総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全国 2024年(令和6年)12月分及び2024年(令和6年)平均(2025年1月24日公表)」によると総合指数は前年同月比で3.6%の上昇となっています。

物価上昇の影響は現役世代だけでなく、年金生活者にも大きな負担を与えています。しかし、一定の条件を満たす方は「年金生活者支援給付金」を受け取ることができます。  

ただし、この給付金は申請しないと支給されません。本記事では、受給要件や申請方法について詳しく解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。

1. 年金に上乗せされる「年金生活者支援給付金」とは?要件を確認

年金生活者支援給付金制度について1/6

年金生活者支援給付金制度について

出所:厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」

「年金生活者支援給付金」の受給対象者は、老齢年金、障害年金、または遺族年金を受けている方で、前年の所得など一定の条件を満たす必要があります。

支給対象となる要件を整理してみましょう。

1.1 老齢年金を受給:老齢年金生活者支援給付金の支給要件

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額※1とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下※2である。

    (※1)障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
    (※2)昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円

1.2 障害年金を受給:障害年金生活者支援給付金の支給要件

  • 障害基礎年金の受給者
  • 前年の所得(※1)が472万1000円(※2)以下

(※1) 障害年金等の非課税収入は、給付金の判定に用いる所得には含まない
(※2) 扶養親族等の数に応じて増額

1.3 遺族年金を受給:遺族年金生活者支援給付金の支給要件

  • 遺族基礎年金の受給者
  • 前年の所得(※1)が472万1000円(※2)以下

(※1)遺族年金等の非課税収入は、給付金の判定に用いる所得には含まない
(※2)扶養親族等の数に応じて増額

老齢年金、障害年金、遺族年金それぞれの支給要件を確認した上で、次に「給付水準」についても詳しく見ていきましょう。

2. 「年金生活者支援給付金」令和7年度最新の金額は2.7%増額

厚生労働省が1月24日に公表したところによると、年金生活者支援給付金の基準額は2.7%の引き上げとなります。

2025年度の年金額は1.9%の引き上げ2/6

2025年度の年金額

出所:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」

老齢年金生活者支援給付金の基準額は月額5450円ですが、これは保険料納付済期間に基づいて計算されるため、個人ごとに受け取る金額が異なります。

また、障害年金生活者支援給付金の場合、障害等級によって基準額が異なります。

なお、遺族年金生活者支援給付金は、遺族基礎年金を受給している子が2人以上いる場合、その基準額を子の人数で分けた金額が支給されます。

3. 現代シニアの「国民年金・厚生年金」の平均月額はいくら?

「年金生活者支援給付金」の制度について紹介した後は、現代のシニア世代が実際に受け取っている老齢年金について、平均額や個人差を確認していきましょう。

まずは国民年金(老齢基礎年金)から見ていきます。

3.1 「国民年金(老齢基礎年金)」の平均月額はいくら?

《令和のシニア》国民年金をいくらもらっている?4/6

国民年金の受給額平均

出所:厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
 

〈全体〉平均年金月額:5万7584円

  • 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万5777円

自営業などで「厚生年金に全く加入していない人」が受け取る年金は、国民年金(老齢基礎年金)のみであり、その平均月額は、全体で5万円台となっています。

年金以外に収入がない場合、65歳以上であれば老齢年金生活者支援給付金の支給対象となるでしょう。

次に、会社員や公務員として働いていた人が受け取る厚生年金について見ていきましょう。

3.2 「厚生年金」の平均月額はいくら?

《令和のシニア》厚生年金をいくらもらっている?5/6

厚生年金の受給額平均

出所:厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

〈全体〉平均年金月額:14万6429円

  • 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万7200円

会社員などで厚生年金に加入していた場合、老後は「国民年金(基礎年金)と厚生年金」の両方を受け取ることになり、この場合、厚生年金の受給額には国民年金の月額部分も含まれます。

一般的に、厚生年金を受け取れる場合は国民年金よりも受給額が高くなります。

国民年金の月額部分を含めた厚生年金の平均月額は男女全体で14万円台であり、単純に比較すると国民年金の約3倍です。

しかし、男女別に見ると、男性は16万円台、女性は10万円台と大きな差があります。

厚生年金の金額は、加入期間やその間の年収に基づいて決定されるため、実際の受給額には個人差があります。

極端な例としては、厚生年金への加入期間が短く、国民年金の納付月数が少ない場合でも、年金生活者支援給付金の対象となることがあるかもしれません。

4. 無理のない範囲から資産形成を始めてみよう

ここまで「年金生活者支援給付金」について詳しく解説してきました。  

このような給付制度は助けになるものの、一時的な支援に過ぎず、老後の生活を根本的に支えるものではありません。そのため、現役世代のうちから計画的に老後資金を準備しておくことが重要です。  

昨今注目されている新NISAやiDeCoを活用すれば、少額からでも資産運用を始めることができます。リスクを理解した上で、自分に合った方法で無理のない範囲からスタートしてみましょう。

5. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説

年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説6/6

年金に関する疑問

出所:厚生労働省、日本年金機構などの各種資料をもとにLIMO編集部作成

日本の公的年金制度は複雑で、多くの人がさまざまな疑問を抱えていることでしょう。ここでは、年金に関するよくある質問を取り上げ、その解答を解説します。

5.1 年金の主な種類と仕組みは?

日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造になっています。

国民年金は日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入する基礎年金で、厚生年金は会社員や公務員が加入するものです。
国民年金は一定の保険料を納付し、将来の年金額が決まるのに対し、厚生年金は収入に応じた保険料を支払うため、将来の受給額にも差が出ます。

5.2 「繰下げ受給」とはどんな制度?

年金の受給開始年齢を遅らせることで、受給額が1カ月につき0.7%増える「繰下げ受給」があります。

例えば、65歳から受給を開始する予定を75歳0カ月まで繰り下げると、84%増額となります。これは、長期間働くことができる人や、他の収入源がある人にとって有利な選択肢となります。

5.3 年金を増やす方法はあるのか?

年金を増やす方法はいくつかあります。自営業やフリーランスの方は、国民年金の付加保険料を支払うことで、将来の受給額を増やせます。

また、厚生年金に加入する働き方に切り替えることも一つの方法です。

さらに、老後資金を増やすという意味では、投資信託やiDeCo(個人型確定拠出年金)などを利用して、自身で資産運用を行うのも選択肢です。ただし、運用にはリスクがあることに注意が必要です。

参考資料

筒井 亮鳳