4. 若いうちから意識しておきたい「老後のお金対策」
「人生100年時代」と呼ばれる長寿時代がやってきました。長い老後に備えたお金の準備は、一朝一夕で完成するものではないでしょう。現役時代の若い頃から、長期的なマネープランを作り、家計収支を把握していけると良いですね。
日ごろの支出を見直し、節約に繋げることが大切です。通信費を始めとする固定費の見直しから始めてみると効果が見えやすいかもしれません。
収入から一定の金額を預貯金に継続的に回す習慣をつけましょう。ただし、銀行などの預貯金につく利息はごくわずか。残念ながら大きく資産を増やすことには繋がりにくいのが現状。
そこで、預貯金にプラスして「資産運用」でお金にも働いてもらう視点を持つのも良いでしょう。NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)やiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)などの税制優遇制度の活用を検討するのも一案です。
また、公的年金を増やす工夫も有効な手段の一つとなるかもしれませんね。
「繰下げ受給」の制度では、公的年金の受給開始年齢を遅らせることで、受給額を増やすことができます(繰下げた月数に応じて0.7%増額)。国民年金のみを受け取る場合は、国民年金基金への加入、付加保険料の納付などの方法もあります。
老後のお金事情は、就労状況、健康状態、家族構成などにより人ぞれぞれです。リタイア間近で慌てないよう、老後に向けたお金の準備は時間をかけてコツコツと進めていくことをお勧めします。
ご自身に合う方法を見つけて、上手に組み合わせていきましょう。
5. まとめにかえて
今回は、高齢者世帯のお金事情について解説しました。実際のデータを確認することで、これまで以上に老後の生活を具体的にイメージできたのではないでしょうか。
しかし、物価上昇は今後も続くと予想されており、年金だけでは安心できないと感じる方も多いでしょう。将来に向けて資産を守るための手段として、「資産運用」を取り入れるのも一つの選択肢です。特に、最近ではNISAやiDeCoといった国の制度も整備され、少額からの運用がしやすくなっています。
ただし、資産運用には元本保証がないため、リスクを十分に理解した上で、自分に合った方法を選ぶことが大切です。無理のない範囲で、将来に備えた資産形成を考えてみましょう。
参考資料
- 厚生労働省「生活保護の被保護者調査(令和6年11月分概数)の結果を公表します」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」
- 厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」
奥田 朝