3. 将来の給付水準はどうなる?若い世代は年金をもらえるの?

若い世代を中心に、年金制度に対して不信感を抱く方が増えています。「本当に年金を受け取れるのか不安」と感じている方も多いのではないでしょうか。

現行の年金制度には、賃金や物価の改定率を調整して緩やかに年金の給付水準を調整する「マクロ経済スライド」という仕組みがあります。

この制度は、少子高齢化によって制度を支える働き手が減る中、保険料等の収入と年金給付等の支出の均衡が保たれるように調整するものです。

近年、物価や賃金の伸びによって年金額も増加していますが、実際にはマクロ経済スライドによって増加額が抑制されています。

つまり、今の受給世代である高齢者が「我慢」し、将来の受給世代の財政を守るための制度といえます。

また、このマクロ経済スライドによる給付調整を従来より21年間短縮し、将来の給付水準を上昇させる見込みであることを厚生労働省が公表しています。

現行制度では2057年に調整終了の見込みでしたが、これを2036年まで21年短縮することで、将来の受給世代の給付水準を上昇させる狙いがあります。

早期終了しない場合に比べて所得代替率が5.8%上昇する見込みのため、現行制度が継続するケースに比べれば給付水準が上昇すると考えられるでしょう。

そのため、今の高齢者が受け取っている年金額と同等か、場合によっては増える可能性もあると見込まれています。

4. 年金だけに頼らない工夫が必要

低年金世帯を支援することを目的とした「年金生活者支援給付金制度」により、一定の要件を満たす場合は12月支給分から給付金が上乗せされます。

月額4000円前後が平均値となっており、年間にして4万円以上を受け取れる計算です。ただし、年金生活者支援給付金は申請しないと受け取れないので、必ず書類を提出しましょう。

なお、年金制度に不安を持つ若い世代も多いですが、マクロ経済スライドの早期終了などにより将来の財源は守られる見込みです。

とはいえ、働き方などによっては低年金で老後を迎える可能性もあるので、貯蓄や資産運用など、今からできることを始めておきましょう。

参考資料

加藤 聖人