老後に受け取れる年金見込額は、毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」やインターネットサービス「ねんきんネット」で確認できることをご存知でしょうか。

ただし、これらに記載された金額がそのまま振り込まれるわけではなく、実際には「税金」や「社会保険料」が天引きされた状態で支給されます。

では、年金から天引きされる費用にはどのようなものがあるのでしょうか。

本記事では、年金にかかる税金や社会保険料について詳しく紹介していきます。

「年金から税金・社会保険料が天引きされないケース」についても紹介しているので、あわせて参考にしてください。

1. 【一覧でチェック】年金から天引きされる「4つのお金」とは?

冒頭でもお伝えしたように、老後に受け取る年金からも、現役時と同様に税金や社会保険料が天引きされます。

年金から天引きされる税金・社会保険料は、下記4つです。

【写真全2枚/1枚目】年金から天引きされる税金・社会保険料の一覧表。2枚目は森林環境税の仕組み図を掲載1/2

年金から天引きされる税金・社会保険料の一覧表

筆者作成

【年金から天引きされる税金・社会保険料】

  • 所得税
  • 住民税・森林環境税
  • 健康保険料(国民健康保険料・後期高齢者医療保険料)
  • 介護保険料

それぞれ詳しく解説していきます。

1.1 年金から天引きされる税金:所得税

年金から天引きされる税金の一つに「所得税」があります。

所得税は、年金を一定額以上受給している場合に課される税金で、収入から各種控除額を差し引いた額に5.105%の税率が適用され、源泉徴収されます。

また、現在は東日本大震災からの復興のために必要な財源を確保するために、所得税に加えて「復興特別所得税」もあわせて徴収されています。

1.2 年金から天引きされる税金:住民税・森林環境税

森林環境税及び森林環境譲与税の仕組み2/2

森林環境税及び森林環境譲与税の仕組み

出所:総務省「森林環境税及び森林環境譲与税」

年金から天引きされる税金には、所得税のほかに「住民税」もあります。

住民税も所得税と同様に、一定額以上の年金を受給している場合、年金から天引きされる形で徴収されます。

個人住民税には、所得に応じて負担する「所得割」と、均等に負担する「均等割」があり、原則としてどちらも納める必要がありますが、年金収入が低い場合は、「均等割のみ負担」または「非課税」となることもあります。

森林環境税は2024年度から新たに徴収される税金で、2024年10月から個人住民税と合わせて特別徴収されます。

1.3 年金から天引きされる社会保険料:健康保険料

年金から天引きされる社会保険料の一つに「健康保険料」があります。

年金から天引きされる健康保険料は「国民健康保険」と「後期高齢者医療保険料」の2種類があり、年齢に応じて自動的に切り替わります。

国民健康保険は、65歳から75歳未満(後期高齢者医療保険に加入していない方)の年金受給者が対象で、年金額が年間18万円以上の場合に天引きされます。

一方で後期高齢者医療保険料は、「75歳以上」または「65歳以上75歳未満で後期高齢者医療制度に該当する」年金受給者が対象で、国民健康保険と同様に年金額が年間18万円以上の場合に天引きされます。

1.4 年金から天引きされる社会保険料:介護保険料

最後に、年金から天引きされる社会保険料として「介護保険料」があります。

介護保険料は、40歳から64歳までは健康保険料に含まれて徴収されますが、65歳以降は単独で支払われることになり、年金額が年間18万円以上の場合に年金から天引きされます。

留意点として、介護保険料は介護認定を受けた場合も永続的に徴収され続けるため、この点もあわせて覚えておきましょう。

2. 年金から「税金が天引きされない人」もいる?

前章では、年金から天引きされる4つの費用について紹介しましたが、年金が一定金額に満たない場合「税金が天引きされないケース」もあります。

所得税の場合、所得が48万円以下(65歳未満で年金収入が108万円以下、または65歳以上で年金収入が158万円以下)の場合は、非課税となります。

個人住民税についても、年金が一定金額に満たない場合は非課税となりますが、非課税となる年収目安は自治体によって異なるため、お住まいの自治体のホームページで確認してみましょう。

なお、遺族年金や障害年金は、所得税・住民税ともに非課税の対象となるため、これらの年金を受給している場合は天引きされないことも覚えておきましょう。

2.1 社会保険料も年金から天引きされないケースがある?

社会保険料も収入が低い場合や、他の市区町村から別の市区町村へ転入された場合などは、年金から天引きされないケースがあります。

ただし、社会保険料が免除されるわけではなく、「普通徴収」となるだけで、支払いの義務があることには変わりはないため注意が必要です。

税金の場合、所得が低い世帯では非課税となりますが、介護保険料や国民健康保険料については、所得が低くても支払う必要があることを覚えておきましょう。

3. 年金手取りは「額面の8〜9割」と想定しておこう

本記事では、年金にかかる税金や社会保険料について詳しく紹介していきました。

年金からも現役時と同様に税金や社会保険料が天引きされるため、通知書に記載された金額がそのまま受け取れると勘違いしないようにしましょう。

年金から天引きされる税金や社会保険料の金額は、個人の状況によって異なります。

一例として、総務省の「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の平均的な収入額(額面)は24万4580円で、そこから引かれる税金や社会保険料は平均3万1538円です。

上記の結果から、手取り額は額面の約85〜90%になると考えておくと良いでしょう。

参考資料

中本 智恵