3. 将来受け取る年金を増額できる「繰下げ受給」とは?
老後に受け取れる年金見込額が少ない場合、「繰下げ受給」の選択を検討するのも一つの方法です。
繰下げ受給は、年金の受給開始年齢を遅らせることで受給額を増やせる制度で、年金受給開始を1カ月遅らせるごとに年金が「0.7%増額」され、最大で84%の増額が可能です。
たとえば、厚生年金が「10万円」の場合、繰下げ受給を選んで75歳から受給を開始すると「18万4000円」まで増額されます。
ただし、繰下げ期間中は年金を受け取れないため、受給開始までの生活費については別途収入源を確保しておく必要がある点には注意しましょう。
65歳以降も働く「働くシニア」が増加している現代では、老後に受け取る年金収入を増やす手段の一つとして検討しておくことをおすすめします。
4. 現役時に「年金を増やす方法」も検討しておこう
本記事では、老後に受け取る年金の平均受給額や、厚生年金の受給割合などについて紹介していきました。
老後の年金額は個人差が大きく、中には月額10万円未満の人も少なくありません。
「老後に受け取る年金額を知りたい」という方は、「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」などで、自分の年金見込額を確認しておくと良いでしょう。
その際、見込額が少ないと感じる場合には、繰下げ受給の検討や、現役時に「年金を増やすための対策」を考えておくのが得策です。
たとえば、厚生年金に加入している方は、加入期間が長く年収が高いほど、将来の年金受給額も増えます。
また、国民年金の場合、未納期間があると受給額が減少するため、追納しておくことが重要です。
このように、現役時から実行できる「年金を増やす方法」は複数あるため、早めに対策をしておくと安心です。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「年金を受けとるために必要な期間が10年になりました」
- 国民年金機構「国民年金保険料の追納制度」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
和田 直子