2. 売却して新NISA口座で同じ銘柄を購入する場合の注意点

旧NISAで投資した商品の非課税期間が終了する場合、売却して新NISA口座で同じ銘柄を購入することが考えられます。

新NISA口座で運用することで、引き続き非課税で運用が可能です。

ただし、新NISAで投資できる金額は最大で年間360万円(うち一括投資できる金額は240万円まで)、合計で保有できる金融資産額は1800万円となっています。

一般NISAは年間投資上限が120万円、つみたてNISAは年間40万円のため、新NISAの年間投資枠360万円(一括投資は年間240万円)を超えることは少ないかもしれません。しかし、評価額が上がって一括投資できる240万円を超えそうな場合は、注意が必要です。

新NISAのポイント

新NISAのポイント

出所:金融庁「NISAを知る」

非課税期間終了の前から少額ずつ売却して、新NISA口座で同じ銘柄を購入するなどの対策をおこないましょう。

加えて、旧NISAで投資信託を保有している場合、売却手続きにおいて注意が必要となります。投資信託は、売却手続きをしてから売却金額が決定する「約定日」と実際に売却金額が受け渡しされる「受渡日」が異なるためです。

ファンドによって約定日から受渡日までの日数は異なりますが、この間に投資信託の価格が急変する可能性もゼロではありません。

たとえば、約定日での売却金額が100万円分であっても、受渡日までに投資信託の価格が急騰すると、売却したものと同じ銘柄を同じ口数、新NISA口座で購入するには120万円が必要になるかもしれません。

そのため、受渡日に振り込まれた金額を利用して新NISA口座で同銘柄を購入する際には、価格変動によるリスクが伴うことを覚えておきましょう。

3. 課税口座で運用する場合の注意点

旧NISAで投資した商品の非課税期間が終了する場合、そのまま課税口座で運用することも考えられます。

非課税期間の終了タイミングで売却しなければ、自動で課税口座に移される仕組みです。課税口座で運用する場合、課税口座へ移管時の評価額が取得価格となることを覚えておきましょう。

たとえば、2023年に一般NISAで120万円で購入した国内株式が、2027年末で非課税期間が終了する際に評価額が150万円の場合、課税口座での取得価格は150万円です。仮にそのあと値上がりして180万円になったタイミングで売却すると、利益30万円に対して約20%である約6万円の税金がかかります。

また、一般NISAで120万円で購入した国内株式が、2027年末で非課税期間が終了する際に評価額が100万円の場合、課税口座での取得価格は100万円です。仮にそのあと値上がりして一般NISAで購入時の価格である120万円に戻ったとしても、利益20万円に対して約20%である約4万円の税金がかかります。

結果として、一般NISA口座で投資をしたことで、課税口座であれば発生しないはずの税金4万円の支払いが必要です課税口座で運用する場合は、上記のようなリスクがあることを理解しておいてください。

4. すぐに売却して新NISA口座で運用することも考えよう

これまで旧NISAの非課税期間終了後に売却して新NISA口座で同じ銘柄を購入するか、課税口座で運用するかを紹介しました。

ただし、かならずしも旧NISAの非課税期間終了を待つ必要はありません。いま旧NISAの商品を売却して新NISA口座で同じ商品を購入する選択肢もあります。

どの選択肢がもっとも良いかは、その時点の評価額や新NISAの残りの投資枠などにより異なりますが、様々な選択肢から自分に合った方法を見つけてみてください。