3.2 年金月額10万円の場合
年金が月額10万円の場合、年収は120万円です。年金収入120万円の場合は、110万円の公的年金等控除が適用されるため、所得は10万円となります。
新宿区の単身世帯は、所得45万円以下であれば住民税が非課税です。よって、保険料段階は第1段階「本人の課税年金収入金額とその他の合計所得金額を合わせて、80万円以下」に該当します。
第1段階の基準額に対する割合は0.25倍ですから、保険料は月額1650円です。よって、介護保険料が差し引かれた後の年金は、以下のようになります。
- 20万円-3300円=19万6700円(月額あたり9万8350円)
住民税がかからない分、徴収される介護保険料が少ないため、ほとんどが手取りとして残ります。
3.3 年金月額15万円の場合
年金が月額15万円の場合の年収は180万円です。年金収入180万円であれば、110万円の公的年金等控除が適用され、所得は70万円になります。
新宿区では、単身世帯で所得が70万円だと住民税が課税されます。よって、この場合の介護保険料は第6段階「本人の合計所得金額が125万円未満」に該当します。
保険料は基準額の1.1倍の7260円です。よって、介護保険料差引後の年金額は以下のようになります。
- 30万円-1万4520円=28万5480円(月額あたり14万2740円)
住民税が課税されると、負担額も収入に対する負担割合も大きくなります。実際は税金や健康保険料が引かれるため、手元に残る金額はさらに少なくなります。
3.4 年金月額20万円の場合
年金が月額20万円の場合、年収は240万円です。110万円の公的年金等控除が適用されると、所得は130万円です。よって、介護保険料は第7段階の「本人の合計所得金額が125万円以上250万円未満」に該当します。
第7段階では、基準額の1.2倍の7920円が月あたりの保険料となります。介護保険料を引いた後の年金額は、以下のとおりです。
- 40万円-1万5840円=38万4160円(月額あたり19万2080円)
所得額が増えてくると、所得税や住民税の負担が気になるところです。健康保険料の天引きも考慮すると、さらに多くの金額が差し引かれるでしょう。
3.5 年金月額30万円の場合
年金が月額30万円の場合、年収は360万円です。この場合、公的年金等控除は「収入金額×0.25+27万5000円」であり、117万5000円が差し引かれます。
所得金額は242万5000円となり、月額20万円のときと同じく第7段階の保険料が適用されます。
介護保険料を差し引いた後の年金額は、以下のとおりです。
- 60万円-1万5840円=58万4160円(月額あたり29万2080円)
新宿区の第7段階は所得250万円以下まで該当するため、年金が月20万円でも30万円でも、差し引かれる金額は変わりません。
4. まとめ
介護保険料は所得金額に応じて負担金額が変わるため、収入が各段階のボーダーライン付近の人は、負担がグッと増える可能性があります。
一方、年金収入は所得控除の適用範囲が大きく、非課税扱いとなりやすいです。また、厚生年金の平均受給月額は14万3973円ですから、5000〜7000円あたりが介護保険料の一般的な相場と考えられるでしょう。
とはいえ、介護保険料は増加傾向にあります。基準額が増えると、手取り額はさらに減ってしまいます。介護保険料は3年ごとに基準が見直されているため、最新の情報をチェックしておくとよいでしょう。
参考資料
- 厚生労働省「介護保険制度について」
- 厚生労働省「第6期計画期間及び平成37年度等における介護保険の第1号保険料について」
- 厚生労働省「第8期計画期間における介護保険の第1号保険料について」
- 厚生労働省「第9期計画期間における介護保険の第1号保険料について」
- 日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税および森林環境税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」
- 新宿区「介護保険料の決まり方」
- 国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」
- 新宿区「第9期(令和6年度~令和8年度)の介護保険料設定の考え方」
- 新宿区「住民税について」
- 厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
石上 ユウキ