「年収1000万円」と聞くと、高収入のイメージを抱く方も多いかもしれません。しかし、日本全体で見ると、実際にこの水準に達している人はどのくらいいるのでしょうか。夫婦のダブルインカムの場合だと、割合はどのくらい変化するのでしょうか。
今回は、国税庁や厚生労働省などのデータを基に、日本の給与所得者および世帯年収1000万円以上の割合、そしてその貯蓄事情を詳しく解説していきます。
意外と知られていない「年収1000万円でも高収入とは言えない」理由や、年収に関わらず貯蓄上手な人の共通点についてもご紹介していきます。
※金額等は執筆時点での情報にもとづいています。
1. 年収1000万円以上の人はどのくらいいる?日本の給与所得者の年収割合
国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、日本の給与所得者の割合は下記のとおりです。
上記調査のうち、年収1000万を超えた人の割合は全体で「5.5%」となりました。
男女別に見ると、年収1000万円以上に達しているのは、男性が8.8%、女性が1.4%という結果が出ています。
上記から、会社員や公務員が年収1000万円を超えるのは非常に難しいことが分かります。
では、夫婦の収入を合算した「世帯年収」の場合は、どのように変化するのでしょうか。
次章で、世帯年収が1000万円以上の割合を見ていきましょう。
2. 世帯年収1000万円以上の割合は全体の「11.6%」
厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、世帯年収(夫婦の収入を合算)1000万円以上の割合は11.6%となりました。
「給与所得者の年収」と「世帯年収」を比較すると、世帯年収の方が1000万円以上の割合が高いことが明らかです。
近年では、共働き世帯が増加しているため、夫婦の収入を合算して年収1000万円を超える世帯が増えていると考えられます。
実際に、総務省統計局の「家計調査」によると、世帯年収1000万円以上のうち約7割が、共働き世帯となっています。
さらに、年収が低い世帯ほど共働きの割合が低下していることから、「収入の高さと共働き率」は密接に関係していることが分かります。
また、「年収が高いほど貯蓄が多い」というイメージを持つ方も多いかもしれませんが、世帯年収1000万円以上の貯蓄状況はどうなっているのでしょうか。
次章では、世帯年収1000万円以上の平均貯蓄額について確認していきます。
3. 平均貯蓄額はいくら?世帯年収1000万円以上の貯蓄事情
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、年収1000万円以上・二人以上世帯の平均貯蓄額は下記のとおりです。
平均値はすべてのデータを合計し、その合計をデータの個数で割ったもので、極端な数値が含まれるとその影響を受けやすくなります。
一方、中央値はデータを順に並べた際の中央の値であり、実態に即した貯蓄額を示す指標となります。
世帯年収1000万円超の貯蓄額の中央値は「1000万円以上」であり、高収入世帯は貯蓄額も多い傾向にあることが確認できます。
次に、世帯年収1000万円以上の貯蓄割合について詳しく見ていきましょう。
3.1 【貯蓄ゼロの世帯も…】世帯年収1000万円以上の貯蓄割合をチェック
金融広報中央委員会の同調査によると、年収1000万円以上・二人以上世帯の貯蓄割合は下記のとおりです。
貯蓄3000万円以上を持つ世帯の割合が最も高く、年収1000万円超の世帯の半数以上が貯蓄額1000万円以上となっています。
しかし「金融資産を全く持たない世帯」、つまり「貯蓄ゼロ世帯」も約1割存在するため、年収1000万円以上の世帯が必ずしも十分な貯蓄を持っているわけではないことがわかります。
4. 年収1000万円でも「高収入とは言い難い」理由とは?
前章では、年収1000万円以上の世帯における貯蓄状況を見てきましたが、実際には貯蓄ゼロの世帯が一定数存在していることがわかりました。
年収が1000万円を超えていても貯蓄ができない理由として、まず挙げられるのが税負担の重さです。
年収が1000万円を超えると、所得税率は33%から45%と高水準になります。一方、年収300万円の場合は税率が10%であることを考えると、税負担の違いが手取り収入に大きく影響していることがわかります。
さらに、社会保険料の負担も加わり、実際の可処分所得(自由に使えるお金)は思った以上に少なくなるのが現状です。
また、高収入世帯は「所得制限」の対象になることがあり、利用できる制度やサービスが制限されることもあります。
税金や所得制限など支出が多い年収1000万円世帯6/6
出所:Gearstd/.shutterstock.com
こうした状況から、年収1000万円でも実際には高収入とは言えない場合があり、生活費や教育費の支出が大きく、貯蓄が難しくなっていることが考えられます。
将来の資金準備を視野に入れつつ年収を増やしたい方は、単に収入を上げるだけでなく、節税対策や家計の見直しを行うことで、より効果的に貯蓄を進めることができるでしょう。
5. 貯蓄上手な人の3つの共通点
収入が上がらなければ投資に使う資金も確保できないのでは?と思うかもしれませんが、実は年収と貯蓄額は比例しないという結果も出ています。
貯蓄上手な人の3つの共通点についてご紹介します。
5.1 貯蓄上手な人の共通点(1)「余裕資金」と「使うお金」の区別をしている
毎月の収入をすべて日々の生活費に使ってしまうと、将来のためのお金が準備できなくなってしまいます。
貯蓄上手な人は、給料日などの収入があるタイミングで、一定額を「余裕資金」として別の口座に自動的に移す仕組みを利用しています。
収入を「余裕資金」と「使うお金」に分ける意識を持つことで、貯蓄を無理なく続けることができるでしょう。
5.2 ライフプランニングを意識している
貯蓄上手な人に共通するのが「ライフプランニング」を意識していることです。
「家を建てたいけれど、今の貯蓄では厳しいから今月から貯蓄を始めよう」と、貯蓄する理由が明確になることで、貯蓄できるようになる人も多くいます。
まず自分のライフプランを考え、そのために必要なお金や時期をおおまかでいいので把握することからはじめてみてはいかがでしょうか。
5.3 「固定費」を定期的に見直している
貯蓄できる人に共通するのが、毎月の固定費をしっかり把握し、定期的に見直していることです。
家賃、通信費、水道光熱費に加え、最近増えているサブスクサービスも固定費に含まれます。意外と使用頻度が低いサービスを契約し続けていることも少なくありません。
まずは毎月の固定費をリストアップし、どのくらいかかっているか意識することから始めてみましょう。
少しずつの積み重ねが貯蓄上手につながります。自分に合った貯蓄スタイルを見つけて、より良い資産管理を目指してみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」
- 総務省統計局「家計調査 / 貯蓄・負債編 二人以上の世帯 詳細結果表」
- 厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
- 国税庁「No.2260 所得税の税率」
三石 由佳