  • 60歳代の平均貯蓄額:1862万円/中央値:530万円
  • 70歳代の平均貯蓄額:1683万円/中央値:650万円

【金融資産非保有世帯の割合】

  • 50歳代:30.3%
  • 60歳代:24.6%
  • 70歳代:21.6%

平均額を見ると、50歳代から70歳代までの間で多くの世帯が1000万円以上の資産があるように見えます。しかし、中央値を見ると平均額よりかなり低くなっています。

金融資産非保有世帯の割合も高く、生活に余裕のない世帯が一定数存在することがわかります。

このような金融資産を持たない世帯にとっては、年金収入が生活資金の大半を占めており、物価高騰などにより大きな影響を受けていると考えられます。

4. まとめにかえて

今回は、政府による新たな生活支援である給付金と光熱費補助についてご説明しました。

物価高騰が続く中、政府による支援策は重要な生活支援となっています。給付金や各種支援制度を適切に活用することで、家計の負担を軽減することができます。

給付金についてはまだ給付までの流れなど詳細な発表がされていませんが、これからのニュースも注意して確認をしていきましょう。

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参考資料

斎藤 彩菜