高齢化が進む日本において、年金の受給額は老後の生活にとって重要な収入です。

年金を受給している人口は2023年度末において3975万人となっており、人口の3割程度が受給しています。

【写真全5枚】1枚目/公的年金受給者数の推移。写真後半では老齢年金生活者支援給付金の給付額を紹介1/6

【写真全5枚】1枚目/公的年金受給者数の推移。写真後半では老齢年金生活者支援給付金の給付額を紹介

出所:厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

このように多くの人の生活を支えている年金ですが、現在は年金収入だけで生活を維持することが難しい世帯も一定数存在しています。

そこで、所得が低い高齢者や障害者などの年金生活者のために2019年10月から創設された制度が「年金生活者支援給付金」です。

所得が低い高齢者や障害者に対して、年金に上乗せして給付金が支給される重要な支援制度ですが、受給を開始するためには申請が必要な制度になっています。

今回は、年金生活者支援給付金の概要と対象者について説明をした上で、受給をするために必要な手続きを解説します。ぜひ参考にしてください。

1. 年金生活者支援給付金とは

年金生活者支援給付金は、年金を受給していても経済的に生活が苦しい世帯を支援するための制度であり、受給額は年金に上乗せする形で給付されます。

給付金の種類は、受給の元となる年金の種類ごとに「老齢年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」の3つに分けられています。次に、それぞれ対象者と支給額について見ていきましょう。

年金生活者支援給付金とは2/6

年金生活者支援給付金とは

出所:厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」

1.1 老齢年金生活者支援給付金

【給付対象となる条件】

  • 65歳以上の老齢基礎年金受給者
  • 前年の年金収入とその他所得(障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く)の合計が一定基準以下
  • 基準額:昭和31年4月2日以後生まれは88万9300円以下、昭和31年4月1日以前は88万7700円以下
  • 世帯全員が市町村民税非課税

【支給額】

老齢年金生活者支援給付金の場合、基準額をもとに保険料納付済期間等に応じて算出されます。

例えば、1956年(昭和31年)4月2日以後生まれの方で、保険料の納付済月数が480カ月、全額免除月数が0カ月の場合の給付額は5310円になります。

年間で6万3720円となりますが、実際の金額は保険料納付済期間や保険料免除期間等に応じて異なるため、必ずしも上記のとおりになるとは限りません。

老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要3/6

老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

1.2 障害年金生活者支援給付金の対象者と支給額

【給付対象となる条件】

  • 障害基礎年金を受給している
  • 前年の所得(障害年金等の非課税収入は除く)が472万1000円以下(扶養親族等に応じて増額)

【支給額】

  • 障害等級1級:月額6638円(年間7万9656円)
  • 障害等級2級:月額5310円(年間6万3720円)

1.3 遺族年金生活者支援給付金の対象者と支給額

【給付対象となる条件】

  • 遺族基礎年金を受給している方
  • 前年の所得(遺族年金等の非課税収入は除く)が472万1000円以下(扶養親族等に応じて増額)

【支給額】

月額5310円(年間6万3720円)。複数の子がいる場合、それぞれの子に人数で割った金額が支給されます。

なお、それぞれの年金生活者支援給付金に対して、基準額はあるものの、個人差が大きい点に留意してください。

2. 年金生活者支援給付金の受給方法

元から年金を受給していた人がこの給付金の受給を開始するためには、自らの申請が必要です。

2.1 申請方法

まずはじめに、所得額が減少したことなどにより新たに給付金を受給対象となる人に対して、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書」が9月頃に送付されます。

その後の手順は下記の通りです。

  1. 請求書を記入
  2. 目隠しシールを貼る
  3. 切手を貼って郵便ポストに投函
    ※封筒にも指示に従って、記入が必要です

年金生活者支援給付金の請求手続き4/6

年金生活者支援給付金の請求手続き

請求書の中に見込みとなる振込額が記載されていますが、書類を受け取るだけでは受給することができないため、必ず必要事項を記載してポストに投函しましょう。

2.2 支給開始のタイミング

請求手続きをすると、原則として請求の翌月分から年金額に上乗せがされます。

9月に送られてきた書類は、原則として9月30日が提出の締め切りとなっているため、不備などがなければ2024年10月分(12月振込み分)から給付がされます。

提出期限に間に合わなくても受給ができなくなることはありませんが、その分受給開始が遅れることになります。

すでに受給している方には、新たな申請は不要ですが、12月の振込額通知で上乗せされているか確認を忘れないようにしましょう。

3. 支給対象者の目安

どのような人が支給対象者となるのか、特に給付件数の多い老齢年金の支援給付を例に見ていきましょう。

3.1 給付基準額の考え方

支援給付金の支給は「収入」と「所得」の合計によります。年金収入は控除前の金額を用いるのに対し、給与収入は給与所得控除後の金額を使う点に注意が必要です。

3.2 国民年金(基礎年金)のみ受給している人

基礎年金のみを受給し、満額に達していない人が、支給対象となりやすいです。現役時代に社会保険未加入のため基礎年金のみを受給している場合、年金以外の収入が少なければ支給対象となる可能性が高まります。

4. おわりに

年金生活者支援給付金は、低所得の年金受給者の生活を支援し、より安心して生活ができるようにするための制度です。

受給を開始するためには通知を受け取るだけではなく申請が必要になるので、日本年金機構からの通知が届いていたら必ず確認をしましょう。

また、もしも条件を満たすはずなのに通知が届かない場合は、管轄の年金事務所に確認をしてみる必要があるかもしれません。

申請をした後は、翌月分の年金から給付金が上乗せされているのかを確認してみてください。

生活が苦しくなりがちな年金生活において、活用できる制度は適切に受け取りながら安心した生活を目指していきましょう。

※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。

参考資料