ファイナンシャルアドバイザーである筆者は、「老後の資金をちゃんと準備したい」というご相談をお受けすることが多々あります。
数年前に話題になった「老後2000万円問題」や昨今の物価上昇などもあり、自身の老後生活に不安を覚えている方が非常に多いのではないかと考えられます。
実際、年金暮らしはシビアなようです。厚生労働省の調査によると、高齢者世帯の約60%が「年金だけで生活できない」という状況に陥っています。
そこで今回は、70歳代かつ二人以上世帯にスポットを当てて、平均貯蓄額や年金受給額のリアルについて確認していきたいと思います。
また、最後には老後に向けた対策についても触れていきたいと思いますので、ぜひ最後までご覧ください。
1. 【シニアの貯蓄事情】70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額
老後の主な収入源として公的年金がありますが、「老後2000万円問題」が近年話題となったことから、年金だけで十分な生活を維持することは難しいと考えられています。
安心して老後を迎えるためには、「老後資金の備え」が必要です。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると、70歳代の二人以上世帯の平均貯蓄額は1757万円となっています。
しかし、実態により近いとされる中央値は700万円となっており、平均値と中央値の金額差が大きいことから、貯蓄格差が顕著であることがうかがえます。
※「金融資産を保有していない世帯」を含めたデータです。
※上記、金融資産には預貯金以外の株式や投資信託、債券などの金融商品残高が含まれます。
1.1 【70歳代・二人以上世帯】貯蓄平均と中央値をチェック
- 平均:1757万円
- 中央値:700万円
1.2 【70歳代・二人以上世帯】貯蓄額ごとの世帯割合をチェック
- 金融資産非保有:19.2%
- 100万円未満:5.6%
- 100~200万円未満:5.1%
- 200~300万円未満:4.3%
- 300~400万円未満:4.7%
- 400~500万円未満:2.5%
- 500~700万円未満:6.2%
- 700~1000万円未満:5.8%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:7.4%
- 3000万円以上:19.7%
金融資産非保有世帯、いわゆる「貯蓄がない世帯」は全体の約2割を占めています。
このような世帯では、毎月の生活費をカバーできる十分な収入が不可欠です。
次章では、シニア世代が受け取っている公的年金(厚生年金・国民年金)の具体的な受給額について詳しく見ていきます。