LGディスプレーが設備投資3兆ウォン削減

テレビ用有機ELは大幅増強へ

LGディスプレーはテレビ用有機ELの拡大へ傾斜する(写真は広州8.5G工場の完成予想図)

 韓国のLGディスプレーは、先ごろ発表した2018年4~6月期決算にあわせて、20年までに20兆ウォンを予定していた設備投資計画を3兆ウォン(約2950億円)削減することを明らかにした。液晶パネル価格の下落で、18年に入って2四半期連続で営業赤字を計上するなど収益力が低下してきたこと、そして中国で10.5世代(10.5G)液晶工場の新設・稼働が相次ぐことで恒常的な供給過剰が懸念されていることを考慮した。18~19年の2年間は合計16兆ウォンを投資するが、20年以降はEBITDA(利払い税引き前減価償却前利益)を下回る水準まで投資を抑制する考えだ。

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10.5G液晶と6G有機ELの一部を投資対象から除外

 決算説明会で同社は、「(テレビ用有機ELディスプレー向けの)10.5G有機ELの開発は進めるが、ハイブリッドファブとなる液晶への投資は調整する」と述べ、すでに報じられているとおり、韓国・坡州工場「P10」における10.5G液晶ラインへの投資を見送ることに言及した。さらに、スマートフォン用フレキシブル有機ELディスプレーを生産する予定だった坡州6GのE6第2期ラインも「需要に応じて投資を実行する。来年度まで厳密に需要を見極める」と述べ、現時点で投資対象から外していることを示唆した。

 18年の設備投資額については、期初計画に近い約9兆ウォンを執行する。先ごろ中国当局から認可を受けた広州の8.5Gテレビ用有機EL工場と、坡州6Gフレキシブル有機ELライン「E6」の立ち上げに充てる。広州8.5G工場は19年上期、坡州6GのE6第1期ラインは18年10~12月期から稼働する予定だ。

 ちなみに、同社はアップルが今秋発売予定の新型iPhoneにフレキシブル有機ELを供給するのではと報じられている。すでにセルベースで認可を取得し、現在はモジュールベースで評価待ちといわれており、トータルで300万~500万台分と少量だが、18年からサムスンディスプレーに次ぐセカンドサプライヤーになる見込みだ。

テレビ用有機ELを1000万台へ拡大

 これにより、当面は中国・広州の8.5Gテレビ用有機EL工場の立ち上げに注力する。この新工場は、LGディスプレーと広州開発区が7対3の割合で出資する合弁会社が運営する。資本金は2.6兆ウォンで、このうちLGディスプレーは1.8兆ウォンを拠出する。テレビ用有機ELディスプレーの製造コストを下げたいLGディスプレーにとって、中国現地政府からの補助金が得られる本件は今後のテレビ用有機ELディスプレー事業を占う重要案件に位置づけていた。総投資額は約5兆ウォンを見込む。

 テレビ用有機ELについては、韓国国内に保有している8.5Gライン「E3」および「E4」に月産7万枚の能力を備えており、これに月産6万枚で立ち上げる広州工場を加えて、月間投入能力を13万枚まで引き上げる。広州工場は最終的に月産9万枚まで能力を引き上げることも視野に入れており、これによって17年に170万台強だったテレビ用有機ELディスプレーの販売台数を19年に400万台、20年に700万台、21年には1000万台まで拡大する考えだ。

韓国国内工場の有機EL転換も検討中

 さらに、液晶パネルの供給過剰が継続することに備えて、LGディスプレーは現在テレビ用液晶を生産している7Gの坡州「P7」ラインと8.5Gの「P8」ラインをテレビ用有機ELに転換することを検討している。転換には期間として1年弱、費用として約1兆ウォンを要するとみているが、「基本戦略として民生品用の大型パネルに集中する。適切な実行タイミングを見極める」と説明した。

 LGディスプレー副会長のハン・サンボム氏も、中国・広州8.5G工場の認可に際して「最終的には、有機ELへの事業構造転換を加速することで、LGディスプレーがグローバルディスプレー産業を持続的にリードできるようにする」と述べており、有機EL事業への傾斜で中国メーカーの追撃を振り切る考えを示している。

電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏

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津村 明宏

1995年3月 関西大学 経済学部卒。1999年3月 ㈱産業タイムズ社に入社。
電子デバイス業界の専門紙である電子デバイス産業新聞(旧・半導体産業新聞)の記者として、2007年より副編集長、2009年12月より編集長