働き控えにつながる年収の壁の議論が続いています。
特に就職氷河期世代は、社会に出た時期の厳しい環境に加え、今この「年収の壁」に悩まされている人が多いようです。では、この世代の平均年収はどのくらいなのでしょうか。
今回の記事では、20~70歳代の平均年収や、年収ごとの割合を示すデータを用いながら、「年収の壁」と就職氷河期世代との関係を掘り下げていきます。
1. 【20~70歳代】平均年収はどれぐらいか
国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」から、20〜70歳代の平均年収を見ていきましょう。
上記調査より、男女別の各年代の平均年収をみてみると、男性は年代が上がるにつれて年収が上がっていくのですが、一方で女性は横ばいから緩やかに減少するとがわかります(【図表1】参照)。
男性の場合は、50歳代まで平均年収は上がり続け、55〜59歳でピークである「712万円」となります。社会に出てから安定的に増えるというのが特徴でしょう。
一方、女性の場合は、20歳代後半から50歳代まで平均年収が300万円台前半と横ばいな状態が続いており、最も高い平均年収でも25〜29歳で「353万円」となっています。
また、男性の場合は日本全体の平均年収に到達する人が、比較的若い世代でも多い傾向にありますが、女性の場合はハードルが高い現状がみてとれます。
1.1 就職氷河期世代の年収はいくら?
就職氷河期世代は、1990年代〜2000年代の雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った世代をさします。令和5年時点では、35歳以上55歳未満となります。
- 35~39歳 男性556万円 女性336万円
- 40~44歳 男性612万円 女性343万円
- 45~49歳 男性653万円 女性343万円
- 50~54歳 男性712万円 女性343万円
男性と女性の年収格差はあるものの、他の世代と比較して目立った差はないように感じます。