4. 60歳代・70歳代の「平均貯蓄額&中央値」はいくら?

では最後に、シニア世代の平均貯蓄額を確認していきましょう。

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」によると、60歳代・70歳代の平均貯蓄額は下記のとおりです。

60歳代・70歳代の単身世帯「平均貯蓄額&中央値」

60歳代・70歳代の単身世帯「平均貯蓄額&中央値」

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」をもとに筆者作成

60歳代・70歳代の二人以上世帯「平均貯蓄額&中央値」

60歳代・70歳代の二人以上世帯「平均貯蓄額&中央値」

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」をもとに筆者作成

60歳代と70歳代のシニア世帯の平均貯蓄額は、単身世帯・二人以上世帯ともに1000万円以上となっており、特に二人以上世帯の60歳代では2000万円を超えています。

これらの平均額を見て、「年金が少なくても何とか生活できるのでは」と感じた方もいるかもしれません。

しかし、平均額は一部の高額貯蓄者によって引き上げられる傾向があり、実際の貯蓄状況を正確に反映しているとは限りません。

実態をより正確に示すとされる「中央値」を見ると、単身世帯と二人以上世帯ともに1000万円には達しておらず、単身世帯の60歳代では中央値が200万円台となっています。

また、平均額と中央値の差が大きいことから、シニア世代における貯蓄格差が広がっていることが明らかです。

これらを踏まえると、漠然と「老後は年金と貯蓄で何とかなる」と考えるのではなく、現役時代から、計画的に老後資金を準備しておくことが大切と言えるでしょう。

5. まずはご自身の年金見込額を確認しよう

本記事では、「年金の基本的な仕組み」や「あなたが受け取る年金タイプ」をおさらいし、年金の平均月額をタイプ別に紹介していきました。

年金だけでは生活費を十分に賄えない場合も多いため、早期に老後資金の準備を進めることが重要です。

まずは、ご自身の年金見込額を「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」などで確認し、老後にどのくらい生活費が不足するかをシミュレーションしてみましょう。

シミュレーションを行ったうえで、「不足する金額×老後生活の年数」の老後資金を早期に準備しておけると、より安心した老後生活を迎えられるでしょう。

参考資料

中本 智恵