多様化が進む現代では、65歳以上のおひとりさま世帯(単身世帯)は年々増加傾向にあります。

実際に、厚生労働省の厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、1986年の65歳以上・単身世帯の割合は13.1%でしたが、2023年には31.7%と倍以上に増加しています。

現在の日本では、3世帯に1世帯が「おひとりさまシニア世帯」であり、決して他人事ではない現状が見て取れます。

では、老後をおひとりさまで迎えた場合、どのくらいの貯蓄があれば安心できるのでしょうか。

本記事では、おひとりさまシニア世帯の「生活費」とともに「平均貯蓄額」についても紹介していきます。

記事の後半では、60歳代の「年金事情」についても紹介しているので、あわせて参考にしてください。

1. 65歳以上おひとりさま無職世帯の「1ヶ月の生活費」はいくら?

総務省の「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身(おひとりさま)無職世帯の1ヶ月の生活費は「14万5430円」でした。

【写真全5枚/1枚目】65歳以上おひとりさま無職世帯の「1ヶ月の生活費」

65歳以上おひとりさま無職世帯の「1ヶ月の生活費」

出所:総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」

【65歳以上の単身(おひとりさま)無職世帯の1ヶ月の家計収支】

  • 実収入(総支給額):12万6905円
  • 可処分所得(手取り収入):11万4663円
  • 消費支出:14万5430円
  • 毎月の赤字額:3万768円

1ヶ月の生活費が14万5430円なのに対して、手取り収入(主に年金)が11万4663円となっており、約3万円の赤字が発生しています。

仮に上記の家計状態が30年続いた場合、合計で1080万円の赤字分を、就労や貯蓄でカバーする必要が出てきます。

とはいえ、老後は現役時のように、いつまでも働き続けられるとは限りません。

また、上記の赤字額は「毎月の生活費だけの赤字」であり、実際にはさらに医療費や介護費などもかかるでしょう。

このような状況から、老後までにある程度の貯蓄を準備しておくことが、将来の安心材料になるとうかがえます。

では、現在の60歳代はどのくらいの金融資産を保有しているのでしょうか。