2018年8月20日に日本証券アナリスト協会主催で行われた、株式会社安江工務店2018年12月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料 質疑応答パートはこちら
スピーカー:株式会社安江工務店 代表取締役社長 安江博幸 氏
株式会社安江工務店 専務取締役 山本賢治 氏
目次
安江博幸氏(以下、安江):みなさま、こんにちは。私、ただいまご紹介いただきました、株式会社安江工務店の代表取締役社長の安江博幸でございます。どうぞよろしくお願いいたします。2018年の第2四半期が終了いたしまして、決算を発表させていただきましたので、今日はご用意いたしました資料について、ご説明を申し上げたいと思っております。
本日は、1番目に事業概要、そして2番目に第2四半期連結決算の概要、そして3番目に連結業績予想の概要、それから4番目に住宅リフォーム業界・市場についてどのような状況なのかという展望も含めたお話をさせていただきます。
そして、5番目として今後の戦略、安江工務店はどのような戦略を持って運営していくのかということ、そして最後に、配当政策についてご説明申し上げたいと思います。
本日は初めての方もいらっしゃいますので、少し事業概要もテーマに(入れながら)お話しさせていただきたいなと存じます。
1.事業概要
それではまず、事業概要です。こちらの写真は一番最近の(2018年)1月にできました瀬戸尾張旭店の内観です。ブルックリンスタイルというか、工業的なデザインを取り込んだ内観になっています。
1-1.事業概要 【会社概要】
安江工務店の事業概要です。会社名は、株式会社安江工務店。代表取締役は私、安江博幸でございます。創業は1970年、今から48年前に私の父親が創業しております。そして、5年後の1975年6月から、株式会社として現在の会社となっています。
資本金が2億4,477万円、これは(2018年)6月30日現在です。従業員数は、現在安江工務店のほかに2社のグループ会社がございまして、そこを合わせまして、臨時従業員32名を含んだ176名ということです。
本社は、(愛知県)名古屋市の中心にございます中区栄というところにありまして、本店の登記上の所在地はもともとの発祥の地に近い、一番古くからあるお店の天白店と同じ場所になっています。店舗は、愛知県を中心にしまして、安江工務店本体では12店舗を愛知県内に展開しております。
住宅リフォーム事業が主力の事業となりまして、ほかに新築住宅事業・不動産流通事業と、2つの事業も兼ね備えております。関連会社といたしましては、昨年(2017年)にM&AをいたしましたN−Basicが(兵庫県)神戸市にございます。そして、今年(2018年)M&Aいたしましたトーヤハウス。こちらの2社が、関連会社としてございます。
1-2.事業概要 【事業内容】
次のページ、4ページにまいりまして、事業概要です。
先ほど「3つの事業がある」と申し上げましたが、当社は住宅リフォーム事業がメインの会社になります。売上の77パーセント、約8割が住宅リフォーム事業となっております。上場会社では、リフォーム専業会社としては唯一の上場会社と言えるのではないかと思っております。
住宅リフォームでは、便利屋さん的な網戸1枚の交換から始まって、デザイン性の必要な大型の数千万円のリフォームまで、さまざまな業務を行っています。とくに、自然素材を使ったリフォームが得意ということです。最近はリノベーションで、デザインテーマを決めまして、そのコンセプトに沿った提案をお客様にするというやり方もしています。
それから、新築住宅事業は、注文住宅を中心とした事業になっております。こちらの特徴としましては、全室漆喰。オリジナルの漆喰塗りが標準になっているということで、価格帯はハウスメーカーさんよりちょっと安く、でも仕様はハウスメーカーさんよりちょっとよいというところで、勝負しています。
それから、不動産流通事業。不動産売買・仲介を行っています。とくに、我々リフォームを中心とした会社では、中古住宅の仲介・買取再販を行って、リフォーム方法を装着していく、一緒に抱き合わせていくようなことで、シナジーを出していこうということをやっております。
1-3.事業概要 【安江工務店グループ会社】
次のページ、5ページですが、当社のグループ会社を含めた位置です。
愛知県に、先ほど申し上げたように12店舗ある安江工務店。それから、兵庫県神戸市の西区にあります、N−Basic。そして、熊本県熊本市にありますトーヤハウス。こちらの2つの会社と一緒に、グループを組んで運営しています。
当社グループは今のところ、名古屋よりも西へ増やしていきたいなと考えておりまして、このように西のほうにグループ会社を増やしつつあるというかたちです。
2.2018年12月期第2四半期連結決算の概要
それでは、第2四半期決算の概要をお伝えしたいと思います。こちらの写真が、昨年(2017年)出店いたしました、岡崎店の内観となっております。
2-1.2018年12月期第2四半期連結決算 【サマリー】
1ページめくっていただきまして、7ページです。まず、第2四半期が終了いたしまして、前年同期比で16.8パーセントの売上増となりました。営業利益に関しては微増というか、昨年(2017年)が赤字でしたので、今年(2018年)は営業利益に関しては黒字になりましたが、黒字の額が本当にわずかになりました。こちらは、今年トーヤハウスのM&Aを行ったのですが、M&A費用が2,700万円ほどかかっておりまして、こちらで営業利益が押し下げられたようなかたちになっております。
売上高で申し上げますと、19億5,800万円。前年が16億7,600万円でした。業績対比では9,200万円の差があり、計画よりは4.5パーセント低いという結果となりました。
販管費及び一般管理費は6億4,400万円、営業利益は400万円、経常利益は400万円、四半期純利益はマイナス500万円ということになっております。こちらの営業利益・経常利益が黒字にも関わらず、純利益がマイナスになっていることの背景としましては、M&Aに関する必要経費、あとのれんの一部が経費不算入という背景があり、税金が余分にかかってしまったということがございまして、営業黒字・経常黒字ではあるものの、純利益がマイナスになるということが起きております。
2-2.2018年12月期第2四半期連結決算 【セグメント別】
セグメント別に見たところです。住宅リフォーム事業は昨年(2017年)の上半期の売上高が12億円だったところが、今期(2018年)は14億円になっているということで、増加しております。先ほどの2,700万円のM&A経費を差し引いて、800万円の利益が出ているという状況になっております。
あと、新築住宅事業も昨年より売上を伸ばしておりますが、同じような理由などでマイナスになっているということです。
不動産流通事業は、こちらは売上だけでは見れないところがあります。仲介事業ですので、買取再販で利益が出る場合と、仲介が増えますと売上的には大きくならないのですが、利益としては出やすくなるということがございますので、なかなか売上だけで単純には見られないのですが、不動産事業のところは昨年よりも人員も増えておりまして、事業も活発に行われております。
2-3.2018年12月期第2四半期連結決算 【四半期ごとの推移】
次のページをご覧いただきまして、9ページです。四半期ごとの推移をご覧いただきたいと思います。
一番左側にございますグラフは、2016年の第1四半期・第2四半期・第3四半期・第4四半期ということで、四半期ごとの売上高を示しております。そして、2番目は2017年(の4本のグラフ)、3番目は2018年の2本のグラフがございます。こちらが今期の売上高となっておりまして、どうしても当社の癖のようなもので、後半に売上が依存している、移っていくというような性質がございますので、上半期はこのようなかたちですが、後半でさらに追い上げていくかたちになっていくものと思っております。
右側のグラフをご覧いただきますと、営業利益(の推移)があります。昨年(2017年)は第1四半期で大きくマイナスとなりまして、第2四半期でプラスにはなりましたが、トータルでは第2四半期終了時点ではマイナス。
今期は400万円の売上、そしてM&A費用による費用が発生したということでほぼ0になっていることを表しております。こちらは、後半はこのような費用の発生もございませんので、利益を積み上げていけると考えております。
2-4.2018年12月期第2四半期連結決算 【貸借対照表】
貸借対照表をご覧いただきます。
流動資産合計は20億円です。昨年(2017年)末、期の終わりの17億円よりも増加しているというかたちです。固定資産合計も増加しています。これらは主に、トーヤハウスのM&Aによって増加している分だと言えます。
そして、流動負債も増加しております。こちらもやはり、トーヤハウスのM&Aの費用によるものになります。そして、一番下の負債純資産合計は、31億8,200万円というかたちになっております。
2-5.2018年12月期第2四半期連結決算 【キャッシュフロー】
キャッシュフローは、こちらをご覧いただいたとおりの内容になっております。
3-1.2018年12月期連結業績予想 【サマリー】
さて、12月期の連結予想の概要について、後半がどのように推移しているかということをご説明させていただきたいと思います。
まず、通期連結業績予想は今までお出ししている計画に変更はなく、従来どおりにいきます。
売上高は43億6,400万円、これは前年同期比で15パーセント以上の増加になります。寄与する要因としては、新店が2店舗……昨年(2017年)の岡崎店と今年(2018年)の瀬戸尾張旭店がともに非常に好調で、今のところ計画以上の業績を出しております。そして、子会社……昨年M&AいたしましたN−Basic、そして今年M&Aしたトーヤハウスの売上も寄与しています。トーヤハウスについては、主に後半に計算上算入されておりますので、そちらで増加しているということです。
そして、営業利益も計画どおりの1億8,300万円、こちらを算入しております。
3-2.2018年12月期連結業績予想 【設立からの業績推移】
次のページ、14ページをご覧いただきまして、こちらは今までの売上高をグラフにしたものです。少し、最近売上が下がったということがございますけれども、今期は過去最高の売上高を計上させられることが予想されております。
3-3.2018年12月期連結業績予想 【セグメント別】
15ページで、セグメント別でご覧いただきましても、3つのセグメント、リフォーム・新築・不動産がともに、過去最高の売上高の金額になるということを予想しております。利益は過去に3億円という営業利益を出しておりますが、残念ながらそこにはまだ及びませんけれども、徐々に売上だけではなくて営業利益も改善しているという最中でございます。
4-1.住宅リフォーム市場規模 【市場全体】
住宅リフォームの市場規模について、少しご説明させていただきます。住宅リフォームは、住宅業界にさまざまないろいろな業種があります。今後、市場規模が小さくなっていくものが多い中で、唯一と言っていいほど横ばいないしは微増ということが予測されている業界になります。これは、矢野経済研究所さんの将来予測がございます。
単純に言いますと、今後は新築がどんどん減っていって、リフォームが増えていくと。中古住宅の流通なども盛んになっていくということが言えます。安江工務店の本店もございます愛知県は、他の県に比べまして非常にリフォーム・その他の経済状況も活発でございまして、今後はさらに伸ばしていけるのではないかなと考えています。
4-2.住宅リフォーム市場規模 【市場の分化】
他の住宅リフォーム業界のカテゴライズです。左上にございます、まず建設会社とか住宅のハウスメーカーさん系の住宅リフォーム部門。それから、我々のようなリフォーム専業。そして、一番下にありますホームセンターや、家電量販店などのいわゆるリフォーム。このようなリフォームとどのように違うのかということで、まずハウスメーカー系の会社さんは、小回りの利いた小さな工事とをほとんど請け負おうとしません。
ですから、過去のOBのお客様を中心として、新築で造ったOBのお客様を中心に、比較的大型のリフォームを行っているということです。そして、ホームセンターさんは、主に交換系と言いまして、お風呂やトイレや洗面の取り換え等の単純工事がメインとなっております。
我々は、その両方の届かないところ……ハウスメーカーさんで言うと、小回りが利いて、ちゃんとメンテナンスしてあげるという細かい工事に対応するための対策。そして、ホームセンターさんとかではできないちょっとややこしいリフォームとか、デザイン性の必要なリフォームや大型のリフォーム。このようなリフォームに対応できるという両方を兼ね備えていく存在として、これからますます、我々リフォーム専業店の占めていく規模が大きくなっていくのではないかなと考えております。
4-3.住宅リフォーム市場規模 【シェア率】
そして、住宅リフォーム市場のシェアです。シェアについては、まず上の円グラフは、2.1パーセントのシェアがトップ。これは、積水ハウスさんです。2番目も2パーセント以下という感じで、本当に小さなシェアを持ったところが集まってできているという、まだまだこれから連戦化が進んでいくような市場だということです。
一方、下のグラフは、愛知県におけるリフォームの、当社のシェア率を表しております。とくに高い市区町村をピックアップしておりますが、例えば愛知県名古屋市の千種区というところは約5パーセント、天白区ですと約3パーセントというように、店舗を主に配置していったところを中心にして高いシェア率を誇っているようにしております。我々はドミナント戦略と言いますが、地域に密着することで、そこの狭いエリアですが、トップシェアを取っているというやり方をやっているということです。
それをだんだん増やしながら、強いエリアを作っていきながら(さらに)エリアを増やしていくというやり方をしていきます。ですから、まだまだ愛知県全体では4,400億円ほどの年間の市場規模があるのですが、当社はまだまだ40億円もリフォームで取っていないわけで、1パーセントにもまだ全体としても満たないということですので、このようなドミナント戦略で店舗展開をしていくことで、愛知県で少なくとも2パーセントはいけるだろうと考えておりまして、愛知県だけでも80億円以上の売上がこれから見込めると踏んでいるわけです。
5.今後の戦略
今後の戦略です。こちらは刈谷東浦店の内観で、県産材の木をたくさん使った店舗になっています。
5-1.今後の戦略 【事業エリアの深耕・拡大】 ※愛知県内
21ページをご覧いただくと、今後の戦略として、事業エリアの深耕・拡大ということが、戦略としてまず挙げられます。これは、愛知県内に対しての戦略になります。
ここに円が描いてありますけれども、この真ん丸の円が、だいたい車で半径30分くらいのエリアになります。基本的には、30分以内の円を描いたところに接するようなかたちで最初に店舗を出しまして、ある程度シェア率が高まったところで、さらに店舗と店舗の間に店舗を出していくというような店舗展開として、さらに円を小さくしていくんです。そのことによって、お客様のお近くに我々が存在するような感じになりまして、そのような小さくなった円のところでは、非常にシェア率が高くなっているということです。
ですので、(ご注目いただきたいのは)右下のエリアです。3つの大きな円が接するようになりますけれども、ここである程度シェアが高くなってきたところで、この円と円との間のところに、また店舗が出てくるというかたちです。そして、さらに(車で)10分〜15分の小さなエリアにしていって、深く取っていくということです。
そして、それを同時に進めながらエリアの拡大も行っていくということで、来年(2019年)はまだ一切手が着けられていない、豊橋・(愛知県で)人口の多い順の市を申し上げますと、名古屋市、豊田市、岡崎市に続く豊橋市(ということで)、4番目の大きさの市に出店していきたいと。これで、だいたい愛知県を大きく押さえることができますが、まだまだシェア率を高めていくためには、また店舗と店舗の間に店舗を出店していくこともやっていかねばならないと考えています。
5-2.今後の戦略 【M&A、アライアンス戦略】 ※愛知県外
そして、愛知県の外に関しては主にM&Aを行っていきまして、当社のグループの会社になっていただいて、一緒に経営していくということです。これは、当社としては人材の確保ができる。そして、サプライチェーン……職人さんとかの確保。技術や商品なども一緒にすることができる。そしてなによりも、出店のスピードが速くなるということです。
それから、他のリフォーム専業店さんも(課題があり)リフォーム業界というのは、主に1990年代に勃興してきまして、今は世代交代、もしくは事業が再燃していくと時期に差し掛かっていると考えています。そのような時に、一緒に組んでやっていくということです。
高齢化・後継者不足だけではなくて、現在バリバリに経営していらっしゃる方も一緒にやっていく、一緒の仲間になっていくという考え方で、仲間を増やしていく。そのようなことで、当社のグループに一緒に加わって経営していくということです。
そしてさらに、リフォームのIT化が高度化しています。いろいろなシステムやAIに対する投資とかが、これから必要になってきます。そのような時に、やはり同じ目的を持ったグループを作ることによって、さらに大きな力が発揮できる。そのようなことを期待して、一緒に仲間になっていこうというところを進めています。
それによって、事業エリアの深耕・拡大もできて、ノウハウの共有ができ、人材の確保ができて、職人さんの問題も解決していくということです。今のところは、先ほどから申し上げておりますN−Basicさんやトーヤハウスが、一緒のグループに入っているということです。
5-3.今後の戦略 【住宅リフォーム事業 地域一番店戦略】
それから、先ほど「シェア率を上げる」ということを申し上げました。
シェア率の上げ方として、ドミナント出店。その地域で、一番の出店の圧縮度を持っていくということ。そして、それによって利便性が高まってスピード対応……10分〜15分でお客様のところに行くことができるというような体制を作っていこうと。
そして、広告宣伝費も限られたエリアに集中して投下していきますので、限られたエリアではありますけれども、そのエリアの中では一番の露出度をもって、お客様に認知していただこうということです。そのようなことを進めていきます。
そして、当社のミッションであります、「すべてのお客様に安らぐ『住まい』を提供し、一生涯おつきあいをする会社」。そのような会社になっていくために、「まずは一番に、安江に声をかけよう」とお客様に思ってもらえるようなエリアをどんどん増やしていくということを、これからもやっていきます。
5-4.今後の戦略 【オリジナル商材での差別化】
そのようなエリア的な戦略以外に、あとは当社の独自の商品も持っております。代表的なものとして、「無添加厚塗りしっくい®」という、ここでまたご説明するのはあれですけれども、1回で分厚く塗れる、食べられる自然素材だけで作った漆喰があるんです。この商品が、ほかにはないオリジナルの商品としてお客様に提供できるということを、2005年からやっております。こちらは、当社独自のレシピを漆喰メーカーさんにOEMで作ってもらってやっておりますので、完全な当社だけのオリジナル商品になっています。
それから、コーラルストーンという漆喰と非常に親和性の高い自然の石。この石を、当社で直接海外から輸入しているということです。なお、このような商品は、他の工務店さんへもエリア外に限っては販売しているということです。
5-5.今後の戦略 【特化したデザイン・専門化】
あと、デザイン性をより高めていくこと、それから専門化させていくことが今後の重要な戦略となっております。
代表的なものは、「ボザール」というブランド名で西海岸のデザインの提案。そのようなことをやっていこうと。そのような部門というかプロジェクトが、どんどんできてきているということです。あとは、各店にデザイナーさんが約1名おりますので、そのようなデザイナーさんがデザインコンテストに応募しておりまして、デザインコンテストの連続入賞もしております。
それから専門化ということも、これから市場が成熟化してくると必要なので、主に外装を専門に扱うものなどができていて、非常に外装部門も今まで受注できなかったお客様が受注できるようにして特化することによって、契約率を高めることに成功しております。
5-6.今後の戦略 【新築住宅事業 ブランド力、拠点を活用】
そして、リフォーム事業のみならず、新築部門もリフォームができる会社と新築の契約はしたほうがいいと、お客様にはお話ししています。つまり、新築は建てて、最初でおしまいですが、リフォームやメンテナンスを通じて、お客様と一生涯の付き合いが実は始まるんです。そのようなこともお客様にお話しすることで、新築の受注、そして将来のリフォームのお客様のストックにもなっていくということをやっております。
こちらは現在、天白店と一宮店の2拠点を中心に営業しておりまして、モデルハウスもそれぞれ、大高モデルハウスが天白店の近くにございまして、一宮には一宮モデルハウスというモデルハウスがございます。こちらは、宿泊ができるモデルハウスということになっております。来年(2019年)には岡崎店にモデルハウスを設置して、さらにエリアを広げていきたいと考えています。
5-7.今後の戦略 【不動産流通事業 中古住宅再生事業の取組】
不動産流通事業です。こちらが、主に中古住宅にシフトして力を入れています。もちろん、土地だけの買取再販とか仲介もしますけれども、中古住宅や中古マンションの買取再販、そして仲介。それにともなってリフォーム・リノベーションを装着していくということをやっていきます。
装着率は、現在だいたい、リフォームが装着できる率が仲介のだいたい半分です。半分が当社で、リフォームも一緒に抱き合わせで注文をいただいております。
その不動産事業ですが、主に大きなものとしては、まずオーナーチェンジ物件の買取を強化しているということに、とくに力を入れています。こちらはオーナーチェンジ物件と言いまして、すでに分譲マンション等で店子さんが入っている、借りている方がついている個別のマンションです。
そのマンションを、販売されるときに当社で買い取りまして、そのまま店子さん……入居者が入ったまま、いわば収益物件として運営します。そして、その方が出るときには販売していくということです。普通だと、入居者が出るとまた募集するのですが、そこで募集しないで販売していくということです。
オーナーチェンジ物件という物件は、入居者が入っていますので、一般に売り出される分譲マンションや中古マンションより、どちらかというと価格が安めなんです、住むことができないものですから。
そのようなものを買い取りまして、持ってる間は賃貸収入を得て、店子さんが3年・4年経って出ていったときに、空の物件になります。空の物件になりますと、若干それよりも高く売ることができますので、そこで差益を取るということです。
そして、リフォームを装着するということで、リフォームも売上の貢献になるということです。この物件を、今は増やしています。
これを始めて3年目ぐらいですけれども、今のところまだ3~4件の退去者が出て再販したというケースは、どれもきちっと利益が出ています。買ったときよりも高く売れているという図式が成り立っています。
それから、中古マンション・中古住宅のリノベーションを行っています。これは、中古物件を一緒に探してあげて、トータルでリフォームと中古物件を合わせた額をお客様にちゃんと提案することによって、お客様は中古物件を買って、リフォームがいくらなのか(がわかる)ということです。
また、別のリフォーム会社に普通は、不動産屋さんに聞かなければいけなかったのが、当社で中古物件を探していただければ中古の仲介をしながら、なおかつリフォームがだいたいどれぐらいかかるのかということも一緒に検討できるので、トータルで予算が把握できるということです。
それによって、安心して買っていただけるということができる。そのようにワンストップで、お客様の困りごとが解決できる仕組みになっております。
5-8.今後の戦略 【インターネットによる若年層顧客の獲得】
それから、今までは主にチラシで集客をしておりましたが、新聞折り込みチラシですので、新聞を読まれる世代がだんだんと限られてきていました。
今は、インターネットからの受注・引き合いも非常に多くなっておりまして、とくに当社はインターネットに力を入れております。メインのサイトが4サイトございますし、そのほかにも専門的なサイト、あとブログのサイトとか。そのようなサイトの連携を駆使しながら、SEO対策とかで上位表示されるような、いろいろな工夫をしております。
現在、「リフォーム 名古屋(市)」と入れていただくと、ほぼ1位で当社が表示されるということにもなっておりまして、インターネットからの引き合いも年々増えています。昨年(2017年)は1,000件ちょっとだったのですが、今年(2018年)は上半期だけで580件以上です。昨年よりペースが進んでおります。
6.配当政策
そして最後に、配当政策についてです。昨年(2017年)43円の配当だったのですが、今年も変わらずに43円。昨年は記念配当を入れて43円でしたが、今期も43円の変わらない配当をさせていただこうと考えています。
ゆくゆくは、だんだん利益を増やしていきまして、配当性向はおおむね25パーセントから30パーセントに落ち着かせたいと思っていますが、配当を下げてそうするのではなくて、利益をそこに追いついていくように上げていくということです。
まずはそのようにさせていただいて、そしてさらに利益を嵩増ししていきまして、配当もそれに準じて増やしていくことができるといいと思っています。ですので、とくに株主さまに対して配当できちっと報いるということは、大切にしていきたいと思っています。
以上で、私からの第2四半期の決算説明を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:今後のキャッシュの使い方は?
質問者1:よろしくお願いします。今期末以降・来期に関して、どのようなところで伸ばすのか、ちょっと教えていただきたい思います。
売上と言えば、新築が一番取れるのかなという印象なのですけれども、新築の仕込みは現状、来期に関してはどうなっていらっしゃるのか。昨年(2017年)の今頃と比べてどのような状況なのか、教えていただけないでしょうか?
安江:まず、今後何で伸ばしていくかというところですと、こちらはリフォームをメインにして伸ばしていくというのは、今後も変わらないところです。新築は、付随的にと言いますか。
そもそも新築を始めたのは、リフォームをしていてずっとお付き合いしてきたお客様が、いよいよ建て替えると。これ以上リフォームできないということで、ついに建て替えになるときに、「新築は、安江さんはやってないよね?」ということですとダメですので、「新築もちゃんとできます」ということで、新築を対応させていただいています。
それから、若いお客様……家をまだ持っていないお客様。これからリフォームになっていくお客様を獲得していくために、新築があるということでやっています。ですので、主には注文住宅がほぼでございまして、分譲はほぼやっておりません。たまに良い土地が手に入ってということはありますので、そのような感じになります。
質問者1:すみません、聞き方がよくなかったです。あと2点ほどおうかがいしたいのですが、リフォームに関して、現状の受注の平均単価と言いますか、どれぐらいになっていらっしゃるのかということ。今後、その価格はどう変わっていくのかについて、質問させてください。
安江:平均単価に関しては、およそ65万円から70万円ぐらいになっておりまして、私の考えとしては、ほぼその額は今後もそれほど変わらないと思っています。
単価を上げようと思いますと、小さな工事を止めれば、あまり取らないようにすれば、平均単価は上がるんです。ですけれど、それは一生涯でお客様とお付き合いしていくということで、当社はずっと安定した経営をしてきております。
そうしますと、小さな工事から大きな工事までほぼほぼ対応していきますと、平均としては経験的に70万円ぐらいになるだろうという感じです。
質問者1:今後に関しては、数を増やすという理解で……?
安江:そうですね。むしろ単価を上げてというよりも、数を増やしてということです。
質問者1:最後に、今後のキャッシュの使い方に関しておうかがいしたいのですけれども。今、「配当性向は、25パーセントから30パーセントぐらいであれば減配しない」というお話だったと思います。
工務店のかたちだと、それほどキャッシュもいらないのかなという印象もあるのですが、そのあたりについてはM&Aをしているかと思いますので、大きな投資というところで言うと、どのようなものがあり得るのか。金額的な規模で言うと、どれぐらいなのか。もしないんだったら、配当性向をもっと上げる余地があるんじゃないのかということも含めて、教えていただけないでしょうか?
安江:そうですね、やはり投資が必要だと思っています。どのような投資が必要なのかと言うと、先ほどもちょっと出ましたけれど、主にM&Aの資金です。
それから、新規出店の資金が必要になると思いますので、配当性向30パーセントは考えに考えて、これぐらいが健全経営できるなというところで、成長も健全に成長させながら経営していけると数字だと思っております。
質問者1:具体的に、どのようなものにいくらぐらい使うのでしょうか?
安江:例えば、店舗を出店するとなりますと、少なくとも2,000〜3,000万円。場合によっては、大型店舗になりますと4,000~5,000万円という金額が必要になります。
あとはM&Aですと、やはり売上規模が10億円前後のある程度健全な会社となりますと、2億円前後の資金が必要になるのかなと思っています。
質問者1:ありがとうございました。
質疑応答:オーナーチェンジ物件について
質問者2:5-7の「今後の戦略」にあります、オーナーチェンジ物件。こちらについて、ちょっとお聞きしたいと思います。
「今は(事業を始めてから)3年目で、3~4件再販しました」というお話だったのですが、買取のほうは1年目・2年目・3年目と、どのようなかたちで推移しているのでしょうか?
安江:現在は、名古屋市内だけで買い集めていまして、約30戸の物件を所有している状況です。
質問者2:その所有している物件は、決算短信で言うと、販売用不動産というところに、その資産額は計上されているのでしょうか?
安江:はい、そうです。
質問者2:それ以外のものって、何か販売を……逆に、決算短信にある約7億円の販売用不動産は、オーナーチェンジ物件に絡むものとそれ以外に分けるとしたら、何か分けられるものなのでしょうか?
安江:(山本氏を見て)これについて、内訳をざっくり説明してもらっていいですか?
山本賢治氏:手元に詳しい資料がございませんので、正確な数字ではありませんが、おおむねでお話しします。オーナーチェンジ物件に関しましては、平均単価1物件で2,000万円になります。ですので、かける30戸で、残りが戸建て用の土地の仕入れ等になります。
質問者2:わかりました。ありがとうございます。